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地獄に堕ちた勇者ども(1969年、伊・西独)

監督:ルキノ・ヴィスコンティ
出演:ダーク・ボガード、イングリッド・チューリン、ヘルムート・バーガー、ラインハルト・コルデホフ、ルノー・ヴェルレー
伊題:La Caduta degli dei(神々の没落)
英題:The Damned(地獄に堕ちた人々)
備考:ドイツ三部作

あらすじ…1933年2月、製鉄王のエッセンベック男爵家で当主ヨアヒムの誕生日パーティーが開かれるが、その夜に国会議事堂放火事件が起こり、更にはヨアヒムが殺害される。

 あらすじの項で述べた事柄はこの映画のほんの一部であり、この後色々あって「長いナイフの夜の事件」に突入します。私はレンタルビデオで視聴したのですが、「お前はワグナーか」というくらいのあまりの長さに、何回かに分けて観ることになりました。

 さて、まずはエッセンベック家という「華麗なる一族」の関係図を作成してみました。尚、肩書きは物語開始時点のものを使用しています。

「地獄に堕ちた勇者ども」人物関係図

 この映画の予告篇ではマルティンが一人テーブルに座ってテーブルをバンバン叩くシーンが挿入されていますが、あれは本編の終わり近くに位置するシーンであり、映画の序盤ではヨアヒム・エッセンベックがあの席に座ってテーブルをバンバン叩き、ヨアヒム亡き後はフリードリッヒ・ブルックマンがそれをやっています。
 あの席は家長の席であり、あそこに座ってテーブルをバンバン叩く行為は家長として取り仕切る意味があったのですが、ヨアヒムの時は満席だったのにフリードリッヒの時は半分ほどに減り、マルティンの時に至っては彼一人。「華麗なる一族」はどこへ行った?
 ネタバレ防止のために彼らがどんな末路を辿ったのかは伏せておきますが、どいつもこいつもロクな目に遭っちゃいないことは確かなようです。残ったマルティンだって安泰とは言えません。その後のナチス・ドイツがどうなるかを知っていれば、彼の運命もおのずと予想が着くというものです。

 ところで、物語の中盤で突撃隊の「休暇」が描写されるのですが、水泳したり射撃したり酒盛りしたり…と、結構長々と尺を取っています。何もそんなに延々と映さなくてもと思うかもしれませんが、彼らを長々と楽しませることで、その後に襲ってくる悲劇をより一層きわ立たせる効果があります。諸行無常。
 それから、突撃隊員たちの男色と思われるシーンがあります。夜は男の尻に突撃ですか。
 なぜ男色が入っているのかなと疑問に思いましたが、そもそも「地獄に堕ちた勇者ども」はヴィスコンティ監督のドイツ三部作の一つであり、残りの二作は「ベニスに死す」と「ルートヴィヒ」(※)と知って、あっ…(察し)

 最後に、時代背景や突撃隊、長いナイフの夜などについて解説を加えておこうかとも思いましたが、記事の文量が既にこの映画並みに長大になっているので割愛します。詳しく知りたい方はグーグル先生に訊ねるなり歴史書をひもとくなりしてお調べ下さい。

※「ベニスに死す」は老小説家♂(映画では老作曲家)が美少年♂に恋をする話だし、「ルートヴィヒ」の主人公・ルートヴィッヒ2世は同性愛者だったとされる。┌(┌^o^)┐ホモォ...

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