無料ブログはココログ

« 2014年3月 | トップページ | 2014年5月 »

エクスペンダブルズ2(2012年、アメリカ)

監督:サイモン・ウェスト
出演:シルベスター・スタローン、ジェイソン・ステイサム、ジェット・リー、ドルフ・ラングレン、ランディ・クートゥア、テリー・クルーズ、アーノルド・シュワルツェネッガー、ジャン=クロード・ヴァ・・ダム、ブルース・ウィリス、チャック・ノリス、リアム・ヘムズワース
原題:The Expendables 2
備考:R15+, アクション

あらすじ…傭兵集団エクスペンダブルズが、旧ソ連のプルトニウムを盗み出した犯罪集団サングと戦う!

 前作ではカメオ出演だったアーノルド・シュワルツェネッガーとブルース・ウィリスが今作では銃を手に取って参戦します。
 …ちょっと待て。エクスペンダブルズのメンバー一人でも死体の山を築くのに、こいつらも参戦させたらもっと死人が出るだろ。
 案の定、彼らはサングの兵士たちをブッ殺しまくります。サングって、あれだけの大兵力を動員できる巨大組織だったのかよ…と思うくらいに。
 まあ、その辺はあまり深く考えない方がいいのかもしれません。

【関連記事】
エクスペンダブルズ
エクスペンダブルズ3

エクスペンダブルズ2

太平洋の楽園のレッドリスト ハワイのモンクアザラシ(2005年、アメリカ)

原題:Hawaiian Monk Seals: Surviving Paradise
備考:ドキュメンタリー、ナショナルジオグラフィック

あらすじ…生息数1400頭あまりと、絶滅の危機に瀕しているハワイアンモンクアザラシ。減少の原因を究明するため特殊小型カメラが大活躍!エサを捕える瞬間や仲間同士のケンカなどモンクアザラシの生態も克明に描写。(DVDパッケージ同封のチラシの紹介文より引用)

 モンクアザラシが水中深く潜り、岩の間に頭をゴリゴリと突っ込んで岩をひっくり返すシーンがあります。
 こういうところを見るとアザラシも野獣であり、地上でのボテッとした姿に惑わされてはいけない。そんなことを教えてくれます。

【アザラシ関連記事】
愛らしいアザラシの赤ちゃんが冒険を始める
アザラシさん
アザラシ2013
アザラシを編集したもの
エアビーアンドビーがパンデミック中にアザラシの赤ちゃんの病院に転向
ゼニガタアザラシの赤ちゃん「ブルー」に会おう
チチュウカイモンクアザラシがイスラエルで初確認
飛び出すゴマフアザラシ・もなかちゃん!@のんほいパーク
なまいきチョルベンと水夫さん
眠そうなアザラシが岩の上でウトウト
眠たげなゾウアザラシが出勤しようとするタスマニアの女性を押しとどめる
ハイイロアザラシは(殆ど)人間のように歌を覚える
平和なアザラシの子育て
ベルクのゼニガタアザラシの昼寝
ミナミゾウアザラシとボク!
野生のアザラシが水中でハグ
リュック・ジャケの世界:悪党の取り分―ヒョウアザラシの狩り
リュック・ジャケの世界:ウェッデルアザラシの春
岡崎雅子『寝ても覚めてもアザラシ救助隊』実業之日本社
しろたんチーム『ようこそ しろたんの世界へ』株式会社学研プラス

トータル・リコール(2012年、米加)

監督:レン・ワイズマン
出演:コリン・ファレル、ケイト・ベッキンsネイル、ジェシカ・ビール
原題:Total Recall
原作:フィリップ・K・ディック「追憶売ります」
備考:SFアクション

あらすじ…近未来。工場労働者のダグは毎晩不思議な悪夢に悩まされていた。そんなある時、架空の思い出を植え付ける商売があると聞き、行ってみることにする。

 1990年版「トータル・リコール」のリメイク作品。尚、1990年版の方は子供の頃にテレビで観たのを記憶しています。え~と、たしかオッパイが3つの女が出てくるんでしたっけ…と思ったら、本作にも登場していました。
 とはいえ、ストーリーやシチュエーションは結構変わっているので、別物として楽しめるでしょうな。

トータル・リコール公式サイト

蜘蛛巣城(1957年、日本)

