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深沢七郎「月のアペニン山」

あらすじ…妻の静江が発狂して精神病院へ入った。やがて彼女は病気が治って退院するが、夫の「私」は離婚の手続きを進める。

 この話のどこに「月のアペニン山」が出るのかというと、以下の通り。

私はドアを隙間のようにあけてその間から、遠い天体を眺めるように、月の光の中のアペニン山脈を見つめるように見る。あの女には愛も抱いていないけれども憎しみもないのである。生きている静江を前にして死んだ人の写真でも見るような冷い目で私は眺めているのだ。(P30)

 主人公は「冷い目」をしている割には何とかして妻とは会わずに済ませようとしていて、「頼みますよ頼みますよ」(P31)などと頭を下げているところを見ると、こいつアペニン山脈などと格好つけてはいるが、小心者のビビリだな、と思えてきます。
 あるいは、小心者ゆえに心の平衡を保とうとして敢えて「冷い目」にしたのかもしれません。

【参考文献】
深沢七郎『楢山節考』新潮社

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