« 2015年9月 | トップページ | 2015年11月 »
この動画はニコニコ動画で観ました。
http://www.nicovideo.jp/watch/sm9412748
出演:熊谷洋一
あらすじ…デブが何かと戦う!
「予告編」と銘打ってますが7分もあるのでご注意を。尚、よく見たらバズーカを撃つところが重複していたので、ここはどちらかを削ってもよかったかもしれません。
それにしてもよく動くデブだなあ。あれだけ激しい運動したら汗だくになるのはもちろんのこと、膝に水が溜まりそうなものです。
【元ネタの映画】
・ランボー
この動画はニコニコ動画で観ました。
http://www.nicovideo.jp/watch/sm8951415
備考:第12回国際ニコニコ映画祭出展作品
あらすじ…体重計の上に霊がいる!
ホラー風味ですが、そんなに怖くないし33秒と短いのでご安心を。
それにしてもオチは実にしょうもない。
長野県伊那市で撮影が行われた映画・ドラマ・ミュージックビデオを紹介したパンフレット。
その中で私が注目したのは映画「一遍上人」。時宗の開祖・一遍を描いた作品なのですが、一遍を演じているのがウド鈴木。正直ビックリしました。
ちなみにこの映画の発売元・販売元のカエルカフェの公式サイトをチェックすると…よっぽどマイナーだということがわかりました。
【鎌倉仏教の指導者を描いた作品】
・日蓮
監督:クリストファー・レイ
出演:クリスタナ・ローケン、ゾーイ・ベル、ヴィヴィカ・A・フォックス、ニコール・ビルダーバック、ブリジット・ニールセン
原題:Mercenaries
備考:アクション
あらすじ…アメリカ大統領の娘エリーズがカザフスタンでテロ組織に拉致され、テロ組織のリーダー・ウルリーカはアメリカ大統領を脅迫する。CIAのモナ・ケンダルは4人の女囚を招集し、エリーズ救出へ向かわせる。
エクスペンダブルズのパロディ作品で、しかもスタローンの元妻(ブリジット・ニールセン)が出演しているというので観ることにしました。ちなみにブリジットは悪役(ウルリーカ)で登場しています。
さて、物語の冒頭。舞台はカザフスタン。私の目にはアメリカの荒野に見えなくもないのですが、カザフスタンだというのでとりあえずそうしておきましょう。
で、その荒野を二台の黒塗りの車が走っていて、そのうちの一台にエリーズが乗っています。ちょっと護衛が少なすぎやしませんか?
とそこへ、何もない道路の真ん中に物売りの男性がなぜか立ち往生していて、黒塗りの車が停止。いや、それ罠だって。まあ、私ごときでも即座に見抜けるほどだから、罠にしては稚拙ですけど。
でも、そんな稚拙な罠にシークレット・サービスは引っかかり、案の定テロ組織の襲撃を受けて数分で全滅。弱すぎる…。
このように、冒頭の部分だけでも突っ込みどころが多く、それはそれで楽しめます。
それ以降も、テロ組織のメンバーたちが中央アジアの人間に見えなかったり、警備が厳重だと散々言われてきたウルリーカの要塞の警備が案外ガバガバだったり、レクシーが妙にウザかったりと、突っ込みどころは山ほど出てきます。
低予算映画だからということもあるのでしょうが、低予算なら低予算なりに頑張る方法もあります。例えば「エル・マリアッチ」や「死霊のはらわた」のように。ということは、この映画は作りが粗いということなのでしょう。
最後に一つ。パッケージの写真からメイリン・フォンがハブられているのはなぜなんだ?
【関連記事】
・エクスペンダブルズ
・エクスペンダブルズ2
「ODAKYU Town File No.24 世田谷代田」(P08-09)に、こんな一文を発見。
この8月末に、新駅舎が一部お披露目になる世田谷代田。(P08)
そういえば世田谷代田駅はもう長いこと工事中だったと記憶しております。あの工事はいつ終わるんだろう?
