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春日太一『なぜ時代劇は滅びるのか』新潮社

 そう言われてみればテレビの地上波では殆どと言ってよいほど時代劇を放送しなくなりましたな。せいぜいあるとすればNHKの大河ドラマと、たまに放送されるスペシャル版、それと時代劇映画くらいのものです。
 映画といえば私もこの映画のブログで映画レビューをやっており、最近観たものだと「忠臣蔵外伝 四谷怪談」「ひとごろし」「雪之丞変化」「薄桜記」と、いずれも前世紀の作品ばかり。今世紀の作品は…やっぱり数が少ないんですかね。
 さて、本書を読んでみると、京都撮影所の惨状、時代劇を演じられる役者がいなくなった、時代劇を(春日太一氏の要求する水準で)撮れる監督もいなくなった、プロデューサーも悪役も…などと、とにかく色々とひどいことになっています。詳細は本書に譲りますが、時代劇滅亡の原因は複合的で多岐に渡り、根が深いことがわかります。

 恐らく、時代劇はこのままではそう時間のかからないうちに「死ぬ」だろう。人を育てることを放棄し、若者が希望を持てない業界に未来などないからだ。(P207)

 悲痛な歎き節です。でもその一方で、時代劇制作の現場に対して、「『春日、お前は間違っている』という声」(P207)を「作品として示してほしい」(P207)とハッパをかけています。つまり、面白い時代劇を作ってみやがれ、ということですな。
 ちなみに、面白い時代劇といっても、NHK大河ドラマ「江」みたいなツッコミどころ満載なのは御免蒙りますぜ。

【参考文献】
春日太一『なぜ時代劇は滅びるのか』新潮社

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