無料ブログはココログ

« 2014年12月 | トップページ | 2015年2月 »

ディクスン・カー「二つの死」

あらすじ…過労で倒れた社長が、弟のすすめに従って世界一周旅行に出向くが、出発時に不可解な事件が起こる。

Photo_6

 社長のトニー・マーヴェルが船室に戻った時、寝台の上にピストルが置いてありました。これは誰かがトニーに「死ね」と言ってるんだなと思いました。
 このメッセージの読み取りが正しかったか否かはともかくとして、少なくともトニーが標的であることは明白であり、それに従って「トニーが死んだら、誰が一番得をするか?」と考えてみることができます。
 おっと、これ以上書くとネタバレになりかねないのでこれくらいにしておきます。

【参考文献】
ディクスン・カー『カー短編集1』東京創元社

ディクスン・カー「もう一人の絞刑吏」

あらすじ…19世紀末のペンシルヴェニア州。無頼漢のフレッド・ジョリフがランドール・フレイザー殺しの容疑で逮捕され、裁判で死刑が宣告される。フレッドは絞殺刑に処されることになるのだが…。

Photo_5

 マーチスン判事が聞き手に語って聞かせるという、話中話の形式を取っており、上記の人物関係図で聞き手以外は19世紀末となっています。
 尚、マーチスン判事の話の中には他にも色々な人物の名前が出てきますが(例:マーク・スタージス、チャーリー・コネル、ジム・ライリー等)、割愛。短篇作品にしては人物名が多く登場するので注意が必要です。

【参考文献】
ディクスン・カー『カー短編集1』東京創元社

ディクスン・カー「暁の出来事」

あらすじ…海岸の岩礁の上でノーマン・ケインが突然倒れる。主治医のヘイスティングズ博士は他殺を主張するが、死体が波にさらわれてしまう。

「暁の出来事」人物関係図

 上記の人物の内、ライオネル・ペルについては関係図を見てもよくわからないと思うので、ちょっと引用します。

ステイシーは、このライオネル・ペル青年の、きざで横柄で、いやにとり澄ました様子が、虫ずの走るくらい嫌いだった。ノーマン・ケインがまだ若いころ、ライオネルの母親に求婚したのだそうだ。むろん彼女が、故ペル氏と結婚する以前のことだが、ライオネルはこの事実によって、いつでも好きなときに、ケインの屋敷に滞在する権利があると信じているらしい。(P165-166)

 こういう「いかにも」な人物が配されていますが、山本周五郎の探偵小説なら彼が犯人であってもおかしくない。ただ、ディクスン・カーならば読者の意表を突いてくるはずなので、彼のような人物を犯人にはしないんじゃないでしょうか。
 あ、ちなみに、アガサ・クリスティーならば、最初は彼を犯人だと匂わせておいて、中盤でそれを否定する証拠を出し、終盤のドンデン返しでやっぱり彼が真犯人だった、なんてことをやらかすかもしれません。

【参考文献】
ディクスン・カー『カー短編集1』東京創元社

ディクスン・カー「銀色のカーテン」

あらすじ…賭博で負けた男が、一万フラン提供するから、ある場所に来るよう指示される。そこへ行き着いた途端、目の前で短剣を頸のうしろに刺された被害者を見た。その広場にはほかに誰一人いなかったので、発見者が加害者視される(P332, 巻末の解説文より引用)

「銀色のカーテン」人物関係図

 カジノの客の中にひょっこりマーチ大佐の名前が出て来たので、「楽屋の死」の時と同様になんらかの捜査の最中ではないかと感付いてしまいました。
 そういえば話の構図がどことなく「楽屋の死」と似ていますな(どこがどう似ているのかはネタバレになるので伏せておきます)。

【参考文献】
ディクスン・カー『カー短編集1』東京創元社

ディクスン・カー「楽屋の死」

あらすじ…評判のダンサーが楽屋で殺された。第一発見者の白い毛皮首巻きの娘に容疑が向けられるが…。

「楽屋の死」人物関係図

 物語の途中でマーチ大佐がクラブにいることがわかった時、
「ああ、捜査中だったのだな」
 と感付きました。マーチ大佐のプライベートは全く知りませんが、マーチ大佐の名前を出したジム・マシューズの口調が明らかに仕事モードだったので、マーチ大佐も仕事で来ているのだなと思った次第。