監督:吉田喜重
出演:三國連太郎、松村康世、三宅康夫、菅野忠彦
備考:モノクロ、歴史劇
あらすじ…大正10年、朝日平吾は財閥の大物・安田善次郎を暗殺し、自らも命を絶つ。そして平吾の遺言により、血染めの衣が北一輝に贈られる。
人物関係図の中で無名の兵士を「兵士A」と表記したのは、DVDのチャプターに「兵士A」と書いてあったから。又、憲兵隊の岩佐とその上司は書き漏らしてしまいました。
さて、本作は何の予備知識もなしに一回観ただけでは何が何やらわからない作品です。前衛劇の趣もあってそれはそれで難解なのですが、のみならず北一輝の思想をある程度は知っている必要は感じました。
そんなわけで私は補助教材として渡辺京二著『北一輝』(ちくま学芸文庫版)を読むことにしたのですが、もっと平易で簡単な解説本の方がよかったと少々後悔しないでもない。ともあれ、補助教材のレビューは読了後に改めて取り組むことにします。
ただ、本書を読んで映画の理解が多少は深まったことは述べておきます。
例えば映画で北一輝邸の一室に明治天皇の御真影が掲げられていますが、これにもちゃんと理由があります。
明治帝の場合、北は彼を革命のシムボルとみなしていたようだ。カリスマの資格として彼は、「天を畏れ民を安んずるの心」をあげた。明治帝はそのような心を失わぬ皇帝、つまり自分が国家にとっての「必要」であるのを一瞬でも忘れぬ皇帝だと、彼は考えるのである。(『北一輝』P284)
史実としての明治天皇がどうであったかはここでは書かない。ここで重要なのは、北一輝が明治天皇に何を投影していたのかということです。本書の論述に従うなら、それは「革命のシムボル」としての「皇帝」ということになります。
要するに北一輝はあの御真影を掲げることによって革命をやるぞと言ってるわけですな。無論それは彼なりの理論に基いていて、そして彼なりの方法で、ということになります。
ところで、この映画を一回目に観た時は三國連太郎(北一輝)の怪演に圧倒されました。うわぁ、こいつ完全にイッちゃってるよ…という具合に。
そして二回目に観た時は、兵士Aの存在感が大きくなっていました。小心翼々とし怯える兵士Aは、あの時代の「普通の人」を代表しているのではないか。というより、他の人たちが普通じゃなさすぎる…。
尚、映画「日本暗殺秘録」で描かれた安田善次郎暗殺事件と二・二六事件が、本作では北一輝という人物を通してつながっています。そこで関連記事として「日本暗殺秘録」を挙げておきます。
【関連記事】
・日本暗殺秘録
世田谷パブリックシアターの活動紹介冊子(発行は不定期)。
この中の「体験者は語る、中学生たちの座談会」(P13-15)では、世田谷パブリックシアター演劇部中学生の部に参加した中学生の座談会が掲載されているのですが、数えてみたら13人中10人が女子で3人が男子。圧倒的に女子が多い。
こういう演劇とかは、男子中学生よりも女子中学生の方が興味を持つ、ということになるんでしょうかねえ。
(P133)
作:ロートレック
題:ムーラン・ルージュのイギリス人
ロートレック…ムーラン・ルージュ…うっ…頭が…!
とまあ、戯れ言はさておいて、映画「ムーラン・ルージュ」を思い出しました。映画にはロートレックが脇役として登場するし、絵に登場するイギリス人もおそらくはモブの観客として出ていることでしょう。
華やかではあるがそれは貴族の華やかさというより市民社会のそれであり、華やかでいてしかも翳がある、といった印象を受けます。それにしてもこの男、エロいこと考えてそうだなあ。
【参考文献】
『Christie's London OLD MASTER, NINETEENTH AND TWENTIES CENTURY PRINTS TUESDAY 22 JUNE 1999』クリスティーズ
【目次】
(1)序
(2)黙示録
(3)東方の三博士の礼拝
(4)トビアと天使
(5)ミロへの敬意
(6)マドンナ
(7)ダビデとバト・シェバ
(8)ムーラン・ルージュのイギリス人
【関連記事】
・ムーラン・ルージュ
近所のレンタルビデオ店で入手しました。アベンジャーズは世界を救うのみならず、マガジンを発行するようになりましたか。
さて、本誌の中身は映画「アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン」の宣伝です。今回も世界滅亡の危機が訪れるのですが(この世界ではよくあること)、今回の原因を作ったのはアベンジャーズの一員であるアイアンマン。いわゆるマッチポンプというやつですか…。
まあ、私もそのうちこれを観ることにしていますので、その際にはたっぷりと突っ込みを入れさせていただきます。
【関連記事】
・アベンジャーズ
(P120)
作:パブロ・ピカソ
題:ダビデとバト・シェバ
ある日の夕暮れに、ダビデは午睡から起きて、王宮の屋上を散歩していた。彼は屋上から、一人の女が水を浴びているのを目に留めた。女は大層美しかった。(「サムエル記 下」第11章第2節)
この女は部下の将軍の妻バト・シェバであり、王ダビデは彼女を王宮に引っ張り込んで性交し、孕ませます。そして色々と大変なことになるのですが…続きを知りたい方は旧約聖書をお読み下さい。
さて、絵を見ると、下部中央で足を洗わせているのがバト・シェバであり、上端でそれを眺めているのがダビデです。ダビデは両手に何か持っていますが、おそらくこれは竪琴で、ダビデはサウルに仕えていた頃に竪琴を奏でていた(「サムエル記 上」第18章第10節)とあるので、竪琴はダビデであることを示すアイテムとして描かれたのかもしれません。
それにしても、粗っぽいタッチながらもダビデがバト・シェバに対して欲情しているのがわかります。さすがはピカソといったところでしょうか。
【参考文献】
