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フォルカー・ベルクハーン『第一次世界大戦 1914-1918』東海大学出版部(4)

 「第五章 敗者と『勝者』」(P89-115)では第一節でロシア帝国が、そして第二節では「二つの中央ヨーロッパ帝国」(P99, ドイツ帝国とオーストリア=ハンガリー二重帝国のこと)がどのような末路を辿ったのかが描かれ、第三節では講和締結以降のヨーロッパ情勢が描かれています。
 さて、ここで第五章のタイトルの「勝者」にカギカッコが付いていることに注目されたい。わざわざカギカッコを付けるということは、勝者は勝者であるとされているけれども実は勝者ではないとの意を含めているのです。

ここでは最後にもう一度、第一次世界大戦の代償を思い浮かべることが重要である。その損失の叙述からこの書は始まっている。この戦争がすべての参戦国の社会にとっては破局であり、その中で最終的に勝者がいなかったことは、疑いようがない事実である。そして、ヨーロッパと最終的には世界で一九四五年までに起こったことを深く考えるならば、第一次世界大戦はまさに二〇世紀の「最初の破局」(ジョージ・F・ケナン)であった。(P114-115)

 まあ、アメリカでは第一次世界大戦後に『華麗なるギャツビー』に描かれるような好況が到来するから、アメリカが勝者らしい勝者と言えないこともない。

【目次】
フォルカー・ベルクハーン『第一次世界大戦 1914-1918』東海大学出版部(1)
フォルカー・ベルクハーン『第一次世界大戦 1914-1918』東海大学出版部(2)
フォルカー・ベルクハーン『第一次世界大戦 1914-1918』東海大学出版部(3)
フォルカー・ベルクハーン『第一次世界大戦 1914-1918』東海大学出版部(4)

【参考文献】
フォルカー・ベルクハーン『第一次世界大戦 1914-1918』東海大学出版部

【関連記事】
木村靖二『第一次世界大戦』筑摩書房
別宮暖朗『第一次世界大戦はなぜ始まったのか』文藝春秋

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