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『歴史図書総目録2013』歴史図書目録刊行会

 本書は歴史本の目録なのですが、そこからいくつか適当にピックアップしてみると…

エジプト王家の谷・西谷学術調査報告書I(税込39900円)(P36)
クロムウェルとイギリス革命(税込5880円)(P193)
展望 河口慧海論(税込3990円)(P316)

 一般的な書籍より高額です。これらは学術書であり、専門性の高さゆえに需要が非常に限られており、どうしても小部数発行にならざるをえません。そのため、規模の経済性が働かずに値段が高くなってしまうのです。

 閑話休題。
 このブログでは歴史の本を何冊かレビューしており、その中にこの目録に掲載されているものがありはしないかと、ちょっとばかり探してみましたが、みつかりませんでした。そういえば学術書レベルのものは殆ど読んでいませんでしたな。
 とはいえ、高価だから買うわけにもいかないし、近所の図書館でもちょっとお目にかかれそうにないものばかり出からなあ…。
 …え? お前は学術書を読んで理解できるのかって?
 それはジャンルにもよります。例えば『ウェストミンスター神学者会議議事録<抄>』(P244)は私には理解できないと断言できます。しかし、『日本神話を語ろう――イザナキ・イザナミの物語――』(P12)ならば、日本神話の知識をある程度持っているからおそらく理解できるでしょう(※)

※ただし身銭を切ってまで読みたいかどうかというと話は別。

【参考文献】
歴史図書総目録2013
『歴史図書総目録2013』歴史図書目録刊行会

アゴタ・クリストフ「作家」

あらすじ…自分を大作家だと思い込んでいる(そのくせ何一つ書いていない)男が、公務員を退職してライフワークといえる作品を書こうとする。

 ただし彼はテーマすら決めていません。そりゃあ凄い(皮肉まじり)。
 まあ、まともにアドバイスらしきものをすると、まだ何も書いていないんだったらショートショートや短篇といった小品を書いて「練習」しておくことです。ライフワークに挑む前の準備運動にはなるでしょう。

【参考文献】
アゴタ・クリストフ『どちらでもいい』早川書房

斉藤弘『目からウロコの円高経済学』ワニブックス

 円高になれば不況になるという円高報道は誤解であり、「円高は決して“悪”ではない」(P167)と著者は説いています。

 単純に円高のメリットで笑いの止まらない企業もあれば、円高のおかげでかろうじて救われた企業もある……こういった事実を知れば、けっして「円高=悪」と一概にはいえないわけです。(P49)

 ちなみに本書が書かれたのは野田政権の時であり、その後の第二次安倍政権では円安局面に転じています。
 じゃあ本書は時代遅れなのかと言われれば否定はできませんが、経済は生き物であり、いつまた円高局面に転ずるかわかりません(ひょっとしたら読者がこの記事を読んでいる時には円高になっているかもしれません)。その時には本書が再び…いや、そのときは新しいネタを取り込んで加筆訂正した方がいいかもしれません。何しろ本書は東日本大震災(P24)などの時事ネタをふんだんに取り込んでいますからね。

【参考文献】
斉藤弘『目からウロコの円高経済学』ワニブックス

ペティナ・ガッパ「真夜中のホテル・カリフォルニア」

あらすじ…元保険会社セールスマンで今は何でも屋のブローカーをやっている男が、ヒッチハイクした車の中で「ホテル・カリフォルニア」で体験した話を語る。

 ホテル・カリフォルニアといっても、アメリカのホテルではなく、ジンバブエのホテル・カリフォルニアです。だからそのクオリティたるやお察しの通りです。
 しかも、その話のクライマックスではアッー!という展開になります。
 …え? 彼はオカマを掘られたとは言ってないだろって? だけど、彼はお尻の貞操を守り通したとも言っていないし、何よりコンドームがなくなっているのだ! まあ、真相は不明ですがね。

【参考文献】
ペティナ・ガッパ『イースタリーのエレジー』新潮社

神保町古本祭り

神保町古本祭り
27日午前撮影。

幕末維新祭り中止

幕末維新祭り中止
 松陰神社の幕末維新祭り、26日(土)は台風のため中止となりました(27日は開催予定とのこと)。
 こうして会場を見ると寂しいものです。

ペティナ・ガッパ「黄金の三角地帯の真ん中で」

 ジンバブエの特権階級に属する、有閑マダムの日常生活を描写したもの。黄金の三角地帯というのは特権階級の居住するエリアのことらしく、主人公もあのジンバブエが舞台とは思えないほど優雅な生活を送っています。
 尚、本記事では「あらすじ」の項を省略しましたが、なぜ省略したのかというと、これといってストーリーが進展しなかったからです。まあ、作品としては短いから、これでもいいか。