『Christie's London OLD MASTER, NINETEENTH AND TWENTIES CENTURY PRINTS TUESDAY 22 JUNE 1999』クリスティーズ
【目次】
(1)序
(2)黙示録
(3)東方の三博士の礼拝
(4)トビアと天使
(5)ミロへの敬意
(6)マドンナ
(7)ダビデとバト・シェバ
(8)ムーラン・ルージュのイギリス人
特集記事は「東京の名物料理人がわざわざ赴く遠征レストラン」(P020-051)。東京の名料理人90名(ご丁寧にも名前と店を掲載)から教えてもらった(おそらくはアンケートを取ったのだろう)、東京以外の店171軒を紹介。
はっきり言ってこの記事は労作です。店の住所や電話番号、また一部には料理や店の写真など、よく集めたものだ。
(P113)
作:ムンク
題:マドンナ‐愛する女性
表紙の絵の色付きバージョンで、左下に胎児のようなものが見えます。
以前にも書きましたがマドンナとはイタリア語で聖母マリアであり、転じて憧れの女性という意味になりました。もしもこの女性を聖母マリアと解釈するならば、左下の胎児のようなものはイエス・キリストということになります。又、憧れの女性と解釈するならば(副題が「愛する女性」であることを考えるとこちらが有力かもしれない)、左下にいるのはその女性を見つめているムンク自身であると見えないこともない。
もちろん、どう解釈するかはあなたのご自由にどうぞ。
【参考文献】
『Christie's London OLD MASTER, NINETEENTH AND TWENTIES CENTURY PRINTS TUESDAY 22 JUNE 1999』クリスティーズ
【目次】
(1)序
(2)黙示録
(3)東方の三博士の礼拝
(4)トビアと天使
(5)ミロへの敬意
(6)マドンナ
(7)ダビデとバト・シェバ
(8)ムーラン・ルージュのイギリス人
この記事が発表される頃には夏休みはとっくに終わっているはずですが、ここで敢えて特集記事「カンタン!楽しい!夏休み工作レシピ」(P4-9)を取り上げます。
基本的に子供でも作れる程度の難易度で、紙パックやペットボトルを使った工作物(例:紙パック恐竜)ならば、日常の暇潰しにもなります。まあ、夏休みの工作ならば少々の難易度の高いものを、ということになるのでしょう。
(P106)
作:ジョアン・ミロ
題:ミロへの敬意
「お前は芸術がわかっているのか?」
と訊かれたら、私は
「わかるところもあるし、わからないところもある」
と答えておきます。もちろん、山田五郎氏なんかに較べれば、わかる範囲よりわからない範囲の割合が大きいですよ。
さて、今回の作品はどうかというと、明らかにわからない領域に属します。尤も、ミロの作品自体は抽象的なものが多く、わからないのも仕方ないといえば仕方ない。
そんな作品です。
【参考文献】
『Christie's London OLD MASTER, NINETEENTH AND TWENTIES CENTURY PRINTS TUESDAY 22 JUNE 1999』クリスティーズ
【目次】
(1)序
(2)黙示録
(3)東方の三博士の礼拝
(4)トビアと天使
(5)ミロへの敬意
(6)マドンナ
(7)ダビデとバト・シェバ
(8)ムーラン・ルージュのイギリス人
特集は「戦後70年東映戦記映画」(P2-7)。紹介されている映画は「あゝ同期の桜」「男たちの大和 YAMATO」「大日本帝国」「プライド 運命の瞬間」など。
う~ん、現時点でまだどれも観ていないですわ。いえね、戦争映画ならそれなりに観ているはずなのですが…あ、そうか、戦記映画か。それも東映配給の邦画となると相当限られてきます。これじゃあ観ていなくても仕方ないか。
(P28)
作:ヘンドリック・ゴート
題:トビアと天使(A.エルシェイマー風)
旧約聖書外典(旧約聖書続篇)の「トビト記」第6章の1シーン。左端の天使がラファエルで、この時はアザリアという偽名を使って人間のふりをしています。巨大な翼があるのにどうして人間のふりができるのかというと、おそらく人間には翼が見えないようにしているんでしょう。催眠術でも使ったのかな?
ちなみに巨大な魚を引きずっているのがトビトの息子トビアです。
【参考文献】
『Christie's London OLD MASTER, NINETEENTH AND TWENTIES CENTURY PRINTS TUESDAY 22 JUNE 1999』クリスティーズ
【目次】
(1)序
(2)黙示録
(3)東方の三博士の礼拝
(4)トビアと天使
(5)ミロへの敬意
(6)マドンナ
(7)ダビデとバト・シェバ
(8)ムーラン・ルージュのイギリス人
羽根木公園のコーナーにこんな記述が。
今でこそ見事な梅林は、昭和42年に当選した区議会議員55人が戦後の荒廃残る公園に植えた、55本が始まりです。
昭和42年の段階で戦後の荒廃が残っていたことに驚きました。
(P27)
作:ヘンドリック・ゴルチウス
題:東方の三博士の礼拝
キリスト教の宗教画のモチーフとしてはあまりに有名なのですが、念の為に簡単に説明すると、聖母マリアがイエス・キリストを産み、三博士が星の導きにより救世主を拝みにやってきたところです。
画像の右上に三博士を導いた星が描かれていますが、それよりも目を引くのが、キリストを拝もうとする、押すな押すなの大行列です。
これに応対しなければならないのは出産直後のマリアと産まれたばかりのイエス(あれれ、ヨゼフはどこ行った?)。何とも大変なことではありますな。
【参考文献】
『Christie's London OLD MASTER, NINETEENTH AND TWENTIES CENTURY PRINTS TUESDAY 22 JUNE 1999』クリスティーズ
【目次】
(1)序
(2)黙示録
(3)東方の三博士の礼拝
(4)トビアと天使
(5)ミロへの敬意
(6)マドンナ