監督:黒澤明
出演:三船敏郎、山田五十鈴、千秋実、志村喬
原作:シェイクスピア『マクベス』
備考:時代劇

あらすじ…時は戦国時代。妖婆の「蜘蛛巣城の城主となる」という予言を受けた鷲津武時は、主君を暗殺して蜘蛛巣城の主となる。だが…。

 「虎の尾を踏む男達」が面白かったので、同じ黒澤明監督の時代劇作品である「蜘蛛巣城」を観賞することに。尚、原作の『マクベス』は2回ほど読んでいます。

 さて、本作の内容については色々と言いたいことがありますが、語りだすと長くなって収拾がつかなくなるので一つだけに絞らせていただきます。
 妖婆が最初に登場する時に糸を紡いでいましたが、あれを観て私は北欧神話の運命の三女神ノルンを、そしてギリシア神話の運命の三女神モイライを想起しました。ノルンもモイライも人間の運命の糸を紡いでいることから、あの妖婆も鷲津武時の運命の糸を紡いでいるのだと見ることができるのではないでしょうか。

【関連記事】
シェイクスピア(目次)

菊池寛「毛利元就」

 毛利元就がいかに偉かったのかを、子供向けにわかりやすく書いたもの。子供向けなので、ここで描かれる毛利元就はきれいな毛利元就です。家督相続のゴタゴタで弟(相合元綱)を殺したことや、尼子に偽情報を流して新宮党を粛清させたことなどは一切書かれていません。
 ところで、この作品の最初の方で毛利元就の子供時代のエピソードが3つ(家来を赦した話、鶏を襲った狐を成敗しようとした話、厳島神社に参拝した話)語られるのですが、どれも初めて目にしました。

きれいな毛利元就

追記:そういえばなぜか三本の矢のエピソードが書かれていませんでしたな。

【参考文献】
講談社文芸文庫編『「少年倶楽部」短篇選』講談社

山本周五郎「海浜荘の殺人」

あらすじ…湘南の別荘で老子爵が何者かに殺される。別荘には老子爵の孫娘・志津子を狙う四人の若者がいた。

 本格ミステリとも言うべき作品。

「海浜荘の殺人」人物関係図

 四人の若者の内、冒頭で志津子と会話を交わしている高野千之はともかくとして、他の三人の描写の没個性っぷりがひどい。短篇作品だからそれぞれの描写を省略してしまったのかもしれませんが、おかげで(名前以外では)三人の区別が付かなくなっています。

【参考文献】
『山本周五郎探偵小説全集4 海洋冒険譚』作品社

山本周五郎「荒城の月」

あらすじ…平松信之子爵は財宝が埋まっているとされる白鷹城址の発掘を指揮していた。だが、そこへ幽霊騒動が持ち上がり、発掘が頓挫しそうになる。

 人物関係図は以下の通り。

Photo_18

 登場人物が少ないので犯人探しには不向きです。
 ところで、「荒城の月」といえば有名な歌ですが、その歌が作品中にも出てきます。信之と正子の荒城の月デート…リア充爆発しろ。

【参考文献】
『山本周五郎探偵小説全集4 海洋冒険譚』作品社

山本周五郎「水中の怪人」

あらすじ…帝都に河童が出没し、その噂で持ちきりになった。そんなある時、洋上で謎の誘拐事件が起きる。

 江戸川乱歩の小説で怪人二十面相のコスプレの数々を読んできた私には、今回の河童は少々物足りない感じがしないでもなかったです。乱歩作品だったら「河童怪人」との追跡劇くらいはあったかもしれません。

【参考文献】
『山本周五郎探偵小説全集4 海洋冒険譚』作品社

山本周五郎「廃灯台の怪鳥」

あらすじ…宗方博士らは外房海岸の廃灯台で夜光虫の観察をしていた。だがそんなある日の夜、助手の一人が何者かに襲われる。

 「ヘリウム瓦斯の受取書」(P210)で犯行のトリックが分かりました。
 手がかりとしては明らさますぎるような気もしますし、アガサ・クリスティーやエラリー・クイーンの長編ミステリーならば読者をミスリードする仕掛けだと疑えるでしょう。でも、少年雑誌に掲載された短篇小説ならそこまでのひっかけはできまい。

