船橋洋一『日米経済摩擦 ―その舞台裏―』岩波書店(3)江崎調査会
第1部の後半(2 “火消し役”の思惑と機能 ――「江崎調査会」に見る日本的対応――)では江崎調査会(正式名称:自民党国際経済対策特別調査会、会長:江崎真澄)について述べています。
この江崎調査会の働きをまとめると以下の通り。
アメリカからの「外圧」を受け、それに「譲歩」すべく改革しようとすると、それによって既得権益を侵害されることになる業界が出てきます。そこでその業界団体の意向を受けた族議員が改革に反対します。
ここで江崎調査会の登場です。江崎調査会では彼らの反対を火消し・ガス抜きするのです。
調査会においては何よりも「和」と「全会一致のコンセンサス」が重んじられる。その際「必ず問題のある人を入れる。それをよけて通ると、疎外感を持ち反発する」(江崎氏)からである。「何でも相談がけること」(同)が大切である。貿易摩擦のイシューが変われば、「問題議員」を新たに入れ直すという形で、個人的な「相談がけ」をはかり、同時に政調会に連なる有力部会の部会長を加え、党として組織的な「相談がけ」を怠らないようにしている。そして、こうした「問題議員」の不満を爆発させる場を意識的につくり、計算された「ガス抜き」をする。(P53)
「ガス抜き」の際には灰皿が飛ぶんですね、きっと。
【参考文献】
船橋洋一『日米経済摩擦 ―その舞台裏―』岩波書店
【目次】
日米経済摩擦(1)
日米経済摩擦(2)
日米経済摩擦(3)
日米経済摩擦(4)
日米経済摩擦(5)
日米経済摩擦(6)
日米経済摩擦(7)
« 船橋洋一『日米経済摩擦 ―その舞台裏―』岩波書店(2)総合経済対策 | トップページ | 船橋洋一『日米経済摩擦 ―その舞台裏―』岩波書店(4)アメリカ政府 »
「書評(経済)」カテゴリの記事
- 牧田幸裕『ラーメン二郎に学ぶ経済学』東洋経済新報社(2019.05.08)
- 日高義樹『2020年 石油超大国になるアメリカ――追い詰められる中国 決断を迫られる日本』ダイヤモンド社(2019.05.06)
- 苫米地英人『カジノは日本を救うのか?』サイゾー(2018.11.06)
- 『日本貨幣カタログ2017』日本貨幣商協同組合(2018.11.05)
- 大竹慎一『ウォール街からの警告 トランプ大恐慌』李白社(2018.11.04)
« 船橋洋一『日米経済摩擦 ―その舞台裏―』岩波書店(2)総合経済対策 | トップページ | 船橋洋一『日米経済摩擦 ―その舞台裏―』岩波書店(4)アメリカ政府 »
コメント