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世阿彌/野上豊一郎編訳「松風」

あらすじ…旅の僧が須磨の浦へやってきて、松の木に短冊がかかっているのを見つけ、土地の者に由来を訊ねる。昔、在原行平に愛された海女姉妹の松風・時雨の旧跡なのだという。夜、旅の僧が一夜の宿を乞うと、なんとそこには…。

 観阿弥原作で世阿弥が改作したものを更に野上豊一郎が編訳したもの。編訳したといっても古文のまま(しかも旧字体)ですので、慣れていない方はご注意を。

 さて、能のパターンを知っている人ならば、旅の僧が遭遇した相手の正体は予想が付くと思いますが、ぶっちゃけていうと松風と村雨です。
 松風は松を見て行平だと思い込んでしまうという正気の失いっぷりを見せて、執着がいまだ強いことを示しています。又、松風のみならず村雨もかしこに留まっているところを見ると、村雨の執着も相当なものではないでしょうか。

【参考文献】
東雅夫編『日本幻想文学大全 幻視の系譜』筑摩書房

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