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永井荷風「戯作者の死」

あらすじ…天保の改革で幕府が庶民に倹約を強い始める中、『偐紫田舎源氏(にせむらさきいなかげんじ)』を出した柳亭種彦らにも詮議が及ぶのではないかとの噂が流れ、関係者一同は心配になる。

「戯作者の死」人物関係図

 『偐紫田舎源氏』については未読です。ただ、高校の日本史の授業で少しだけ出てきたのを記憶しております。たしか、主人公は徳川家斉をモデルにしているとか。もちろん、モデルは家斉でござい、などと作中に書いてあるわけではありませんが、わかる人にはわかるのでしょう。
 ちなみに、本作では飽くまで噂レベルですが、「光源氏の昔に例へて畏れ多くも大奥の秘事を漏したによつて」(P79)問題視されたとのこと。とはいえ、「戯作者の死」の中ではそこのところが判然としないまま話を終えています。
 実際のところどうだったのかについては天保の改革に詳しい歴史家などに任せるとして、ここではタイトルの「戯作者の死」について少々思うところを述べさせていただきます。
 ネタバレになってしまいますが、本作の最後で主人公(柳亭種彦)は死にます。タイトルの「戯作者の死」とは即ち、戯作者・柳亭種彦の死を指します。と同時に、天保の改革の中で庶民文化が次々に弾圧されてゆくことの象徴とも見ることができます。
 水茶屋は寂れ、料理茶屋は取り締まりを受け、歌舞伎役者は追放される。そんな「空気」の中での「死」ですからね。ただの一個人の自然現象としての死と片付けるわけにはいかない。

【参考文献】
『三田文学 創刊一〇〇年名作選』三田文学会

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