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副島隆彦『あと5年で中国が世界を制覇する』ビジネス社(1)

 本書が執筆されたのが2009年(※)、そして私が本書を読んでいるのは2015年です。6年は経っているわけですが、それでは本書のタイトル通りに中国が世界を制覇したかというと、残念ながら否定せざるをえない。つまり、副島氏の予測は外れたということです。
 例えば、AIIBにアメリカと日本は参加しませんでしたが、それによってAIIBの力は大きく削がれることになっており、中国が世界を制覇しているならば(たとえ日米を外しても)こうはならない。
 ちなみに、巻末の「あとがき」では一種の「逃げ」を打っています。

本書の書名どおりに「あと5年で中国が世界覇権国になる」と私が分析し、予測した通りになるためには、中国自身が、一皮大きく脱皮しなければならない。(P238)

 具体的に何をしなければならないのかというと、「共産党の一党支配体制をやめて複数政党制と普通選挙制による民主政治体制を示すこと」(P238)と、「台湾、チベット、新疆ウイグル自治区」(P238)に「ふところの深い大きな自治権を与えて、台湾人、チベット人、ウイグル人による本物の自治政府を認めること」(P238-239)だそうです。そんなの中国政府にとっては自殺行為に等しいんじゃ…。少なくとも、権力者層の大幅な変動と国内の大混乱は避けられませんぜ。
 ともあれ、こんな条件を中国政府が達成するのは無理無謀なので、外れてもやむなしというのが副島氏の弁明になるのでしょうか。

 長くなってきたので続きは次回。

※巻末の「あとがき」の日付が「2009年8月10日」(P239)となっている。

【参考文献】
副島隆彦『あと5年で中国が世界を制覇する』ビジネス社

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