泉鏡花「琵琶伝」
あらすじ…酷薄な軍人が妻の愛人である脱営兵を妻の面前で銃殺刑に処する(P274,巻末の「解説」より引用)
この作品の最後は、
「ツウチャン、ツウチャン、ツウチャン。」
と二たび三たび、谺を返して、琵琶は連(しきり)に名を呼べり。琵琶は連に名を呼べり。(P160-161)
と、「琵琶は連に名を呼べり」を繰り返して物語を終えています。この部分を読んで、あ、ここは能だな、と思い至りました。『謡曲百番』を読んでいた甲斐があったというものです。
【参考文献】
泉鏡花『外科室・海城発電 他五篇』岩波書店
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