「廃灯台の怪鳥」人物関係図

【参考文献】
『山本周五郎探偵小説全集4 海洋冒険譚』作品社

山本周五郎「難破船の怪物」

あらすじ…紀州の袖浦沖に難破した外国船に調査のために乗り込んだ者たちが消息を絶った。大船主の一人息子・杉原英一は夜、秘かに単身で難破船に乗り込む。

 犯人の正体についてはネタバレ防止のために伏せておきますが、ポーの某作品(※)を想起させるなあと思っていたところ、巻末の解説にもちゃんと言及されていました(P356)。やっぱりな。

※作品名はこれまた伏せておきます。巻末の解説には作品名がバッチリ出てきますが、明かしてしまうとネタバレになりかねない。

【参考文献】
『山本周五郎探偵小説全集4 海洋冒険譚』作品社

山本周五郎「新造船の怪」

あらすじ…神戸の日本造船所で新型エンジンを開発していた西田博士の技手・峰村が惨殺される。外国の間諜(スパイ)の仕業かと思われたが、次いで同じく技手の吉川も惨殺される。附属病院の医学士・八木五郎は西田博士に宿直を申し出る。

 犯人特定余裕でした。おそらく読者の多くも犯人がわかってしまうと思います。理由は…人物関係図をご覧下さい。

「新造船の怪」人物関係図

 尚、ここで「検診」とあるのは、死亡診断をしたということです。

 ところで、西田博士が開発していた新型エンジンは「新D・Hエンジン」といい、博士の説明は以下の通り。

「重要だとも、殆ど燃料界の革命的な発見だ。是は君にだけ初めて話すのだが――現在いちばん精巧なエンジンでも、重油を完全に燃やすしかないだろう、ところが儂の発明した機関は、一度燃えつくした瓦斯体を、再び原の燃料に引戻して又燃やすことが出来る――従って重油の消費量は今までの約二百分の一で足りるのだ」(P149)

 燃料を燃焼させて発生したガスを再び元の燃料に戻す。まさに燃料のリサイクルです。
 でも、(もし仮にそんな技術が確立できたとしても)エネルギー正負の法則を考慮すれば、燃料に戻す過程で燃焼時に発生したエネルギーと同等のエネルギーが必要になるんじゃないでしょうか。そのエネルギーはどこから持ってくるんだ?

【参考文献】
『山本周五郎探偵小説全集4 海洋冒険譚』作品社

山本周五郎「死の棺桶島」

あらすじ…和木博士一行は棺桶島へ研究調査に来ていた。しかし近くの村で雇った男たちが、村に帰してほしいと言い出す。事情を訊くと、新月から7日の間は巨大な赤えいがこの島で同族を集めて禊をするので、その間は足を踏み入れてはならない、もしその禁を破れば赤えいの尻尾の毒針で突き殺されるという。和木博士は信じなかったが、とりあえず村人たちを帰す。そしてその晩、当直の加村一郎が殺される。

「死の棺桶島」人物関係図

 研究生8人の内、名前がわかっているのは殺された加村一郎と、殺人現場へ一緒に急行した横井平太のみ。あとの6名は名前すら出てきません。
 又、横井平太だって「曾て相撲部の選手で鳴らした」(P132-133)とあることから、いざという時の腕っ節の強さを買われたのでしょうが、そんなものが活躍する機会もなく話を終えています。あ、でも、加村一郎の遺体を運ぶのには役立ったか。

【参考文献】
『山本周五郎探偵小説全集4 海洋冒険譚』作品社

山本周五郎「囮船第一号」

あらすじ…大日本帝国が秘かに開発した秘密兵器「囮船」。その囮船を巡るスパイ合戦に北平馬少年が巻き込まれる。

 まず最初に囮船について簡単に説明します。
 囮船とは大日本帝国が秘かに開発・建造していた秘密兵器で、平時は漁船や遊覧船などになっているが、ボタン一つ押すと「新鋭豆戦闘艦」(P32)に変身するというものです。

 次に、人物関係図をご覧下さい。

「囮船第一号」人物関係図

 主人公の北平馬が「中学四年生」となっていることに現代の読者は違和感を抱くかもしれませんが、戦前は現在の学制と異なっており、中学四年生は存在していました。ちなみに少々調べてみたところ、中学四年は現在の高校一年に相当します。

 さて、人物関係図には書き漏らしましたが、乞食クラブに入団した北平馬少年は指令を受けて囮船に乗り込み、花村船長に連れられて海底の沈没船に潜んでいた外国スパイと激闘を繰り広げます。
 ちょっと待て。北平馬は中学四年(高校一年)の少年だぞ。いくら腕っぷしが強いからといって、いきなりそんなところへ連れて行っていいのか?
 せめて充分な軍事訓練を受けてからにしろよ…と思っていたら、この後平馬少年は軽機関銃をこともなげにブッ放しています。お前本当に中学四年(高校一年)か?

