津原泰水「夕化粧」
先妻の晶子が自殺し、後妻の春代が餓死したという小説家の独白で物語が展開されます。
私の見るところ、この男は明らかに正気を失っており、独白がどこまで信用できるか疑問です。例えば春代の餓死だって、春代本人が飲食を拒否したと彼は述べていますが、実際のところはどうだか…。
そう考えると、それはそれで怖い。
【参考文献】
津原泰水『ピカルディの薔薇』筑摩書房
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