山本周五郎「囮船第一号」
あらすじ…大日本帝国が秘かに開発した秘密兵器「囮船」。その囮船を巡るスパイ合戦に北平馬少年が巻き込まれる。
まず最初に囮船について簡単に説明します。
囮船とは大日本帝国が秘かに開発・建造していた秘密兵器で、平時は漁船や遊覧船などになっているが、ボタン一つ押すと「新鋭豆戦闘艦」(P32)に変身するというものです。
次に、人物関係図をご覧下さい。
主人公の北平馬が「中学四年生」となっていることに現代の読者は違和感を抱くかもしれませんが、戦前は現在の学制と異なっており、中学四年生は存在していました。ちなみに少々調べてみたところ、中学四年は現在の高校一年に相当します。
さて、人物関係図には書き漏らしましたが、乞食クラブに入団した北平馬少年は指令を受けて囮船に乗り込み、花村船長に連れられて海底の沈没船に潜んでいた外国スパイと激闘を繰り広げます。
ちょっと待て。北平馬は中学四年(高校一年)の少年だぞ。いくら腕っぷしが強いからといって、いきなりそんなところへ連れて行っていいのか?
せめて充分な軍事訓練を受けてからにしろよ…と思っていたら、この後平馬少年は軽機関銃をこともなげにブッ放しています。お前本当に中学四年(高校一年)か?
【参考文献】
『山本周五郎探偵小説全集4 海洋冒険譚』作品社
« 内海慶一『100均フリーダム』BNN | トップページ | 山本周五郎「死の棺桶島」 »
「書評(小説)」カテゴリの記事
- 樋口一葉「この子」(2023.05.16)
- 樋口一葉「わかれ道」(2023.05.15)
- 樋口一葉「うつせみ」(2023.05.14)
- 樋口一葉「ゆく雲」(2023.05.13)
- 樋口一葉「大つごもり」(2023.05.12)
コメント