モーリス・ルブラン『ルパン、最後の恋』早川書房(3)
物語の終わりの方で、ルパンが愛を囁くくだりが出てきます。一部、引用します。
「ああ、いとしい人」と彼は口ごもるように言った。「もちろん、あなたを愛しています。もう、あなたなしではいられません。あなたの顔が見たい。声が聞きたい。なんて気高く、美しいんだ。あなたのような人はめったにいない。わたしはあなたのためだけに生きているんです。ええ、愛しています。ひと目見たときから、ずっと愛していました。そのときから、あなたのことだけを考えてきた。わたしの命はあなたのものです。あなたの前に愛した女は一人もいません。本当に愛した女は。わたしがそう言うのを聞きたいなら、何度でも言いましょう。でも、結婚だけは望まないでください。わたしは結婚すべきではないのです」(P222-223)
太字部分を読んだ時は笑ってしまいました。嘘つけ、お前がこれまで愛してきた女たちはどうなるんだ?
こんなことをぬけぬけと言ってのけるとは、さすがはフランス男の鑑(笑)。私なんかには到底できっこない芸当です。
【参考文献】
モーリス・ルブラン『ルパン、最後の恋』早川書房
【目次】
・ルパン、最後の恋(1)
・ルパン、最後の恋(2)
・ルパン、最後の恋(3)
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