アドルフ・ヒトラー『わが闘争(下)』角川書店(13)
「第十三章 戦後のドイツ同盟政策」(P296-339)ではドイツの外交政策について長々と述べています。南ティロル問題や日英同盟など色々と触れられているし、例によって例の如くユダヤ陰謀論も相変わらず出てきます。
今回ここで取り上げるのは、外交政策のエッセンスと思しき部分についてです。
この問題を判断する際われわれがつねに忘れてはならない本質的な原則、主旨は、外交政策もまたただ目的に対する手段に過ぎないこと、そして目的はもっぱらわれわれ自身の民族を振興させるものであること、この二点である。現在あるいは将来においてわが民族に役立つものであるか、あるいは害をもたらすものだろうか? という観点以外のどのような見地からも、けっして外交政策的考慮を行なってはならないのである。(P299)
外交政策が手段であるとの認識には同意します。
例えば、北朝鮮が行なっている瀬戸際外交だって、経済援助や経済制裁の緩和を引き出すための手段ですからね、一応。一応、と書いたのは、それがどのくらい有効なのか私には判断しかねるところがあるからです。
話を戻すと、外交政策が手段であることには同意するけれども、次に述べられた点には疑問符を付けざるをえないのです。
別に自分が所属する民族が大損こくような政策を行なえと言うつもりはないし、国際社会では実際にそういう観点で外交政策が行なわれていると思われる事例が見受けられます(どこの国とは言いませんが)。
でも、それっぽっちの観点だけでは、視野狭窄になりはしませんか? 国際協調や地域のパワーバランス、価値観の共有など様々な観点があることをお忘れなく。
【参考文献】
アドルフ・ヒトラー『わが闘争(下)』角川書店
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