【参考文献】
『山本周五郎探偵小説全集4 海洋冒険譚』作品社

内海慶一『100均フリーダム』BNN

 100円ショップの売り場にあった、「企画会議を経たとは思えない突飛な商品」、「試作でつくられたかのような、中途半端なデザインの商品」(いずれもP156)のコレクション。
 みうらじゅんの「いやげもの」を想起させるようなゆるさ加減のグッズがこれでもかと続きます。
 私はこういうの、嫌いじゃありません(買うとは言っていない)。

【参考文献】
内海慶一『100均フリーダム』BNN

ロバート・ファン・ヒューリック『白夫人の幻』早川書房

あらすじ…端午の節句を祝う藩陽の町で行われた龍船競争。河岸を埋めた大観衆の目前、先頭争いを演じていた艇で一人の選手が頓死する。自然死かに見えたが、死体の検分で毒殺だと判明した。現場に居合わせたディー判事は調査を開始し、内偵のために夜の巷へ出向く。すると今度は郊外の廃屋で若い女性が惨殺される現場に行き合わせた。(裏表紙の紹介文より引用)

 タイトルの白夫人とは地元の河神女のことで、事件ともかかわっています。ただし、白夫人は人間ではないので下記の人物関係図からは省きました。
 又、本作の原題は「The Emperor's Pearl」(皇帝の真珠)ですが、これはペルシアから唐に贈られた大きな真珠のことで、こちらも捜査線上に浮上します。

『白夫人の幻』人物関係図

 ちなみに、私は今回、細かい部分はともかくとして真犯人を当てることができました。人物関係図を眺めていると何となくこいつじゃないかなと思っていたのが的中した次第。でもまあ、とりあえず当たって嬉しいです。

【関連記事】
東方の黄金
柳園の壺

【参考文献】
ロバート・ファン・ヒューリック『白夫人の幻』早川書房

『トリコ No.80 Apr.2014』株式会社かみんぐ

 P23に世田谷区のお花見スポットの地図が掲載されています。その中に羽根木公園が載っていたので、私が撮影した羽根木公園の桜の写真をここに載せておきます。

羽根木公園の桜並木

 他にも何枚かありますが省略。

トリコ No.80 Apr.2014

ポール・アルテ『カーテンの陰の死<ツイスト博士シリーズ>』早川書房

あらすじ…頭皮を剥いだ刺殺体が発見された。殺人現場に偶然居合わせたマージョリーは、犯人と同じ服装をした謎の人物が、自分の下宿に入ってくるのを目撃する。(裏表紙の紹介文より引用)

 下宿屋の各階の住人は以下の通り。

ホクストン通り48番の下宿屋

 作品の冒頭でハースト警部と会っていた老女がヴァイオレット・ガーフィールドだと気付くのに少し時間がかかりました。
 ところで彼女は、ある人物が殺人を犯そうとしていると警部に告げていますが、これって死亡フラグですよねえ。

【殺した相手の頭皮を剥ぐシーンが出てくる映画】
イングロリアス・バスターズ

【参考文献】
ポール・アルテ『カーテンの陰の死<ツイスト博士シリーズ>』早川書房

『京成らいん 2014年4月号 vol.660』京成電鉄

 ふなっしーがインタビューに答えています(P5-6)。内容の多くは船橋のPRなのですが、リチャード・ギアのファンだといった余計(?)なことも話してくれています。
 リチャード・ギアのファンって、中の人…ゲフンゲフン、もとい、ふなっしーの精神年齢は見た目より高そうですな。

京成らいん

『ふれあいの窓 2014 3 No.227』東京都交通局

 小石川後楽園、三井記念美術館、東京染ものがたり博物館を取り上げています。
 この中で私が行ったことのあるのは小石川後楽園のみ。理由は簡単で、三井記念美術館は入館料が高い(一般1000円)のでよほどのことがない限り行く気になれないのと、東京染ものがたり博物館はそもそも存在を知らなかったからです。
 それじゃあ東京染ものがたり博物館の存在を知ったらお前は行くのか訊かれると、まあ行かないでしょうなあ。そもそも染物にあんまり興味がないですから。

