(P81)
18世紀フランス派「ゴルディアスの結び目を切るアレクサンドロス」
聖書ネタ(ヘブライズム)が続いたので今回はヘレニズムを一つ。
ゴルディアス(ゴルディウス)とは神託によって王となった人物で、「王様の耳はロバの耳」で有名なミダス王の父親です。長くなりますが、この結び目のエピソードをブルフィンチより引用します。
ゴルディウスは王になると神託を下さった神に彼の荷馬車を献じました。そうしてその神殿に堅い結び目を作ってその荷馬車を結びつけておきました。これこそ有名なゴルディウスの結び目で、後世に誰でもそれを解いた者は全アジアの王となるだろうといい伝えられた結び目であります。アレクサンドロス大王が征伐の路すがらフリュギアに来るまでは多くの人々が解こうと試みたけれども、一人として成功したものはありませんでした。彼はいろいろ手を尽くして解こうとしたが、やはりほかの人々と同様うまく解けませんでしたから、とうとうもどかしくなり、剣を抜いて結び目を切ってしまいました。後に全アジアをその勢力の下に屈服さした時、人民はアレクサンドロス大王こそ信託の真の意味に適合した人だったと悟りました。(P78,ブルフィンチ『ギリシア・ローマ神話 付 インド・北欧神話』岩波書店)
結び目を解くこととアジアの王になることの因果関係はわかりませんが、ともかくもそういう伝説があった、とだけ理解しておけばいいでしょう。尚、ここでの「アジア」は古代ギリシア世界での「アジア」であり、現代のアジアよりも狭いということをお忘れなく。
それにしても、アレクサンドロス大王が結び目を切ったというのは、コロンブスの卵のようなものです。
【参考文献】
『NEW YORK OLD MASTER PAINTINGS PART II 30 JANUARY 2014』CHRISTIE'S
ブルフィンチ『ギリシア・ローマ神話 付 インド・北欧神話』岩波書店
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