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三崎亜紀『となり町戦争』集英社(7)

別章あらすじ…新入社員の鳴海は西川チーフの下で仕事をしていた。そんなある日、鳴海は舞坂町に住む友人で元恋人の智希と再会するのだが…。

『となり町戦争』別章人物関係図

 文庫版特別書下ろしの別章で、ようやく戦争の理由が西川チーフの口を通して説明されます。曰く、「戦争による地域振興」(P258)とのこと。

「先日、お話しましたよね。この複雑化した社会では、物事はすべて多義的に解釈されるべきであると。戦争とは破壊的な行為ですが、有史以来、我々の文明が戦争によって大きく進歩を遂げてきたこともまた周知の事実です。自治体レベルの戦争でも然り。戦争とは一面から見れば非生産的で住民にとって益する所など何も無いと感じるかもしれませんが、別の一面から見れば、市町村合併による行財政効率化の促進、地場中小企業の振興、住民の帰属意識の強化など、効果は様々です。あるシンクタンクの調査によれば、長いスパンで見れば、戦争事業の投資効果は2・5倍とか」(P258)

 ちょっと長くなりますが反論しておきます。
 そもそも戦争というものは何も生産せずにただ消費するだけです。純粋に経済の視点から考えるならば、戦争ではなくて、もっと別の生産性の高い事業をやった方がいいってことですな。
 又、いくら国から補助金が出るからといっても(そもそも現実では国はそんなことに補助金を出したりはしないが)、戦費負担は一つの町がカバーできる額に収まるとは思えません。戦死者補償金だけでもトータルでいくらになることやら…。
 それから、厭戦気分や敵対地域の住民に対する怨恨といった負の感情も無視できますまい。誰も彼も西川チーフのような割り切った考え方をしているわけじゃない。

【参考文献】
三崎亜紀『となり町戦争』集英社

【目次】
となり町戦争(1)
となり町戦争(2)
となり町戦争(3)
となり町戦争(4)
となり町戦争(5)
となり町戦争(6)
となり町戦争(7)

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