(7)ダビデとバト・シェバ
(8)ムーラン・ルージュのイギリス人
【関連記事】
・JESUS 奇蹟の生涯
P69に映画「バーニング・デッド」なるものを発見。
150年前の火山噴火の被害者たちが、ゾンビとなって現代に甦る! 灼熱の体と溶岩の唾液を持つ恐ろしいゾンビ軍団から、人々は生き延びることができるのか!?(P69)
ゾンビって色々なところからわくんですよねえ。墓場や遺跡、研究施設、そして今度は火山からお出ましですよ。
ちなみにYouTubeで「バーニング・デッド」の予告篇をチェックしたところ、人間の腕がもぎ取られるなどの残虐描写がバッチリ出てきますので、苦手な人はご注意を。まあ、ダニー・トレホが出ている時点でそこは察せられそうなものですが…。
「バーニング・デッド」予告篇
https://youtu.be/w7ATU9Pn1Ng
(P25)
作:アルブレヒト・デューラー
題:黙示録
黙示録とは「ヨハネの黙示録」のこと。黙示録文書は他にもありますが、新約聖書に収録されたのが「ヨハネの黙示録」であり、これが夙に有名であるため一般的に黙示録といえば「ヨハネの黙示録」を指します。
さて、こちらの絵ですが、調べてみたところ「ヨハネの黙示録」第十章を描いたもののようです。ここに引用するにはあまりにも長いのでやめておきますが、簡単に解説すると中央の男性は天使であり、右下のヨハネに巻物(絵では本)を食べさせています。
天使がヨハネに知識を授与した、ということなのでしょう。
【参考文献】
『Christie's London OLD MASTER, NINETEENTH AND TWENTIES CENTURY PRINTS TUESDAY 22 JUNE 1999』クリスティーズ
【目次】
(1)序
(2)黙示録
(3)東方の三博士の礼拝
(4)トビアと天使
(5)ミロへの敬意
(6)マドンナ
(7)ダビデとバト・シェバ
(8)ムーラン・ルージュのイギリス人
特集記事は「秋葉原ガード下であいましょう」(P06-13)。某有名歌謡曲のタイトルをもじっているようです。
さて、この中の日本百貨店しょくひんかん(P09)に私は行ったことがあります。何かのお茶と炊き込みご飯の素を買った記憶がありますな。たしか去年だったかなあ。
オークションカタログ。
マルク・シャガールやゴヤ、ムンク、ジョアン・ミロ、ピカソ、ロートレック、アンディ・ウォーホルといった、美術にそんなに詳しくない人でも知っているビッグネームの作品が掲載されています。
なぜここまで充実しているのかといえば、これが"PRINTS"、つまり木版画などの印刷物だから。手で描いたものならこうは行きますまい。
ちなみに本誌の表紙を飾る不気味な女性は、ムンクの「マドンナ」(P112)です。マドンナはイタリア語で聖母マリアを意味しますが、それが転じて「憧れの女性」という意味があり、現代では後者の方がよく使われます。(例:あの娘はクラスのマドンナだ!)
それでは、表紙のマドンナはどっちでしょうか? 私はムンクに詳しくないので正解を知っているわけではありませんが、どっちにも解釈できる、というのが私の回答です。
次回以降、収録作品を取り上げながら色々と感想を述べようと思います。
【参考文献】
『Christie's London OLD MASTER, NINETEENTH AND TWENTIES CENTURY PRINTS TUESDAY 22 JUNE 1999』クリスティーズ
【目次】
(1)序
(2)黙示録
(3)東方の三博士の礼拝
(4)トビアと天使
(5)ミロへの敬意
(6)マドンナ
(7)ダビデとバト・シェバ
(8)ムーラン・ルージュのイギリス人
この動画はYouTubeで観ました。
https://youtu.be/WV_sLDxDtHQ
出演:中野ひろこ、原田功一、間杉幸次
あらすじ…女性が歩いていると二人の男性にぶつかってしまう。女性はパニックを起こすが…。
アクション作品なのですが、この女性を見ていると寧ろホラーなんじゃないかと思えてきました。特に最後にノリノリで踊っているところなんか怖いわあ…。
この動画はニコニコ動画で観ました。
http://www.nicovideo.jp/watch/sm8885459
監督:酒徳ごうわく
出演:酒徳ごうわく、館長
備考:第12回国際ニコニコ映画祭大賞
あらすじ…二人の男が未開のジャングルを探索していると、空気アマゾネスに遭遇、襲われる。
空気アマゾネスを最初に見た時は出来の悪い空気嫁かと思いました。でも、空気嫁にしてはサイズが小さいし、そもそも自主制作という低予算の環境ではあれだけの数を揃えるのは不可能です。
それにしても後半シュールだ。
ここで挙げられている10兆円の根拠は以下の通り。
ニューヨーク・タイムズなどの取材によれば、軍事請負会社の市場規模は全世界でおよそ1000億ドル(約10兆円・二〇〇四年換算、以下同)にのぼるという。(P208-209)
そして最後に、本書はこうしめくくっています。
このように日本企業も含めて、巨額でかつ長期にわたるであろうイラク復興事業を、世界の企業が不況脱出のためのビジネスチャンスと見なし、事業に参加しようとしてしのぎを削る状況が、今後も続くことは間違いないだろう。(P251)
あの頃(本書は2005年8月10日初版発行)はイラクが安定するものと思われていたんでしたっけ(※1)。ところがどっこい、今はダーイシュ(ISIS)がいて復興どころじゃない。しかもダーイシュの勢力はシリアなどイラク国外にも広がっており、フセイン政権よりも厄介です。
そうですねえ、今の状況から考えると、上記の引用文のパロディとしてこんなことを書いておきましょうかね。
このようにブラック・ウォーターも含めて、巨額でかつ長期にわたるであろうダーイシュとの戦争を、世界のPMC(※2)がビジネスチャンスと見なし、戦争事業に参加しようとしてしのぎを削る状況が、今後も続くことは間違いないだろう。
