レオン・ブロワ「ロンジュモーの囚人たち」
あらすじ…フールミ夫妻は結婚してロンジュモーに移り住んでいたが、二十年後に一緒に自殺してしまう。実は夫妻は、なぜかロンジュモーの町の外へ出ることができなかったのだ。
本作の語り手は夫のフールミ氏の友人であり、フールミ氏からの手紙を紹介するという体裁を取って、どういう風に出られないのかを描写しています。又、語り手は「これが悪魔の働きに違いない」(P47)とまで言っています。
もし仮に悪魔の働きで町の外へ出られないのだとしたら、悪魔は夫妻を町に閉じ込めておいて何のメリットが…ああそうか、自殺者の魂二人分か(※)。でも、そのために20年もかけるのは悠長なことです。
※キリスト教の教義では、自殺者は地獄へ堕ちるという。ダンテの『神曲』にも自殺した者たちの地獄がありましたっけ。
【参考文献】
米澤穂信『世界堂書店』文藝春秋
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