横溝正史『三つ首塔』角川書店
あらすじ…令嬢・宮本音禰のもとに、百億円の遺産相続話が舞い込む。そんな中、伯父・上杉誠也の還暦祝いの会場で三重殺人事件が起こる。
とりあえず第一回佐竹家親族会議までに判明した人物関係を図にまとめてみました。
ところで、この作品では「百億円の遺産」が物語の鍵(というより事件の動機)になっているのですが、当時(昭和30年)と今(平成25年)とでは物価が違います。では、当時の百億円を現代の貨幣価値に換算するといくらぐらいになるのでしょうか。ちょっと調べてみました。
人事院の「国家公務員の初任給の変遷(行政職俸給表(一))」によると、昭和30年の国家公務員の大卒初任給は8700円であり、平成25年では181200円となっています。約20.8倍です。これを目安とするならば、当時の100億円は2080億円もの価値を持つことになります。
2080億円ですか…。殺人を正当化するわけではありませんが、これじゃあ血の川が流れるのも無理はない。とはいえ、こんな途方もない数字を出されると、かえって嘘臭いと思えてしまいます。
【参考文献】
横溝正史『三つ首塔』角川書店
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