【参考文献】
ディクスン・カー『カー短編集1』東京創元社

ディクスン・カー「ホット・マネー」

あらすじ…ロンドンで銀行強盗事件が発生。犯人一味は逮捕されたが、盗まれた大金が消えていた。

「ホット・マネー」人物関係図

 弁護士のアイアトン・ボールダーが書斎のどこかに隠したらしい、ということで捜索が始まるのですが、この件に関してマーチ大佐は「オーギュスト・デュパンの《盗まれた手紙》」(P85)に言及しています。正確に言えばエドガー・アラン・ポーが書いた、オーギュスト・デュパンを主人公にした短篇小説「盗まれた手紙」のことで、明らかにこの作品を意識して書かれています。

【参考文献】
ディクスン・カー『カー短編集1』東京創元社

ディクスン・カー「空中の足跡」

あらすじ…トパム夫人が何者かに襲撃される事件が発生。容疑者として、隣家のドロシー・ブラントが浮上するが…。

「空中の足跡」人物関係図

 このテの短篇小説を読んできた経験から言わせてもらえば、こういう風に最初に容疑者と目された人物がシロだった、というケースが多い。そう考えて他の人物に目を転じてみると、誰とは言いませんがこいつはクサイなと思った人物がいました。
 そいつが犯人だったか否かについても、ネタバレ防止のために伏せておきますが、犯行の動機はさもありなんといったものだったと述べておきます。

 …え? 犯行のトリック?
 そもそもこの事件では、ドロシーの靴のサイズの足跡が二つの家の間を往復しており、それが彼女の容疑を有力なものにしています。しかし、この足跡だけで彼女を犯人と断定する筋立てならば読者は納得しないし、作者(ディクスン・カー)だってそんな下手は打たない。だとすればドロシーのものとされる足跡は偽装されたものではないのか、という推理ができないこともない。
 おっと、これ以上はネタバレになるので伏せておきます。

【参考文献】
ディクスン・カー『カー短編集1』東京創元社

ディクスン・カー「新透明人間」

あらすじ…ロンドン警視庁D三課に一人の男がやってくる。透明人間が老人を銃で撃ち殺すのを目撃したのだが、現場へ行ってみると死体も何もなかったのだという。

「新透明人間」人物関係図

 目撃者のホレイス・ロドマンは覗き魔で、覗きの最中に「犯行現場」を目撃してしまったという次第。ネタバレ防止のために詳細は伏せますが、彼が目撃したのは全くの偶然だったと考えるのは迂闊だと指摘しておきます。

【参考文献】
ディクスン・カー『カー短編集1』東京創元社

町山智浩・柳下毅一郎・ギンティ小林『雑食映画ガイド』双葉社

 映画コラム集。尚、本書で取り上げられている映画作品の内、当ブログでレビューしているのは以下の通り。

ハート・ロッカー(P60)
アザー・ガイズ 俺たち踊るハイパー刑事!(P76)
ウォッチメン(P142)
アベンジャーズ(P174)
アイアン・スカイ(P176)
七人のマッハ!!!!!!!(P190)
新宿インシデント(P234)
エクスペンダブルズ(P242)
トロール・ハンター(P250)

 たったの9本。私もまだまだといったところでしょうか。あ、でも、本書には相当マニアックなものも含まれているので、そのあたりは観ていなくても別におかしくはないか。

【参考文献】
町山智浩・柳下毅一郎・ギンティ小林『雑食映画ガイド』双葉社

高木卓訳『義経記』河出書房新社(8)

巻八あらすじ…義経は藤原泰衡の裏切りに遭って死ぬ。

衣川の合戦人物関係図

 衣川の合戦の人物関係図を作ってみると、泰衡方のモブ感が半端じゃないことに気付きました。一応、長崎太郎(郎党)が大将なのですが、三万騎を率いるような器には見えない…。
 誇張しているにせよ三万騎ともなれば大軍ですので、ここは郎党ではなくせめて城主クラスを出した方がよかったかもしれません。