【参考文献】
ペティナ・ガッパ『イースタリーのエレジー』新潮社

ペティナ・ガッパ「アネックスをうろうろ」

あらすじ…ジンバブエ大学法学部の女子大生エミリーは、病院の精神病棟に入れられる。

 この作品はエミリーの視点で描かれているのですが、文中はエミリーの正気と狂気が交錯しているので、読む際には注意が必要です。
 ちなみに、アネックスとはこの精神病棟の名前です。

【参考文献】
ペティナ・ガッパ『イースタリーのエレジー』新潮社

アゴタ・クリストフ「斧」

あらすじ…婦人が自宅に医者を呼ぶ。夫が「事故死」したというのだ。

 あらすじの段で「事故死」とわざわざカッコ付きで書きました。勘のいい読者なら何があったのかピンと来るかもしれません。具体的に何があったのかはネタバレになるので言えませんが、婦人の話を2~3ページくらい読めば察しは着くんじゃないかと思います。

【参考文献】
アゴタ・クリストフ『どちらでもいい』早川書房

『TBSラジオ Free Magazine 954press 2013 10/11』TBSラジオ&コミュニケーションズ

 表紙を飾るのは音楽番組「MUSIC 24//7」パーソナリティ4人。この番組はいつやってたっけ?と思って調べてみると、「火曜~金曜 夜8:00~10:00」(P2)とのこと。ああ、その時間はたしかプロ野球のシーズン中には試合の中継を放送していましたな。で、この時期はシーズンオフだから、その時間帯を埋める番組が登場するわけですか。

TBSラジオ Free Magazine 954press
※左上から時計回りに、西寺郷太、☆Taku Takahashi、宮台淳一、森本千絵。

トーマス・マン「悩みのひととき」

あらすじ…夜、作家が作品を書けなくて一人苦悶する。

 物を書こうとして全然筆が進まない、そのくせ思考だけはグルグルと動き回る、という苦しい体験をそのまま書いてしまったような短篇作品。
 この作品の主人公ほどではありませんが、私もこの種の苦闘は経験しているつもりなので、彼の苦悶はわからないでもない。でも、小説を読んでいる時にまでそんな苦しみを長々と味わいたくないものですな。

【追記】
 後日、巻末の「あとがき」をチェックしてみると、この作品の主人公はフリードリッヒ・シラーだとありました(P237)。フリードリッヒ・シラー(フリードリヒ・フォン・シラー)についてはこちら(wiki)を参照されたし。

【参考文献】
実吉捷郎訳『改訳 トオマス・マン短篇集II』岩波書店(※絶版)

『複合機で問題かいけちゅ! プリビオ探偵プーたん』brother

 ハムスターのプーたんが、brotherのFAX・コードレス電話付き複合機の解説をするというもの。この複合機はFAX、電話、スキャナー、プリンター、コピー機を一つにしたもので、「おことわりボタン」や「みるだけ受信機能」なども付いています。
 ちなみにプーたんの帽子についてですが、おそらくは

 探偵→シャーロック・ホームズ→鹿撃ち帽

 ということで鹿撃ち帽っぽいもの(鹿撃ち帽とは微妙に異なる)になっているんじゃないでしょうか。

プリビオ探偵プーたん

http://www.brother.co.jp/

嵯峨の屋おむろ「くされたまご」

あらすじ…女学校の教師・松村文子が見知らぬ少年・晋(すすむ)に付きまとっていると、二人の共通の知人・宮川が登場し、三人で文子の家へ行く。

 タイトルの「くされたまご」とは、クライマックスの修羅場で宮川が晋にぶつけた卵のことであると同時に、文子・晋・宮川の三人のことを指しています。

あゝ腐敗玉子、しかり真にくされ玉子なり。臥したる者も、倒れたる者も、はたまた罵る者も共に腐れり。彼らは皮相より見る時は頗る美しきものにして腐れざる鶏卵と異ならねど、一たびその皮を破ぶりその内を窺へば一身たゞこれ腐敗の塊……悲哉聖者の遺教さへ、軽薄者流の翫具となる今の世の中、あゝ案じらるゝ世の行く末……(P79)

 尚、引用文中の「聖者の遺教」とはキリスト教のことで、作品の中でも主に文子がそれについて色々と語っています。
 ちなみに、作者は上記の如く嘆いていますが、世の中にはもっと腐った世界がありまして…。例えばあの後で仲直りの3Pに突入するとか、晋×宮川のBLなカップリングとかが考えられます。

【参考文献】
『日本近代短篇小説選 明治篇1』岩波書店

『bref COMICS VOL13 仕立て屋・福子物語 AUTUMN&WINTER NEW COLLECTION DEBUT秘話』ブレフ

 紳士服の仕立て屋「ブレフ」が発行する小冊子に掲載されているコミック。
 ストーリーを要約すると「秋冬のコレクションが出来上がった」ということなのですが、主人公の福子のテンションがとにかく高い。始終元気いっぱいで、例えばP3では「ドヒューン」と飛び立っています。
 この福子を見ていて、今は死語となった「モーレツ社員」を想起しました。

