津原泰水「夕化粧」
先妻の晶子が自殺し、後妻の春代が餓死したという小説家の独白で物語が展開されます。
私の見るところ、この男は明らかに正気を失っており、独白がどこまで信用できるか疑問です。例えば春代の餓死だって、春代本人が飲食を拒否したと彼は述べていますが、実際のところはどうだか…。
そう考えると、それはそれで怖い。
【参考文献】
津原泰水『ピカルディの薔薇』筑摩書房
【関連記事】
津原泰水(目次)
« 劉文兵『中国抗日映画・ドラマの世界』祥伝社 | トップページ | 津原泰水「籠中花」 »
「書評(小説)」カテゴリの記事
- マーク・トウェイン「名探偵誕生」(2023.09.07)
- W・ハイデンフェルト「<引立て役倶楽部>の不快な事件」(2023.09.06)
- アンソニイ・バウチャー「テルト最大の偉人」(2023.09.05)
- オーガスト・ダーレス「怯える准男爵」(2023.09.04)
- アガサ・クリスティー「消えた貴婦人」(2023.09.03)
コメント