問題は、誰がその巨額かつ長期にわたる費用を負担するのかということですが、原因を作ったアメリカは無論のこと、中東諸国にも「応分の負担」をしてもらいましょうか。何しろ、ダーイシュの「革命」が自分たちのところへ波及したら、自分の身が危うくなりますからね(シリアのアサド政権を見よ!)。
※1.悲観的な見方も多かったが、少なくともアメリカ政府のプロパガンダは楽観的だったと記憶している。
※2.軍事請負会社あるいは民間軍事会社とも訳される。ブラック・ウォーターは有名なPMC。
大戸屋テーブル・マガジン。大戸屋で昼飯を食った時に入手しました。
この中に三角食べの利点が述べられています。
「三角食べ」によって、少量のおかずでもご飯をしっかり食べることができ、おかずからの過剰な脂質や塩分の摂取や、食べ過ぎを抑えることができるのです。
へえ、そんなメリットがあったのか。ようし、それじゃあ今度、(大戸屋じゃないけど)ご飯・みそ汁おかわり自由の平日ランチを食べに行った時に意識して食ってみるか。あ、でも、現在の私の食べ方は三角食べにやや近いのであんまり効果はないか。
【追記】
後日、さ○ら水産の500円ランチで三角食べをやってみたところ、少量のおかずでご飯が捗る捗る。結構な効果を実感できました。
予想が外れたことは恥じ入るばかりですが、三角食べを修得したことを以って慰めとします。
監督:大洲齊
出演:松田優作、高橋洋子、五十嵐淳子、丹波哲郎
原作:山本周五郎「ひとごろし」(新潮文庫版)
備考:時代劇
あらすじ…江戸時代、福井藩。お抱え武芸者の仁藤昂軒は家中の恨みを買い闇討ちに遭うが、かえってこれを返り討ちにし、藩士の加納平兵衛らを殺して江戸へ向けて出奔する。藩主は激怒し上意討ちを命じるが、相手は剣と槍の達人であるため人選が難航する。とそこへ、家中一の臆病者・双子六兵衛が名乗り出て昂軒を討つことになる。
山本周五郎の作品は探偵小説を中心に色々と読んできましたが、「ひとごろし」は未読。又、「ひとごろし」はコント55号主演で映画化されています(※)がそちらも未見です。
臆病者の双子六兵衛が、剣と槍の達人である仁藤昂軒とまともに戦って勝ち目があるわけではない。闇討ちも無理。
そこで六兵衛が取った戦術はというと(予告篇にも出てくるのでここで言ってもネタバレにならないと思いますが)、彼にストーカーの如くつきまとい、「ひとごろしー!」と叫んで嫌がらせするというもの。いわゆる「弱者の戦術」というやつですな。
これはこれで痛快ではあります。まあ、「強者」にとっては不愉快千万の卑怯な振る舞いにしか見えないのでしょうけどね。
ところで、双子六兵衛を演じているのは松田優作ですが、「なんじゃこりゃー!」の人とは同一人物とは思えないほど臆病な侍になりきっています。演技が巧いんでしょうな、きっと。尚、声は相変わらずよく通るいい声です。
それにしても、おようの行動原理がよくわかりません。仁藤昂軒を泊めたかと思えば、いきなり旅籠を放り出して双子六兵衛に同行して一緒に嫌がらせをする。原作の小説を読めば何かわかるかもしれませんが、別にわからなくてもいいか。
※「初笑いびっくり武士道」というタイトルらしい。
【追記】
後日、原作小説を読みました。小説の感想はこちら。
この自主制作映画は、ニコニコ動画で観ました。
http://www.nicovideo.jp/watch/sm8961544
出演:ピコタン、猫
あらすじ…なし。
独特のテーマ曲に合わせてピコタンが登場、というのを繰り返すだけのシュールな作品。はっきり言ってわけがわからないし、廃墟などでは軽くホラー風味が入っていたりします。
まあ、わけのわからなさを楽しめるようになれば、それはそれでいいんじゃないでしょうか。
ちなみに、この動画の他にも1分28秒バージョンも見つけましたので、ついでに紹介しておきます。やってることは同じです。
http://www.nicovideo.jp/watch/sm8024205
この自主制作映画は、ニコニコ動画で観ました。
http://www.nicovideo.jp/watch/sm10024233
あらすじ…息子が父を質問攻めにする。
息子が父に質問して父が答える。ドリフのコントでそんなのがあったような気がしますが、こちらの作品ではシュールさが強い答えを繰り出しています。
ちなみに掛け軸の「馬場正平」とはジャイアント馬場の本名です。ストーリーとは全く関係ありません。これもシュールといえばシュールですな。
尚、オイディプスとはギリシア神話の人物で、(それとは知らずに)父を殺し母を犯したという。彼を主人公にした『オイディプス王』はギリシア悲劇の傑作として名高い。
それでは「オイディプス漫才」のどこがオイディプスなのかというと、息子の最後のセリフがどうやらそれっぽい。
この自主制作映画は、ニコニコ動画で観ました。
http://www.nicovideo.jp/watch/sm10227896
制作:ノートン
あらすじ…ゴールドバスターが突如タートルブルーのところへやってくる。
会話の内容から推測すると、ゴールドバスターが地球侵略を企む怪人で、タートルブルーがそれと敵対する戦隊ヒーローの一員です。
で、本来は対立しているはずの二人が何をするかというと、楽屋裏でするような話。レッドの悪口とかを言っちゃってます。お前ら結構仲いいんだな。何だか「ウォッチメン」のコメディアンとモーロック・ザ・ミスティックの会話のシーンを思い出しますぞ。
そして最後には衝撃の結末が…! まあ、あの怪人の衣装を作る予算がなかったんでしょうなあ。
この自主制作映画は、ニコニコ動画で観ました。
http://www.nicovideo.jp/watch/sm9390814
監督:KOUJI OKAMURO
あらすじ…潜水艦で緊急事態発生!
