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ノーマン・F・カンター『黒死病 疫病の社会史』青土社

 イングマール・ベルイマン監督の映画「第七の封印」の疫病が黒死病だったような気がした(※)ので本書を読んでみると、「第七の封印」への言及がありました。

 黒死病は、地中海世界と西ヨーロッパのほとんどの地域を襲った。イングマール・ベルイマンが一九五七年に製作した映画『第七の封印』は黒死病がスウェーデンに与えた衝撃を描いているのだが、ベルイマンは一三五〇年頃スウェーデンを襲った黒死病が強烈なペシミズムの時代をもたらし、恐怖とこの世のはかなさという感情を撒き散らしたと考えていた。(P13)

 たしかに「第七の封印」はおそろしくペシミスティックでしたな。まさにこの世の終わりだと言わんばかりに。

 それから、本書の「第十章 黒死病の余波」では、シェイクスピアの歴史劇「リチャード二世」「ヘンリー四世」「ヘンリー五世」「ヘンリー六世」に該当する部分が述べられており(P234-238)、あの一連の歴史絵巻の背後に黒死病が隠れていることがわかります。
 詳細は本書に譲りますが、例えばリチャード二世の叔母でジョン・オブ・ゴーントの妹に当たるジョーン王女が若くして黒死病で死んだため政略結婚が破談となり、フランスとの戦争に大きく影響したり…といった具合です。

※映画ではペストと言っていたのを後になって思い出した。尚、本書によると黒死病は大部分がペストで、おそらく一部は炭疽病であろうとの見方を示している(第二章)。

【参考文献】
ノーマン・F・カンター『黒死病 疫病の社会史』青土社

【関連記事】
第七の封印
シェイクスピア(目次)

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