松岡和子訳『ヴェローナの二紳士 シェイクスピア全集27』筑摩書房
あらすじ…ヴェローナの青年紳士プローティアスは、親友ヴァレンタインとミラノで再会する。ヴァレンタインはミラノ大公の娘シルヴィアと相思相愛の仲になっていた。ところが、プローティアスも彼女に会った途端に一目惚れ。一方、プローティアスの恋人ジュリアは、小姓に変装してミラノにやってくるが――。(裏表紙の紹介文より引用)
シェイクスピア初期の恋愛喜劇。
初期の作品だからなのか、同じシェイクスピアの恋愛喜劇「夏の夜の夢」などに較べると完成度の低さが目に着きます。例えばプローティアスの召使いラーンスがクラブという犬を飼っているのですが、そのクラブをわざわざヴェローナからミラノへ連れて行ってるのに、クラブがやったことといえば…。それからエグラモー、お前は危険を冒してシルヴィアを助けるつもりじゃなかったのか…。
詳細はネタバレ防止のためにここには書きませんが、エグラモーについては訳者(松岡和子)が脚注で「この場に居ては話にならないので、劇世界から消されたのだろう」(P155)とフォローしています。
このような有様とはいえ、ジュリアが男装して小姓に変身するモチーフは「十二夜」のプロトタイプとして読めるし、最後の大団円(?)は「シンベリン」に通じるものがあります。他のシェイクスピア作品で用いられた要素はこれ以外にもある(巻末の「解説」でも複数の作品に言及している)ので探してみるといいかもしれません。
【参考文献】
松岡和子訳『ヴェローナの二紳士 シェイクスピア全集27』筑摩書房
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