大学の課題「潜水艦」をテーマにして学生が作ったもので、クオリティが恐ろしく低い。美大の教授が激怒したのも当然ですわ。一応、ツッコミを入れさせていただきます。
(1)潜水艦の中という設定なのにやけに広い。おそらく大学のボイラー室を使用したんでしょうか。
(2)服装。さすがにジーンズはないだろ。
(3)BGM。スターウォー…いや、何でもない。
(4)役者の演技。バルブを回してないな、これ。
ここまでひどいと一種の味わいが感じられるから不思議なものです。
あらすじ…辺鄙な寒村の孤独な少年は、教会墓地のとある小さな墓を愛するようになる。
救いがない。
そもそも故知らぬ墓などを愛してどうなるというのでしょうか。いや、ひょっとしたら、それによってあの少年は冥府の者に気に入られちゃったのかもしれません。
【参考文献】
米澤穂信『世界堂書店』文藝春秋
あらすじ…「私」はノーラという女性の家に勝手に住み着きノーラにその存在を知られないように暮らす。
編者(米澤穂信)による巻末の「無限なんていらない――解説にかえて」では、本作について、
「愛を描いた小説だ」とか、「これは歴史小説だ」とか、自分の中でわかりやすく片付けるためのラベリングが通じない。(P392)
と述べています。これは無理からぬことで、そもそも主人公の「私」の正体が不明であるし、「私」が何を目的としているのか今一つわからないからです。
ただ、もしも私がラベリングするとしたら、これは妖怪小説です。だってこの主人公、妖怪の一種であり、ノーラに憑いたのだと言えますからね。
さて、「私」が妖怪であると判断したからには、私は彼女に名前を付けてやりましょうかね。最初に思い付いたのは「影女(かげおんな)」ですが、この名前は既に存在しているような気がするので、もう一ひねり入れて「影棲女(かげすみおんな)」…いや、それではこの妖怪がノーラの影に潜んでいるような印象を与えてしまいかねない。そうだ、影を陰に変えて「陰棲女(かげすみおんな)」と名付けておきます。
【参考文献】
米澤穂信『世界堂書店』文藝春秋
あらすじ…清朝末期の北京。ロシア公使の若き妻オーリガ・キリーロヴナが突如として失踪した。
タイトルの「東洋趣味」に「シノワズリ」とルビが振ってあります。原題は"Chinoiserie"であり、東洋趣味というよりも中国趣味といった方が適切でしょうか。
ともあれ、本作はこれでもかとばかりに中国趣味を押し出した作品で、公使館通使の通称チャーリー(本名ではない)を語り手として話を進めています。
さて、人物関係図をチェックすると、誰とも線でつながっていない人たちが見受けられます。彼らがどうつながるのかは後半のネタバレにもなりかねないので敢えて描写を省きました。本作を読む際は上図を印刷し、読み進めながら適宜書き込みをして行くといいでしょう。
最後に一つ。キアダって漢字でどう表記するんだ?
【参考文献】
米澤穂信『世界堂書店』文藝春秋
あらすじ…杭恵生は30年間宇宙を探検していた友人・趙杰と昼飯を食う。その際、趙杰から黒石星の話を聞く。
シャングリラとはチベットにあるとされる一種のユートピアのことですが、こちらのSF短篇にシャングリラは登場しません。おそらく象徴的な意味として使っているのでしょう。
あいにく私はシャングリラについてはロクに知らないのですが、トマス・モアの説くユートピアなら作品(『ユートピア』)を読んだことがあるので多少はわかっているつもりです。その知識から判断すると、黒石星はユートピア的であり、従って本作のタイトル「シャングリラ」は黒石星を指しているらしいです。
【参考文献】
米澤穂信『世界堂書店』文藝春秋
主演:フリオ・イグレシアス
備考:音楽DVD
フリオ・イグレシアスの1981年のエルサレム音楽ライブを収録・編集した音楽DVD。「エル・アモーレ」「33歳」などを収録。
収録曲の中の"Moliendo Cafe"(※)は、我々日本人が「コーヒールンバ」として知っている曲なのですが、残念ながらこの曲の収録時間は53秒しかありません。結構いい曲なのになあ。
※パッケージでは"Molienda Cafe(モリエンダ・カフェ)"と表記されていましたが、少々調べてみたところMoliendo Caféというのが正しいようです。
主演:ナット・キング・コール
備考:音楽DVD
自宅のDVD群を整理していたら「発掘」してしまった音楽DVD。私が買ったのに違いないが、どういう経緯で購入したのかさっぱり憶えていません。
さて、本作の中身はというと、ナット・キング・コールのライブ映像を集めたもので、最後の"Autumn Leaves(Les Feuilles Mortes)"(※)のみモノクロ映像となっています。
ところで、"The Way You Look Tonight"という曲で彼は鍵盤ハーモニカを吹いています。鍵盤ハーモニカは私も小学生の頃に音楽授業の一環で吹いていましたが、あのようなジャズ・サックスを思わせるような「格好いい」鍵盤ハーモニカの吹き方があるのかと思い知りました。
※この曲の邦題は「枯葉」だったと記憶している。
監督:市川崑
出演:長谷川一夫、山本富士子、若尾文子、市川雷蔵、勝新太郎
