兵頭二十八『こんなに弱い中国人民解放軍』講談社
人民解放軍がアメリカ軍や自衛隊と較べてどれだけ弱いのかを主に兵器の面から説き明かしたもの。ただし、これを読んでいる私の現代兵器に関する知識は素人レベルなので、本書の兵器の説明を読んでもよくわからず、従ってどこからどこまでが本当なのかサッパリわからない、というのが正直なところです。
軍オタなどにしてみればこんな私はお呼びではないのでしょうが、兵器以外の部分では多少なりとも読み解けるところがなくもない。例えば、著者はプロローグでこんなことを述べています。
わが自衛隊の一線部隊では、中共軍を恐れている者など、まったくいない。これは海上自衛隊も航空自衛隊も、同様である。恐れていないからこそ、軍歴のない一部の「バカ右翼」たちのように、好んで敵を嘲笑・蔑視することもない。(P15)
ここからわかるのは、「好んで敵を嘲笑・蔑視する」「軍歴のない一部の『バカ右翼』たち」がいて、著者は彼らを軽蔑しているということです。そして、俺はそいつらとは違うんだぞという気概がうかがえます。
それから、こんなことも書かれています。
軍事評論には、多数の人々の命がかかり、対策が手遅れになってはいけないと心配されるため、すべてがハッキリしてから物をいえばいいといった余裕は与えられない。
結句、各国のあらゆる軍事的判断や軍事評論は、的外れを内包し続ける。(P192)
これは本書についても当てはまるでしょう。
考えてみれば当然のことで、戦闘機にせよ軍艦にせよ戦車にせよ核ミサイルにせよ、詳しい性能は軍事機密だし、いざ実戦となるとアナウンスされていた程のパフォーマンスを発揮できるとは限らない。又、秘密兵器なんていう未知の要素だってあります。それから、銃後の備え、国民の戦意、高額な軍事費に耐えうる経済力なども考えると…キリがない!
最後に一つ。もし仮に、人民解放軍が本書の記述通りの弱さだとした場合、人民解放軍はいかにしてアメリカ軍や自衛隊と戦うのか? 繰り返して言いますが、私の現代兵器に関する知識は素人レベルなので予想したところでアテにはなりません。それでも、弱者には弱者の戦い方がある、ということぐらいは知っています(例:映画「ひとごろし」)。このレビュー記事も長くなってきたので詳しくは書きませんが、正面からドンパチやるのだけが戦争じゃないってことです。
【参考文献】
兵頭二十八『こんなに弱い中国人民解放軍』講談社
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