舞の本「大織冠」(1)
あらすじ…蘇我入鹿を殺した中臣鎌足は大織冠の位を授けられた。鎌足の次女・紅白女は唐の皇帝に嫁ぎ、紅白女は無価宝珠などの宝を興福寺に寄進しようとするが、八大竜王がその宝珠を奪おうと画策する。
この作品では鎌足の別名が不比等となっている(不比等は鎌足の息子)など、史実と食い違う点がいくつも見受けられますが、とりあえずそれには目くじらを立てないで、本書の記述に従って話を進めます。
さて、八大竜王は宝珠を乗せた船に波風を送るものの仏のパワーで鎮められ(P21)、次いで阿修羅の軍団を使って宝珠を強奪しようとします(P21-26)。「修羅は猛き者なれば、頼ふでみん」(P21)とあるので、阿修羅はこの場合、傭兵のようなものです。
尚、輸送を担当する万戸将軍と阿修羅の戦いはファンタジーの要素が強く、それはそれで面白いのですが、ここでは取り上げないことにします。
万戸将軍と兵士たちの奮戦により阿修羅軍団は撃退されたので、八大竜王は次の一手を打ちます。即ち、竜女を送って宝珠をだまし取ろうというのです(P27-33)。いわゆるハニートラップですね。
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舞の本「大織冠」(2)
【参考文献】
『舞の本 新日本古典文学大系59』岩波書店
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