原作:三上於菟吉『雪之丞変化』
備考:時代劇
あらすじ…上方で評判の女形・中村雪之丞が江戸へやってくる。彼は元長崎奉行・土部三斎とその一味を仇と狙っていた。
まず最初に、この映画に登場する差別用語について。今日の観点からすれば不適切とされる言葉が出てきます。その言葉とは「河原者(かわらもの)」です。
【河原者】(1)中世、河原に住み、卑賤視された雑役や下級遊芸などに従った者。河原は当時穢(けがれ)を捨てる場所と考えられていた。かわらのもの。(2)江戸時代、歌舞伎役者の賤称。(広辞苑)
この映画では(2)の意味で使われており、殊に雪之丞を指します。
歌舞伎役者といえば今でこそ人間国宝を輩出するなど地位も高いものの、江戸時代は賤民として蔑まれていました。その社会的差別を考慮に入れるならば、雪之丞は被差別民に身を落としてでも復讐を遂げようとする、という執念を感じ取ることができるのです。
ところで、この映画の特色の一つとして、舞台演劇を意識した演出があります。遠くからの撮影はまるで一個の舞台を見ているようだし、出演者がやたらと説明口調になったりするのも舞台演劇ではよくあることです。
作風は異なりますが、フェデリコ・フェリーニの「サテリコン」を思い出しました。
最後に一つ。「雪之丞変化」は何度も映画化されているのみならず、ドラマ化や舞台化もされていますが、私が視聴したのはこの1963年版の映画だけです。ですので、他の同名作品との比較はここでは致しません。もしも比較レビューをご希望の場合は、時代劇マニアのところへでも行って、どうぞ。
あらすじ…フールミ夫妻は結婚してロンジュモーに移り住んでいたが、二十年後に一緒に自殺してしまう。実は夫妻は、なぜかロンジュモーの町の外へ出ることができなかったのだ。
本作の語り手は夫のフールミ氏の友人であり、フールミ氏からの手紙を紹介するという体裁を取って、どういう風に出られないのかを描写しています。又、語り手は「これが悪魔の働きに違いない」(P47)とまで言っています。
もし仮に悪魔の働きで町の外へ出られないのだとしたら、悪魔は夫妻を町に閉じ込めておいて何のメリットが…ああそうか、自殺者の魂二人分か(※)。でも、そのために20年もかけるのは悠長なことです。
※キリスト教の教義では、自殺者は地獄へ堕ちるという。ダンテの『神曲』にも自殺した者たちの地獄がありましたっけ。
【参考文献】
米澤穂信『世界堂書店』文藝春秋
あらすじ…古物商のジスカ氏は、口から出まかせの由来譚を客に話しては骨董品を売り付けていた。そんなある日、ジスカ氏は主人公(カーシュ氏)に、「破滅の種子」という指輪を売ろうとする。
落語の世界にもこういう人がいますわ。新田義貞(源頼朝だったかも)の子供の頃のしゃれこうべを売り付けようとしてましたっけ。
それはさておき、主人公はインチキだと承知しつつもついつい話に引き込まれて商品を買っています。ジスカ氏の口上が商品価値になっているわけですな。
もちろんジスカ氏が話す「破滅の種子」のストーリーも「与太を飛ばしていることは明らかだった」(P31)のですが、世の中にはビリーバーがいるもので…おっと、ここから先はネタバレ防止のために伏せておきます。
ともかくも、その程度の与太話でも信じちゃう人がいるし、話に尾ひれが付くことだってあります。都市伝説の本なんかを読んでいると、そういうケースに遭遇することもあります(例:口裂け女にポマード)。
【参考文献】
米澤穂信『世界堂書店』文藝春秋
あらすじ…年老いた光源氏は山の辺に隠棲する。とそこへ、花散里が変装して光源氏に近付き…。
『源氏物語』第41巻「幻(雲隠)」は巻名のみ伝わり現存せず、紫式部がわざと書かなかったとも言われています。
で、本作はその「幻」の部分を描いているのですが、ここで花散里を登場させましたか。ぶっちゃけ地味ではあるが、彼女にとっては一種の見せ場でしょうな。歌舞伎でいうところの「やつし」を想起させます。
【参考文献】
米澤穂信『世界堂書店』文藝春秋
映画「戒厳令」では『日本改造法案大綱』が重要なアイテムとして登場しますが、本書における『日本改造法案大綱』の地位はさほど高くはなく、全十一章の内の「第十章 擬ファシストへの道」(P293-326)にて論考しているくらいのものです。
それよりは寧ろ、『国体論及び純正社会主義』の方を重要視しているらしく、こちらは第四章~第六章(105-206)を丸々その論考に割いている程です。
『日本改造法案大綱』よりも『国体論及び純正社会主義』を重視するという点において、本書は映画「戒厳令」の補助教材にはあまりふさわしくないのかもしれませんが、『国体論及び純正社会主義』について知っておいても損はありますまい。
さて、『国体論及び純正社会主義』についてですが、著者(渡辺京二)は「日本近代国家と日本革命の性質を論じた部分」(P133)を次のように要約しています。長くなりますが引用します。
