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アドルフ・ヒトラー『わが闘争(下)』角川書店(15)

 第15章「権利としての正当防衛」ではルール占領について述べています。尚、ルール占領について簡単に説明すると、1923年にフランスとベルギーがドイツのルール地方を占領した事件です。
 この事件に際してドイツが取る対応は、ヒトラーによると「とにかく二つしか可能性はなかった」(P388)という。随分と選択肢が少ないような気もしますが、ともかくもその二つとは以下の通り。

(1)「その運命をも忍耐してなにもしない」(P388)。つまり泣き寝入り。
(2)「この永遠の恥辱を終らせて」(P388)、「灼熱した意志をドイツ民族にえさせる」(P388)。つまり断固として戦え、と。

 もちろんヒトラーが推奨するのは(2)ですが、当時のドイツ政府はどう対応したかというと、「第三の道」(P388)を取りました。即ちルール地方の労働者にゼネストを起こさせたのです。
 この対応についてヒトラーはこう評価しています。

 第三の道を発見したのは、当時の首相、クノー様の不朽の功労であり、その道を称賛してそれに協力したことはわがブルジョア政党連中の一層光輝あるお手柄だった。(P388)

 『わが闘争』の中でヒトラーは何度も何度もクノーやブルジョア政党を批判していることからもわかる通り、これは皮肉です。ヒトラーのような「過激派」にしてみれば、ゼネストなんて生ぬるくて我慢がならなかったのは想像に難くありません。

【参考文献】
アドルフ・ヒトラー『わが闘争(下)』角川書店

『わが闘争』(目次)

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