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宮脇淳子『韓流時代劇と朝鮮史の真実 朝鮮半島をめぐる歴史歪曲の舞台裏』扶桑社

 『朱蒙』『大王四神記』『善徳女王』『龍の涙』『宮廷女官チャングムの誓い』『ファン・ジニ』『イ・サン』に描かれた「歴史」のどこからどこまでが史書の記述に基いていて、どこからどこまでがウソ、創作、ファンタジーなのかを述べたもの。
 私はこれら7つの韓流時代劇を観たことはありませんが、映画ならば「王の男」(※1)を観たことがあります。「王の男」を観た時にはホモホモしい描写にばかり目が行きましたが、本書を読み終えた今となってはあの派手な衣装も史実では…。
 まあ、私は著者(宮脇淳子)ほど朝鮮史に詳しくないので、「王の男」について史実とどこが違うのかはここでは書きません。どうしても知りたい方は、自分で燕山君の事績を調べるなり何なりして下さい。

 それはさておき、私から本書について批判めいたことを少々述べさせていただきます。正確に言えば私と著者のスタンスの違いということなのですが。
 本書の中で、このような記述がありました。

 ところが、『三国史記』から約100年後に、一然というお坊さんによって書かれた『三国遺事』は、一応『三国史記』と並ぶ古代朝鮮に関する資料なのですが、その内容はといえば言いたい放題です。シナの古い資料を無視して、何千年も前から古代朝鮮国家が存在していたことにしたのです。一然は、自分でデッチ上げた歴史書『朝鮮古記』に書かれていたとして、次のように記しています。(P53)

 この後、檀君神話が引用されますが、有名な話なので割愛。
 私は折口信夫や柳田國男などの影響もあってか、神話や伝説を一概に後世の創作と断ずるを潔しとせず、これを分析の対象と見なしています。
 例えば檀君神話の中で桓雄との間に子をもうけるのは熊(熊女)ですが、なぜ狼や虎、犬や猿などでなくて熊なのか? これは熊を祖先とするトーテミズムを持つ部族の伝承が入り込んでいると見ることができる、といった具合です。
 もちろん、「熊は人間の祖先ではない」というのは現代科学の常識です(※2)。しかしだからといってトーテミズムの伝承まで否定していいのかというとそれは違う、というのが民俗学的な見地だと申し上げておきましょうか。
 とはいえ、そもそも本書は歴史(朝鮮史)について述べたものであって、民俗学の本ではないから、これはこれで一つの見識ではある、ということも同時に申し上げておきます。

※1.李氏朝鮮の暴君・燕山君と、彼の寵愛を受けることになった旅芸人のホモカップルの三角関係を描いたホモ映画。
※2.同様に、蒼き狼と白き牝鹿からモンゴル人が産まれるということも科学的にはありえない。そう、科学的には、ね。

【参考文献】
宮脇淳子『韓流時代劇と朝鮮史の真実 朝鮮半島をめぐる歴史歪曲の舞台裏』扶桑社

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