ふれあいの窓

『BLUE NOTE TOKYO Vol.144 APR-MAY 2014』ブルーノート東京

 表紙を飾るのはリサ・マリー・プレスリー。エルビス・プレスリーの娘で、マイケル・ジャクソンと結婚していた人です。
 本誌によると4月8~10日に彼女が来日公演をするとのことで、インタビュー記事が組まれています(P3-5)。ただし、インタビューの相手はリサ・マリー・プレスリーではなく、湯川れい子ですが。

ブルーノート東京

三津田信三「八幡藪知らず」

あらすじ…小学生5人が、入ってはいけないと言われていた無女(むめ)の森を探検する。

P> 行ってはいけないとされる場所に行ってひどい目に遭う。これは怪談ではよくあるパターンです。
 それにしても、わざわざ警告を発してくれるとは親切なオバケですな。まあ、正体不明の者からのメッセージは、恐怖のスパイスとなっているわけですが。
 …え? この怪異の名前ですか? う~ん、そうですねえ、無女の森で子供が間引きされていたらしいから、子供っぽい名前にするとして、とりあえず「無女坊(むめぼう)」と名付けておきましょうか。

【参考文献】
三津田信三『ついてくるもの』講談社

三津田信三「ルームシェアの怪」

あらすじ…亀有真由美は男女3人とルームシェアで暮らすことにする。当初は順調に思えたが、やがて異変が…。

 この作品の中でちょっとだけ出てくる「心霊スポットとして有名なH城跡」(P76)って、ひょっとして八王子城址のことじゃないですかね。ルームシェアの家(四つ葉荘)が首都圏にあるのならばその可能性は高い。
 八王子城址ならば私も行ったことがありますよ。ただし、真由美たちのような夜の肝試しではなく、昼間の観光です。

【参考文献】
三津田信三『ついてくるもの』講談社

三津田信三「ついてくるもの」

あらすじ…女子高生が空き家に侵入して、家の裏にあった雛壇のお姫様の人形をパクる。それ以来、数々の不幸が彼女を襲う。

 「明らかに憑き物のテーマに分類できる事例なのに、その正体がさっぱり分からない話」(P36)の一つとして紹介されています。
 雛人形は一種の依り代だから、そこに「何か」が憑いていたとしてもおかしくはありませんが、お姫様の雛人形そのものが憑き物となっていたのかもしれません。
 ともあれ、とりあえずこの怪異を「姫の雛憑き」と呼んでおくことにします。

【参考文献】
三津田信三『ついてくるもの』講談社

三津田信三「夢の家」

あらすじ…ホラー小説家の主人公は、寿司屋で偶然出会った男から、不可解な夢の話を聞く。それは、ある女性から家に誘われて次第に奥へ入って行くというものだった。

 相手の夢世界に干渉して自分のフィールドに引っ張り込む。そんな呪術をこの女性は使ったということでしょうか。
 仮にそんな呪術が存在するとして、それを何と呼べばいいんだろう。とりあえずその呪術を「夢拘引(ゆめこういん)」とでも名付けておきましょうかね。

【参考文献】
三津田信三『ついてくるもの』講談社

トーマス・マン「鉄道事故」

あらすじ…2年前に鉄道事故に遭遇したエピソードを語る。

 語り手は最後にこう締めくくっています。

 そう。これが僕の経験した汽車の事故だ。一度はこんな目にあわなければならなかったのだろうね。これで僕は、論理学者は異議をとなえても、そうすぐには二度とこんなことにぶつからないだけの幸運を持っていると思うよ。(P234)

 「一度はこんな目にあわなければ」ってことは、語り手にとって鉄道事故は何かのイニシエーション(通過儀礼)だったのでしょうか。
 それはさておき、「論理学者は異議をとなえても」ということは、少なくとも後半の部分は論理的に間違った理屈であることがうかがえます。滅多に遭わない事故に遭ったのだから、再び事故に遭うことは当分の間はあるまい、というように。

【参考文献】
トーマス・マン『改訳 トオマス・マン短篇集II』岩波書店(絶版)

トーマス・マン「神童」

あらすじ…神童ビビイのピアノコンサートが開催される。

 ビビイはW.A.モーツァルトのような天才音楽少年といったところでしょうか。ともかくも作品の前半は彼の演奏の描写が続きます。
 そして後半は、それを聴く様々な人たち(老紳士、商人、ピアノの女教師、若い娘、士官)がそれぞれ感想を思い浮かべてコンサートは終了します。
 このブログでレビューをやっている身としては、後半の彼らの諸々の感想が少しばかり気になりますが、別に彼らとレビューを競おうというわけではありません。私は彼らと違って現場に居たわけではないし、そもそもビビイの演奏を聴いたことさえないのですから。

