ディクスン・カー「空中の足跡」
あらすじ…トパム夫人が何者かに襲撃される事件が発生。容疑者として、隣家のドロシー・ブラントが浮上するが…。
このテの短篇小説を読んできた経験から言わせてもらえば、こういう風に最初に容疑者と目された人物がシロだった、というケースが多い。そう考えて他の人物に目を転じてみると、誰とは言いませんがこいつはクサイなと思った人物がいました。
そいつが犯人だったか否かについても、ネタバレ防止のために伏せておきますが、犯行の動機はさもありなんといったものだったと述べておきます。
…え? 犯行のトリック?
そもそもこの事件では、ドロシーの靴のサイズの足跡が二つの家の間を往復しており、それが彼女の容疑を有力なものにしています。しかし、この足跡だけで彼女を犯人と断定する筋立てならば読者は納得しないし、作者(ディクスン・カー)だってそんな下手は打たない。だとすればドロシーのものとされる足跡は偽装されたものではないのか、という推理ができないこともない。
おっと、これ以上はネタバレになるので伏せておきます。
【参考文献】
ディクスン・カー『カー短編集1』東京創元社
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