新源氏物語(1961年、日本)
監督:森一生
出演:市川雷蔵、寿美花代、中村玉緒、若尾文子
原作:川口松太郎『新源氏物語』
備考:時代劇
あらすじ…平安時代。幼くして母に死に別れた光源氏は、母に似ているという藤壺の宮に恋い焦がれるが、それは道ならぬ恋だった。だが、ある夜、光源氏は藤壺の寝所へ忍び入り…。
私は原作(川口松太郎『新源氏物語』)を読んだことはありませんが、原作の原作(紫式部『源氏物語』)の現代語訳(瀬戸内寂聴版)を「明石」あたりまでは読んだことがあります。そのおかげで人物関係の把握は楽でしたが、予備知識なしで観るのは少々厳しいのではないかと思います。原作や原作の原作を読めとまでは言いませんが、『源氏物語』の解説本くらいは読んで予習しておいた方がいいでしょう。
さて、本作を観ると、女性の髪形が殆ど同じなので、場面が切り替わった後に登場した女性を見て、「あれ、これ誰だっけ?」と戸惑い、その後のセリフで「ああ、○○だったか」ということがありました。ただし、中村玉緒が演じる朧月夜だけは、目が特徴的なのですぐにわかりましたが。
朧月夜といえば、『源氏物語』では光源氏が朧月夜の寝所に夜這いして肉体関係を持っていますが、こちらの作品では朧月夜が光源氏を誘って性交に持ち込んでいます。この改変は女性の社会進出および地位向上が影響しているのでしょうか。
ところで、物語の中盤で光源氏が葵の上と藤壺の宮のダブル妊娠を知らされた直後に葵の上が、
「あの方も御妊娠だそうですね。どなたのお子か知らないけれど」
と言い放っています。うわぁ、バレてやがる…。
ちなみに光源氏はその後、偶然立ち寄った屋敷の女主人(末摘花)と一夜を共にし、更に翌朝の帰途ではこれまた偶然立ち寄った家の少女(若紫)が藤壺の姪と知るやこれを拉致しています。
反省して行いを改めるどころか、女性遍歴は続ける。正気の沙汰ではあるまい。
最後に良かった点を一つ。葵上がツンデレだった。
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