【参考文献】
高木卓訳『義経記』河出書房新社

【目次】
義経記(1)
義経記(2)
義経記(3)
義経記(4)
義経記(5)
義経記(6)
義経記(7)
義経記(8)

高木卓訳『義経記』河出書房新社(7)

巻七あらすじ…義経一行は奥州へ下ることにする。

 奈良から逃げた義経は京およびその郊外に潜伏していましたが、とうとうそこにもいられなくなったので奥州へ行くことにします。しかも、またもや妊娠中の女を連れて(今回の女は久我の大臣の姫ぎみ)。
 おいおい、女を連れての逃亡生活の厳しさは静御前の時に学習しなかったのか? 案の定、彼女の存在は逃亡をより一層困難にさせるというエピソードがこれでもかこれでもかと出てきます。

【参考文献】
高木卓訳『義経記』河出書房新社

【目次】
義経記(1)
義経記(2)
義経記(3)
義経記(4)
義経記(5)
義経記(6)
義経記(7)
義経記(8)

高木卓訳『義経記』河出書房新社(6)

巻六あらすじ…佐藤忠信が壮絶な最期を遂げる。義経が奈良に潜伏する。静御前が鶴ガ丘八幡宮で舞を見せる。

 義経は吉野を出た後、奈良の勧修坊に匿われます。でも、よくよく考えてみると、奈良は吉野よりも京都に近いし人も多い(南都と呼ばれるくらいですから)ので潜伏には不向きではないでしょうか。
 と思ったら、奈良法師の美作のセリフ(P391)にアイツは九郎判官(義経)じゃないのかというのがあって、割とあっさり身バレしています。だめだこりゃ。

【参考文献】
高木卓訳『義経記』河出書房新社

【目次】
義経記(1)
義経記(2)
義経記(3)
義経記(4)
義経記(5)
義経記(6)
義経記(7)
義経記(8)

高木卓訳『義経記』河出書房新社(5)

巻五あらすじ…義経一行は吉野に潜伏するが、そこへも追手がやってくる。

 義経の逃亡劇はまだまだ序の口で、巻六、巻七と逃亡生活が続きます。そう考えるとよくもまあ体力と気力がもったものだ。
 ちなみに義経はこの吉野山で妊娠中の静御前を棄てています(P284)。ひどい話ですが、それだけ切羽詰っていたということでしょうか。

【参考文献】
高木卓訳『義経記』河出書房新社

【目次】
義経記(1)
義経記(2)
義経記(3)
義経記(4)
義経記(5)
義経記(6)
義経記(7)
義経記(8)

高木卓訳『義経記』河出書房新社(4)

巻四あらすじ…源義経は平家追討で活躍し判官となる。だが、梶原景時の讒言により追われる身となってしまう。

 源義経がその人生の中で最も栄光に包まれたであろう戦争のくだりが実に簡潔に片付けられています。

 義経は、寿永三年(一一八四)に京都へいって、都から平家を追いはらったが、まず一ノ谷[神戸市須磨区のあたり]、その翌年は屋島、壇ノ浦と、各地で忠節をつくし、ひとびとにさきがけて力のかぎり戦って、翌年、ついに平家をほろぼした。(P187-188)

 さすがにこれだけでは不足だったのか、梶原景時が源頼朝に讒言するくだりで義経の活躍がもう少し詳しく描写されています。それにしても、よりによって悪役の悪口からそれが出てくるとはねえ。
 あ、ちなみに、引用文には史実と相違する点があります。都から平家を追い払ったのは義経ではなく木曽義仲であり、義経が都から追い払ったのはその義仲です。巻三には登場した(P166)木曽義仲の存在がいつの間にか消されています。

【参考文献】
高木卓訳『義経記』河出書房新社

【目次】
義経記(1)
義経記(2)
義経記(3)
義経記(4)
義経記(5)
義経記(6)
義経記(7)
義経記(8)

高木卓訳『義経記』河出書房新社(3)