【参考文献】
トーマス・マン『改訳 トオマス・マン短篇集II』岩波書店(絶版)

泉竹史『双鳥の尸解 志賀姫物語』郁朋社

あらすじ…平安時代初期。泊瀬の滝蔵寺で智泉という青年僧が変死しているのが発見された。友人の泰範が駆けつけ、調べてみることにする。

双鳥の尸解人物関係図

 タイトルの「尸解」という語を見て、道教の経典『抱朴子』に尸解仙の記述があったことを思い出しました。そこで『抱朴子』を調べてみると、以下の文章を発見。

 仙道の経典によれば、
『最上の道士は肉体のまま虚空に昇る。これを天仙という。
 中位の道士は名山に遊ぶ。これを地仙という。
 下位の道士は一旦死ぬが、後で見ると蝉のように藻抜けの殻。これを尸解仙という』
 とある。
(『抱朴子・列仙伝・神仙伝・山海経』平凡社 P14, 抱朴子 内篇 巻二 論仙)

 孫引きになりましたが、「仙道の経典」が具体的にどれを指すのかわからないし、よしんばわかったとしても私の手には負えないでしょう。
 尚、尸解仙についてもう少し詳しい解説はないかと探してみると、『神仙伝』の註に以下の文章を発見。

屍解 屍体を残して魂が昇天すること。もしくは屍体もろとも棺中より消えて仙人なること。『雲笈七籤』八四に各種の屍解法が説かれている。
(『抱朴子・列仙伝・神仙伝・山海経』平凡社 P361, 神仙伝 王遠)

 こちらは尸解ではなく屍解となっていますが、どちらも同じものと思われます。

 そういえば『双鳥の尸解』の巻末の「おもな参考文献」(P245)に『抱朴子』がありましたっけ。

【参考文献】
泉竹史『双鳥の尸解 志賀姫物語』郁朋社
『抱朴子・列仙伝・神仙伝・山海経』平凡社

『紀伊國屋ビル竣工50周年』紀伊國屋書店

 新宿東口にある紀伊國屋ビルが竣工して50周年を迎えたとのこと。
 あそこへは私も何度か足を運んでいますが、そう言われてみれば古びた感じはします。例えば地下1階の男子トイレのボロさなどは拭いがたいものがあります(ちなみに女子トイレの方は見ていないので不明)。
 それにしても50年ですか。新宿のあの立地で50年ももたせるというのは凄い。並のビルならとっくの昔に建て替えられているはずですぜ。

紀伊國屋ビル竣工50周年

『キノベス!』紀伊國屋書店

 紀伊國屋書店スタッフがおすすめする本を紹介したパンフレット。
 ベスト30(P1-8)が30冊、選外(P9)が10冊、番外編(P10-11, 海外文学)が10冊の合計50冊。どれも未読のものばかりですが、そもそも出版点数が多いから自分が読むものと被らないんでしょう。

キノベス!

エラリー・クイーン『ローマ帽子の謎』創元社

あらすじ…ニューヨークのローマ劇場で悪徳弁護士モンティー・フィールドが殺された。そしてなぜかフィールドの帽子がなくなっていた。クイーン父子が捜査に乗り出す。

 エラリー・クイーンの作品は短篇を中心に何本が読んできましたが、国名シリーズはこれが初めてです。尚、ローマは現在はイタリアの首都であって国名ではありませんが、古代ローマなら国名でもあるので問題はありますまい。
 ちなみに、犯行現場がローマ劇場というだけですので、事件とローマは直接関係があるわけではないようです。

 さて、それでは人物関係図をご覧下さい。尚、クイーン父子や検事、その他枝葉末節は省略してあります。

『ローマ帽子の謎』人物関係図

 おっと、いかんいかん。劇場の支配人と女優たちがはぐれてしまったぞ。まあ、彼らとスティーヴン・バリーを「劇場関係者」としてくくっておけばいいのかもしれませんな。

【参考文献】
エラリー・クイーン『ローマ帽子の謎』創元社

« 2014年3月 | トップページ | 2014年5月 »

2024年12月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31