寺山修司『家出のすすめ』角川書店(2)兄弟喧嘩しよう
著者(寺山修司)は毛利元就の「三本の矢」の話(※)を取り上げ、これを批判しています。曰く、力を合わせるのは兄弟でなければいけないのか、友人や先輩、他家の子だっていいじゃないか云々。
兄弟は、成人したらそれぞれの判断で生きてゆくのであって、それは親心の支配できる領域ではない。兄弟喧嘩をしたって一生絶交したっていいではありませんか。(P43-44)
少なくとも毛利元就にはその理屈は通用しないでしょうなあ。戦国大名の子弟が兄弟喧嘩をしたら、権力闘争も相まって、殺し合いに発展しかねないからです。
例えば織田信長は弟の織田信勝を、今川義元は兄の玄広恵探を殺しているし、毛利元就だって弟の相合元綱を殺しています。
そういった歴史的背景を踏まえた上での三矢訓だと考えねばなりますまい。
※三本の矢(三矢訓)は史実ではないという指摘があることは私も重々承知しています。しかしそのことはさて置くことにして考察します。
【参考文献】
寺山修司『家出のすすめ』角川書店
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