巻三あらすじ…弁慶が色々あって義経の家来になる。

『義経記』巻三前半の人物関係図

 巻三の前半で弁慶の半生が描かれ、後半でようやく義経と出会います。
 尚、一般的な伝説では二人の出会いは五条の橋の上で義経は元服前の稚児姿ですが、『義経記』では場所は堀川通りであり、しかも義経はこの時点で既に元服しているので成人男性の格好をしています。絵的には大男VS少年の構図の方がダビデとゴリアテみたいでいいような気がしないでもない。

【参考文献】
高木卓訳『義経記』河出書房新社

【目次】
義経記(1)
義経記(2)
義経記(3)
義経記(4)
義経記(5)
義経記(6)
義経記(7)
義経記(8)

高木卓訳『義経記』河出書房新社(2)

巻二あらすじ…遮那王は鏡の宿で強盗を撃退した後、熱田神宮で元服して義経と名乗る。色々あって奥州平泉へ辿り着き、藤原秀衡から歓待を受ける。ある時、義経はふと思い立って都へとんぼ返りし、鬼一法眼が秘蔵する兵法の本を読もうとする。

 鬼一法眼が持つ兵法の本とは一体どんなものだろうかと思ったら、『六韜』(P90)とのこと。『六韜』くらいの有名な書物なら平泉にもありそうなものですが…。
 それはさておき、義経がどうやって『六韜』を読むのかというと、一言で言えば「女をたらし込む」です。さすがは源氏のイケメン御曹司といったところでしょうか。
 ちなみに義経にたらし込まれた娘(鬼一法眼の末娘)は、用済みになるや義経に捨てられ、嘆き死にを遂げます。享年16歳。ひどい話だ。

【参考文献】
高木卓訳『義経記』河出書房新社

【目次】
義経記(1)
義経記(2)
義経記(3)
義経記(4)
義経記(5)
義経記(6)
義経記(7)
義経記(8)

高木卓訳『義経記』河出書房新社(1)

巻一あらすじ…源義朝の末子・牛若は鞍馬山に入れられる。その後、牛若は遮那王と名を変え、金売り吉次に連れられて東へ旅立つ。

 P34-35に牛若の妄想戦記(俺が挙兵したらこんな風に戦うぞー!)が展開されています。少年の中二病的な空想と言ってしまえばそれまでですが、簡単に整理すると以下の通り。

(1)奥州の藤原秀衡の軍18万騎の内の8万騎を率いて関東へ行く。
(2)関東で12万騎を集め、10万騎を頼朝に預け、10万騎を木曽義仲に預ける。
(3)北陸へ渡り、10万騎を集める。
(4)西近江へ出て、頼朝の10万騎と義仲の10万騎と合流し(合計30万騎)、都へ攻め上る。
(5)10万騎を朝廷に献上する。

 突っ込みどころがたくさんあって困ってしまいますが、一つだけ挙げておくと、どうもこの構想には平家が追討軍を派遣してくることが想定されていないらしいのです。まあ、たとえ追討軍が来たとしてもその都度撃退すればいいやと、少年牛若なら思うかもしれませんな。

【参考文献】
高木卓訳『義経記』河出書房新社

【目次】
義経記(1)
義経記(2)
義経記(3)
義経記(4)
義経記(5)
義経記(6)
義経記(7)
義経記(8)

『浄土真宗・唯 yui 秋号(VOL.9)』伝道資料センター

 裏表紙の記述によると本誌は「2007年9月1日発行」とのことですが、私がこれを入手したのは2015年1月24日の築地本願寺です。8年も前のフリーペーパーを入手できるとは思いませんでした。仏のお導きか!?
 それはさておき、表紙を飾る動物は、説明文によると虎らしいのですが、毛の色を見るに霊獣の白虎のように見受けられます。

浄土真宗・唯 yui 秋号(VOL.9)

町山智浩『教科書に載ってないUSA語録』文藝春秋

 なぜ「教科書に載ってない」のかというと、最近の流行語や新語、スラング、下ネタが満載だから。例えば「I'm a tough motherfucker!」(P120)なんて教科書に載せられませんよ。あ、でも、「We are the 99%」(P293)は将来の教科書に「当時はこんな世相だった」といったような記述で掲載されるかもしれませんな。

