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第七の封印(1957年、スウェーデン)

監督:イングマール・ベルイマン
出演:マックス・フォン・シドー、グンナール・ビョルンストランド、ベント・エケロート
原題:Det sjunde inseglet
備考:モノクロ、時代劇

あらすじ…中世のスウェーデン。騎士アントニウス・ブロックとその従者ヨンスは十字軍の遠征から帰還の途上にあった。とそこへ、アントニウスの前に死神が現われる。アントニウスは死神にチェス対決を申し入れる。

 まずはタイトルについて。
 第七の封印とは『ヨハネの黙示録』に出てくるもので、映画の中でも引用されています。参考までに、手許の聖書から当該箇所を引用しておきます。

 小羊が第七の封印を開いたとき、天は半時間ほど沈黙に包まれた。そして、わたしは七人の天使が神の御前に立っているのを見た。彼らには七つのラッパが与えられた。(『新約聖書』「ヨハネの黙示録」第8章第1節―第2節)

 『ヨハネの黙示録』とは、新約聖書に収録されている宗教文書の一つで、ヨハネという人物が神の啓示を受けて見た夢の内容を書き記したものであり、ここにはいずれ起こる世界の終末の有様が描かれているとされています。
 つまり、この映画は終末的世界を描いた作品であるとタイトルで言っているようなものなのです。
 ところで、第七の封印というからには、当然のことながら第一~第六の封印も存在します。それらの封印が開かれた時に何が起こるかというと、戦争や飢饉、死、大地震などであり、大勢の人間が死にます。
 そして第七の封印が開かれると天使たちがラッパを吹き鳴らすのですが、そうすると天変地異が起こって更に大勢の人間が死にます。
 この映画では疫病(ペスト)で大勢の人間が死んでいます(のみならず、十字軍の戦いでも大勢の人間が死んでいる)が、『ヨハネの黙示録』に従うのならば、こういうひどい状況がまだまだ続くどころか、もっとひどいことになります。う~ん、絶望的!

 ところで、アントニウスは自分にずっとついてきたと言う死神に「覚悟は?」と問われて、
「体はな。心はまだだ」
 と答えています。私は二回目に観た時、ひょっとしたら彼は病気を抱えていて、もうすぐ死ぬかもしれないと思っていながらもそれを受け入れられず、従者のヨンスにも病気のことを隠して旅を続けているんじゃないか…などと勘繰ってしまいました。
 実際のところ私の推測が当たっているのか外れているのかはともかくとして、この映画はこんな風に色々と考えさせてくれる仕掛けがそこかしこにあります。頭を使うから大変といえば大変ですが、これはこれで面白い。

【関連記事】
ノーマン・F・カンター『黒死病 疫病の社会史』青土社

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