あらすじ…リチャードは殺されたんじゃなかったの――アバネシー家の当主リチャードの葬儀が終わり、その遺言公開の席上、末の娘コーラが無邪気に口にした言葉。(中略)翌日、コーラが惨殺死体で発見される。(裏表紙の紹介文より引用)
人物関係図を作ろうかとも思いましたが、P5に「アバネシー家の系図」が掲載されているので、これに数名の人物(ランズコム、エントウイッスル、ギルクリスト)を書き加えれば用は足りるでしょう。
さて、本作は1953年発表の作品であり、1953年といえば第二次世界大戦終結から8年後です。戦争の痕が作品内にも色濃くにじんでいます。
ましてこんな税金の高い世の中じゃ悪かろうはずがない。戦後はかなり切りつめた生活をしなきゃならなかっただろうからな。(P21)
わたくしが喫茶室に失敗したのはちょうど戦争中でございまして、実際ひどい目にあったんでございますよ。(P71)
戦争中、この庭は荒れるがままにまかせていたんです。庭師が二人とも兵隊に取られてしまったものですから。(中略)おまけに賃金はとても高くなりました。(P120-121)
他にもありますが省略。
そもそもイギリスは第二次世界大戦の戦勝国です。しかし、戦勝国だからといって戦前の栄華を取り戻せるわけではないということが窺えます。
【参考文献】
アガサ・クリスティー『葬儀を終えて』早川書房
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