横溝正史『幽霊男』角川書店
あらすじ…いかがわしいヌードクラブ「共栄美術倶楽部」に所属する女が惨殺された。金田一耕助や等々力警部が事件の解決に乗り出すが…。
この作品は江戸川乱歩の「風味」が強い。そもそもタイトルの『幽霊男』からして江戸川乱歩っぽいし、浩吉少年が尾行して車のトランクに入る(P78)のは小林少年がよくやる手口だし、劇場で観客が見ている前で犯罪が繰り広げられるのは乱歩の作品ではおなじみです。
しかも今回、金田一耕助はホテルのボーイに変装します。明智小五郎ならもっとうまく化けるんでしょうが、金田一耕助はその方面のノウハウが不足しているのか、「雀の巣のようなもじゃもじゃ頭」(P111)のままボーイになっています。髪くらい切ってこいよ。
【参考文献】
横溝正史『幽霊男』角川書店
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