【参考文献】
町山智浩『教科書に載ってないUSA語録』文藝春秋

マイノリティ・リポート(2002年、アメリカ)

監督:スティーブン・スピルバーグ
出演:トム・クルーズ、サマンサ・モートン、コリン・ファレル、マックス・フォン・シドー
原題:Minority Report
原作:フィリップ・K・ディック「少数報告」
備考:SF

あらすじ…西暦2054年のワシントンD.C.。司法省のエリート班、犯罪予防局(プリ・クライム)が設置されてから6年、殺人事件はゼロ、犯罪件数も90%減少という成果が出ていた。それは未来を透視できる4人のプリコグ(予知能力者)に予知された“未来”殺人の光景を、、犯罪予防局が分析・判定し、事件が起こる前に“犯人”を逮捕し、殺人を未然に防ぐという最先端のシステムが成功を収めていたからである。
犯罪予防局のチームのトップに立つジョン・アンダートンは、愛する息子を失った事件をきっかけに、このシステムに自分の情熱のすべてを捧げてきた。しかし、ある日、ジョンは自分が36時間以内に見ず知らずの他人を殺害すると予知されたことを知る。今や追われる立場となったジョンは、最新鋭の自動化された都市の探知網をかいくぐって必死の逃走を試みる。彼が助かる道はただ一つ、自ら信じてきたシステムに隠されてきた真実、“少数報告”を暴くことであった――。
(DVDパッケージ裏の紹介文より引用)

「マイノリティ・リポート」人物関係図

 網膜スキャンによる監視システムやスパイダー、ジェット・パックなど、B級SF映画ならばそれ単独で使えそうな要素を作品のそこかしこにぜいたくに配しており、その点では大作の名に恥じないと言っていい。
 ちなみに、色々と盛り込みすぎたためか、この映画は146分という長編になってしまっているのですが、テンポよく話が進むので私はあまり気になりませんでした。

 さて、ここからは突っ込みどころを少々。
 犯罪予防局ではプリコグの3人が殺人を予知しているのですが、いくら何でも3人じゃカバーできないんじゃないでしょうか。アメリカは広いし、人口だって多いですからねえ。
 しかも、映画の説明を見る限りでは彼らは希少な存在であり、欠員が生じたからといって補充できるわけではなさそうです。だとすると、プリコグは10年後、20年後も続けられるようなシステムではありませんな。
 それから、ジョンは捜査の網をかいくぐるために自分の眼球を他人のものと取り替えるのですが、摘出した自分の眼球を使って犯罪予防局の裏口から侵入します(出入口の認証システムが網膜スキャンになっている)。いや、ちょっと待てよ。この時点でジョンは指名手配犯なんだから、アカウントを停止しておかなきゃダメだろ。

マイノリティ・リポート 特別編

『SOUTH KENSINGTON THE JAPANESE AESTHETIC Tuesday 17 December 2013』CHRISTIE'S(8)春画

 たまにはエロい作品を紹介します。春画です。

鈴木晴信「雪月華」より(P100)
鈴木晴信「雪月華」より

 上に掲載した画像は念のため修正が入れてありますが、カタログの方では無修正であり、男女共に性器がバッチリ描かれていて、しかも入っています。
 この二人、畑での農作業中に仕事を放り出して青姦していますが、よく見ると周囲は雪が降り積もっています。こんな寒い状況でよくもまあズッコンバッコンできますねえ。
 よい子のみんなはマネしないでね!

