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フォルカー・ベルクハーン『第一次世界大戦 1914-1918』東海大学出版部(2)

 「第一章 第一次世界大戦とその損失」(P1-17)では第一次世界大戦で列強がどれだけの損失を蒙ったかを計算しています。

 直接戦闘で命を落とした総数九四〇万人のうち、イギリス、フランス、そしてドイツではかなり信頼できる数字が分かっている。戦死者数は、イギリスが七二万三〇〇〇人、フランスが一三二万人、ドイツが二〇三万人であった。ロシアの戦死者数が一八一万人、オーストリア=ハンガリーの戦死者数一一〇万人というのは、余りにも少なく見積もり過ぎているかもしれない。(P4)

 さまざまな要因を計算に入れると、両陣営の列強は第一次世界大戦で一七五〇億ドル以上を費やした。その総額中三七八億ドルを使ったドイツと三五三億ドルを使ったイギリスは、トップクラスである。次はフランスで二四三億ドルを支出した。以下、アメリカ二二六億ドル、ロシア二二三億ドル、オーストリア=ハンガリー二〇六億ドル、イタリア一二四億ドルと並ぶ。(P9)

 総力戦を4年も続ければこうなるわけですな。『孫子』に「兵は国の大事」とありますが、その言葉をここで噛みしめることになろうとは…。
 ともあれ、これだけの損失を出したのだから、敗者が過酷な運命を辿るのは無論のこと、勝者であっても安閑としてはいられますまい。
 戦後、フランスがドイツに巨額の賠償金を請求したり、ルール地方を占領したのもわからなくはない。とはいえ、結果としてそれらの行為は自分の首を絞めることになるのですが…。

【目次】
フォルカー・ベルクハーン『第一次世界大戦 1914-1918』東海大学出版部(1)
フォルカー・ベルクハーン『第一次世界大戦 1914-1918』東海大学出版部(2)
フォルカー・ベルクハーン『第一次世界大戦 1914-1918』東海大学出版部(3)
フォルカー・ベルクハーン『第一次世界大戦 1914-1918』東海大学出版部(4)

【参考文献】
フォルカー・ベルクハーン『第一次世界大戦 1914-1918』東海大学出版部

【関連記事】
木村靖二『第一次世界大戦』筑摩書房
別宮暖朗『第一次世界大戦はなぜ始まったのか』文藝春秋

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