高木卓訳『義経記』河出書房新社(4)
巻四あらすじ…源義経は平家追討で活躍し判官となる。だが、梶原景時の讒言により追われる身となってしまう。
源義経がその人生の中で最も栄光に包まれたであろう戦争のくだりが実に簡潔に片付けられています。
義経は、寿永三年(一一八四)に京都へいって、都から平家を追いはらったが、まず一ノ谷[神戸市須磨区のあたり]、その翌年は屋島、壇ノ浦と、各地で忠節をつくし、ひとびとにさきがけて力のかぎり戦って、翌年、ついに平家をほろぼした。(P187-188)
さすがにこれだけでは不足だったのか、梶原景時が源頼朝に讒言するくだりで義経の活躍がもう少し詳しく描写されています。それにしても、よりによって悪役の悪口からそれが出てくるとはねえ。
あ、ちなみに、引用文には史実と相違する点があります。都から平家を追い払ったのは義経ではなく木曽義仲であり、義経が都から追い払ったのはその義仲です。巻三には登場した(P166)木曽義仲の存在がいつの間にか消されています。
【参考文献】
高木卓訳『義経記』河出書房新社
【目次】
・義経記(1)
・義経記(2)
・義経記(3)
・義経記(4)
・義経記(5)
・義経記(6)
・義経記(7)
・義経記(8)
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