【参考文献】
『SOUTH KENSINGTON THE JAPANESE AESTHETIC Tuesday 17 December 2013』CHRISTIE'S

『SOUTH KENSINGTON THE JAPANESE AESTHETIC Tuesday 17 December 2013』CHRISTIE'S(7)呉用

Photo_7(P77)
歌川国芳「智多星呉用」

 文章の解読に成功したので引用します。

通俗 水滸伝豪傑百八人之一個
智多星呉用
一勇斎国芳画
東溪村の人
にして字ハ呉学究道
号を加●
(穴かんむりに流)先生といふ
陣法は孔明太公望に
不劣
(おとらず)陰謀ハ苑(范の誤り)
にも勝れり
梁山泊之
軍師なり

 呉用とは『水滸伝』の登場人物で、梁山泊の軍師として活躍します。又、文中に登場する孔明(諸葛亮)、太公望(呂尚)、范蠡はいずれも軍師として名高い人物であり、呉用は彼らに比肩しうる存在だと述べられています。
 それから、絵の左下には天体の観測機器と天球儀が置かれ、呉用は星を見上げていますが、これは天文を読んでいるところでしょう。
 軍師というと参謀のイメージが強いかもしれませんが、観天望気や風水、占星術など呪的要素の強い行為も軍師の仕事ですからね。例えば諸葛孔明は赤壁の戦いに際しては東南の風が吹くよう祈願していましたっけ。

【参考文献】
『SOUTH KENSINGTON THE JAPANESE AESTHETIC Tuesday 17 December 2013』CHRISTIE'S

『SOUTH KENSINGTON THE JAPANESE AESTHETIC Tuesday 17 December 2013』CHRISTIE'S(6)佐渡金山

歌川広重「六十余州名所図絵 佐渡 金やま」(P54)
歌川広重「六十余州名所図絵 佐渡 金やま」

 佐渡金山の入口付近が描かれています。私には鉱山の知識がないからよくわかりませんが、天秤を担いでいる人はおそらく坑内で採掘した鉱石を運び出しているのでしょう。

【参考文献】
『SOUTH KENSINGTON THE JAPANESE AESTHETIC Tuesday 17 December 2013』CHRISTIE'S

『SOUTH KENSINGTON THE JAPANESE AESTHETIC Tuesday 17 December 2013』CHRISTIE'S(5)神奈川沖浪裏

葛飾北斎「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」(P31)
葛飾北斎「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」

 歴史の教科書にも登場するくらい有名な作品があったので取り上げました。
 ただし、こちらに掲載されているものは保存状態が悪いです。全体的に黄ばんでいるし、茶色のしみもあるし、虫食いの跡とおぼしき箇所も散見されるし…。

【参考文献】
『SOUTH KENSINGTON THE JAPANESE AESTHETIC Tuesday 17 December 2013』CHRISTIE'S

『SOUTH KENSINGTON THE JAPANESE AESTHETIC Tuesday 17 December 2013』CHRISTIE'S(4)尾上菊次郎

歌川国貞「尾上菊次郎」(P26)
歌川国貞「尾上菊次郎」

 説明文によると、滝夜叉姫に扮した二代目尾上菊次郎とのこと。演目は不明です。
 滝夜叉姫は伝説によると平将門の娘で妖術を使い、妖物の軍団を率いて朝廷を打倒しようとしたとか。
 上図の滝夜叉姫を見ると、陣羽織を着て薙刀(?)を持っている、つまり武装しています。だとするとこれは大立ち回りのシーンを描いたものでしょうか。

【参考文献】
『SOUTH KENSINGTON THE JAPANESE AESTHETIC Tuesday 17 December 2013』CHRISTIE'S

『SOUTH KENSINGTON THE JAPANESE AESTHETIC Tuesday 17 December 2013』CHRISTIE'S(3)品川

歌川国貞「東海道五十三次之内 品川之図」(P21)
歌川国貞「東海道五十三次之内 品川之図」

 海が見えます。現在の品川はコンクリートジャングルになっていてすっかり東京の都市圏に入っていますが、そういえば江戸時代の品川って宿場町だったし、地図を見れば海にも近いことがわかります。

【参考文献】
『SOUTH KENSINGTON THE JAPANESE AESTHETIC Tuesday 17 December 2013』CHRISTIE'S

【追記】
 参考までに現在の品川の写真を掲載しておきます。筆者撮影。

品川

『SOUTH KENSINGTON THE JAPANESE AESTHETIC Tuesday 17 December 2013』CHRISTIE'S(2)中村歌右衛門