北は、明治三十年代の国家は、帝国憲法の水準では社会主義国家であるが、藩閥政府と教育勅語の水準では天皇制専制国家であり、現実の経済制度の水準では、ブルジョワジー・地主の支配する資本制国家であると把握した。さらに、日本はすでに維新革命によって法的には社会主義国家なのであるから、来るべき社会主義革命は、教育勅語水準の天皇制専制主義(すなわち彼の用語によれば「国体論的復古的革命主義」)を反国体、憲法違反として無化し、ブルジョワジー・地主の経済的階級支配を廃絶する第二維新、すなわち補足的な経済革命で十分である、と主張した。(P133-134)
この後、渡辺氏はこの理論を理解できない「知的カースト社会の住人」(P134)を非難していますが、理解できないのも無理はあるまい。それくらいブッ飛んでいます。
いや、渡辺氏はこの理論についての解説を長々と述べており、それをちゃんと読むならば論理の筋道が通っていることは了解できる(ただしそれが正しいかどうかは別)のでしょうが、そもそもの認識(把握)が自分とは違いすぎて私なんぞはまずついて行けません。
大日本帝国憲法が社会主義って…。
ところで、引用文中に「社会主義革命」や「ブルジョワジー」などといった語が散見されていますが、これは明らかにマルクス史観を下敷きにしています。ということは、この理論を理解するにはマルクス史観を基礎教養として修得していなければなりません。
なぜ私がわざわざこんなこと言うのかというと、それはマルクス史観が現在では時代遅れの考えであると一般的には見なされており、論壇の人や共産主義者なら知っているかもしれないが、一般にはあまり知られなくなっているからです。余計なお世話かもしれませんが、念のためにそのことは指摘させていただきます。
【関連記事】
渡辺京二『北一輝』筑摩書房(1)
・戒厳令(1973年)
【参考文献】
渡辺京二『北一輝』筑摩書房
北一輝論。映画「戒厳令」を視聴する際の補助教材として読みました。
厳しい態度の教授なんかに言わせれば、
「ぬわにい~? 北一輝について調べてるだと? だったら北一輝の論文もちゃんと読めよ」
となるのでしょう。北一輝をテーマに卒論を書こうという大学生に対してならばそれは正しいのかもしれませんが、あいにく私は映画を観るだけです。さすがに映画鑑賞ごときでその水準まで要求されることはあるまい。
尚、本書を読んで「戒厳令」のどの部分について理解が深まったかについては、「戒厳令」のレビュー記事の方に少々書いておいたのでここには書きません。
長くなってきたので続きは次回。というより、次回は長文になります。
【関連記事】
渡辺京二『北一輝』筑摩書房(2)
・戒厳令(1973年)
【参考文献】
渡辺京二『北一輝』筑摩書房
目黒雅叙園には宴会・婚礼の会場や宿泊施設もありますが、レストランもあります。
日曜日にちょっとした野暮用があって目黒雅叙園に行ってきたのですが、昼飯時にはここのレストランはどこも行列ができているのが見受けられました。
『レストランのご案内』をチェックすると飲食の料金は結構お高い感じがするのですが、それでも並ぶ程なんですねえ。
イラク戦争のコストを計算してみたら3兆ドルになったとのこと。しかもこれは「控えめ」な数値であり、計量化できないコストなどは含まれていません。又、3兆ドルのコストはアメリカに限ったものであり、イラクやイギリス、日本などが払ったコストは別にあります。
尚、巻末の「訳者あとがき」(楡井浩一)によると、本書は論文を加筆修正したものであるとのこと。そのため、一般的には少々とっつきにくいところがなきにしもあらず、というのが私の感触です。論文を読みこなす力が必要かもしれません。
ところで、この3兆ドルのコストの中には財政的コスト、社会的コスト、経済的コストというのがあって、コストを支払うのは政府だけでなく、兵士たちとその家族、一般市民、企業にも負担が及んでいることが本書の中でも述べられています。
負担の詳細は本書に譲りますが、これほどまでの「惨状」ではブッシュ大統領(当時)が無能呼ばわりされたのもうなずけるし、オバマ政権がイラクへの地上軍の投入をためらうのも理解できます。
それから、経済の悪影響についても少々触れておきます。本書のタイトルに「経済」の語が入っていますからね。
今日では、不真面目な例外を除くと、“戦争は経済を上向かせる”などと信じるエコノミストはひとりもいない。(中略)軍備に金を費やすことは、どぶを金に捨てることと同じ。兵器ではなく投資――工場投資、設備投資、インフラ投資、研究投資、健康投資、教育投資――に金を回しておけば、将来的に経済の生産性が向上し、より大きな成果を獲得できるかもしれないのだ。(P148-149)
つまり、「戦争したら景気がよくなる」なんて言ってる人がいたとしたらそいつは「不真面目な例外」ってことですか。あるいは、その人は経済がわかっていないだけなのかもしれません。
ちなみに日本は朝鮮戦争による特需(朝鮮特需)があったじゃないかと言われるかもしれませんが、あれは例外中の例外。だってそもそも、日本は朝鮮戦争に参戦していないんですからね(せいぜい機雷の掃海をこっそりやったくらい)。それに、当時の日本は敗戦でボロボロであり、今みたいにPKO部隊や莫大な復興資金を出すことなんか不可能でしたぜ。
【参考文献】
ジョゼフ・E・スティグリッツ、リンダ・ビルムズ『世界を不幸にするアメリカの戦争経済 イラク戦費3兆ドルの衝撃』徳間書店
最近のコメント