山本周五郎「新造船の怪」
あらすじ…神戸の日本造船所で新型エンジンを開発していた西田博士の技手・峰村が惨殺される。外国の間諜(スパイ)の仕業かと思われたが、次いで同じく技手の吉川も惨殺される。附属病院の医学士・八木五郎は西田博士に宿直を申し出る。
犯人特定余裕でした。おそらく読者の多くも犯人がわかってしまうと思います。理由は…人物関係図をご覧下さい。
尚、ここで「検診」とあるのは、死亡診断をしたということです。
ところで、西田博士が開発していた新型エンジンは「新D・Hエンジン」といい、博士の説明は以下の通り。
「重要だとも、殆ど燃料界の革命的な発見だ。是は君にだけ初めて話すのだが――現在いちばん精巧なエンジンでも、重油を完全に燃やすしかないだろう、ところが儂の発明した機関は、一度燃えつくした瓦斯体を、再び原の燃料に引戻して又燃やすことが出来る――従って重油の消費量は今までの約二百分の一で足りるのだ」(P149)
燃料を燃焼させて発生したガスを再び元の燃料に戻す。まさに燃料のリサイクルです。
でも、(もし仮にそんな技術が確立できたとしても)エネルギー正負の法則を考慮すれば、燃料に戻す過程で燃焼時に発生したエネルギーと同等のエネルギーが必要になるんじゃないでしょうか。そのエネルギーはどこから持ってくるんだ?
【参考文献】
『山本周五郎探偵小説全集4 海洋冒険譚』作品社
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