歌川豊繁「中村歌右衛門」(P10)
歌川豊繁「中村歌右衛門」

京四条東芝居小やにて
梶原平三 中むら歌右エ門 豊繁画

 解説によると「Kajiwara heizo kitai no ishikiri」という演目で主人公の梶原平三を演じている三代目中村歌右衛門とのこと。少々調べてみると、演目のタイトルは「梶原平三誉石切(かじわらへいぞうほまれのいしきり)」らしいです。だとすると、上記の浮世絵は梶原平三が名刀の試し切りをするところでしょうか。

梶原平三誉石切(Wiki)

【参考文献】
『SOUTH KENSINGTON THE JAPANESE AESTHETIC Tuesday 17 December 2013』CHRISTIE'S

『SOUTH KENSINGTON THE JAPANESE AESTHETIC Tuesday 17 December 2013』CHRISTIE'S(1)

 『浮世絵/近代美術Part II Saturday 19 March 2011』のレビューでは役者絵や春画などを取り上げていなかったなと気付きました。今回はそっちの方面も取り上げてみたいと思います。

【参考文献】
『SOUTH KENSINGTON THE JAPANESE AESTHETIC Tuesday 17 December 2013』CHRISTIE'S
SOUTH KENSINGTON THE JAPANESE AESTHETIC Tuesday 17 December 2013

待ち伏せ(1970年、日本)

監督:稲垣浩
出演:三船敏郎、石原裕次郎、勝新太郎、中村錦之助、浅丘ルリ子
備考:時代劇

あらすじ…浪人が謎の人物から依頼を受け三州峠へ行く。

「待ち伏せ」人物関係図

 出演者の面子があまりにも豪華だったのでついついレンタルしてしまった作品。
 これだけのスターを集めるのには、スケジュール調整とか大変だったろうなあ…と思ったら、映画では主要な舞台は茶屋とその周辺となっており、短期間で撮った(=スターの拘束時間が短い)んじゃないかと推測します。

 さて、作品の出来についてですが、少々ゴージャスな娯楽映画といったところでしょうか。完成度の高い映画と較べると、アラが目につかないこともない。
 例えば玄哲(勝新太郎)がおくに(浅丘ルリ子)を「魔性の女」だと言って手籠めにしようとしていましたが、おくには美女には違いないものの魔性を感じさせる描写はあまりない(あるとすれば序盤の緊縛シーンくらいか)し、ストーリーにその設定がうまく活かされているとは言い難い。
 それから、事件の黒幕の最期については…さすがにこれはネタバレ防止のために伏せておきましょうか。ただ、取ってつけたような感じがしてしまったとだけは述べておきます。

待ち伏せ

『浮世絵/近代美術Part II Saturday 19 March 2011』シンワアートミュージアム(7)羊

Photo_7(P86)
片岡鶴太郎「羊」

 パッと見で牛かと思いましたが、タイトルによるとこれは羊だそうです。なるほど言われてみれば耳の形が羊ですな。
 それにしてもこの羊、三本足にしか見えません。おそらくは一足が隠れてしまっているのでしょうが…。

【参考文献】
『浮世絵/近代美術Part II Saturday 19 March 2011』シンワアートミュージアム

『浮世絵/近代美術Part II Saturday 19 March 2011』シンワアートミュージアム(6)鉄鼠

月岡芳年「新形三十六怪撰 三十六点揃」より「鉄鼠」(P52)
月岡芳年「新形三十六怪撰 三十六点揃」より「鉄鼠」

 右上の文章には「三井寺頼豪阿闍梨/悪念鼠と変じたまふ図」とあり、妖怪の知識がある者ならこれは鉄鼠だとわかります。ですので、鉄鼠とは書いてありませんが、「鉄鼠」と呼ばせていただきます。
 それにしても食欲旺盛だこと。経典なんか食ってうまいんですかねえ。いや、そもそも経典をかじる目的は美食じゃなくて嫌がらせか。

【参考文献】
『浮世絵/近代美術Part II Saturday 19 March 2011』シンワアートミュージアム

« 2014年12月 | トップページ | 2015年2月 »

最近のトラックバック

2017年4月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30