福子物語

http://www.bref.jp/

井沢元彦『井沢元彦の学校では教えてくれない日本史の授業3 悪人英雄論』PHP

 古代から戦国時代までの、「歴史を動かした人物」――天智天皇から毛利元就まで――を取り扱っています。
 基本的には『逆説の日本史』シリーズで述べられてたことと重複するのですが、注意深く読んでみると、『逆説の日本史』には書かれていない部分もあるようです。両方を読む機会があったとしたら、『逆説の日本史』を主軸に据え、本書を補助教材にするといいかもしれません。
 ちなみに、本書を単独で読む場合、取り上げられている「悪人英雄」は時代順に並んでいるものの、それぞれが独立した構成になっているので、好きなところから読み始めてもいいでしょう。

【参考文献】
井沢元彦『井沢元彦の学校では教えてくれない日本史の授業3 悪人英雄論』PHP

酒見賢一『墨攻』新潮社

あらすじ…戦国時代の中国、特異な非攻の哲学を説き、まさに侵略されんとする国国を救援、その城を難攻不落と化す謎の墨子教団。その教団の俊英、革離が小国・梁の防衛に派遣された。(裏表紙の紹介文より引用)

 古代中国版ストロングホールド(※)
 本作では雲梯や軒車など様々な攻城兵器が登場するし、穴攻めや高臨の法などというものも出てきます。ある意味、攻城戦(および防衛戦)の見本のようです。

※PCゲーム「Stronghold」のこと。中世ヨーロッパを舞台に、プレイヤーは「閣下」となって城砦の防衛を指揮する。

【参考文献】
酒見賢一『墨攻』新潮社

フィリス・A・ティックル『強欲の宗教史』築地書館(3)

 本書のレビュー記事は「書評(歴史)」のカテゴリーに分類しています。実際、本書のタイトルは『強欲の宗教(※)ですし、本書の内容も強欲(貪欲)が西欧キリスト教社会の中でどのように把えられてきたかの歴史を(荒削りながらも)辿っているので、このカテゴリー分類は間違いではありますまい。
 とはいえ、例えばエピローグで最後に「神よ、そのときどうかわたしたち人間が、完全なものになりますように」(P92)と締めくくっているのを見ると、宗教書でもあるという印象を受けます。もちろんここで呼びかけられている神とはキリスト教の神であることは言うまでもありません。

※ただし原題は『Greed The Seven Deadly Sins』、直訳すると『貪欲 七つの大罪』となり、「史」に相当する語は原題にはありません。邦題を付ける際に意訳したのでしょう。

【参考文献】
フィリス・A・ティックル『強欲の宗教史』築地書館

フィリス・A・ティックル『強欲の宗教史』築地書館(2)

 本書にはヒエロニムス・ボスやブリューゲルなどの絵が掲載されているのですが、P58-59にて紹介されている、ブリューゲルの「七つの大罪を描いた連作の一部」(P58)の絵が掲載されていません。そこでネット上を探して当該画像を探し当てておきました。

ブリューゲル「七つの大罪」より「貪欲」
ブリューゲル「七つの大罪」より「貪欲」

 尚、上の画像はブログ掲載の都合上、サイズを縮小してあります。もっと大きいものを見たい方は、「Bruegel Avaritia」で画像検索してみて下さい。
 又、これと同様に、アンソール(P74-75)やドニゼッティ(P87ー91)の「貪欲」も、文章だけで画像はなかったので、ここに紹介しておきます。

アンソール「七つの大罪」より「貪欲」
アンソール「七つの大罪」より「貪欲」

ドニゼッティ「七つの大罪」より「貪欲」
ドニゼッティ「七つの大罪」より「貪欲」

【参考文献】
フィリス・A・ティックル『強欲の宗教史』築地書館

フィリス・A・ティックル『強欲の宗教史』築地書館(1)

 本書を読む上でまず留意しておかなければならないであろう点を3つほど挙げておきます。

(1)本書はキリスト教の「強欲(貪欲)」を扱ったものである。
 仏教やイスラム教など他の宗教にも「強欲」の概念はあるはずですが、本書ではもっぱらキリスト教における「強欲(貪欲)」を扱っています。

(2)本書はアメリカ人向けに書かれたものである。
 プロローグを読んでみると、アメリカ人は云々と述べている箇所が多く、アメリカ人向けに書かれているんだなということがわかります。

(3)本書を読むにはある程度の教養が必要。
 例えば、「けれども賽は投げられ、ルビコン川は渡られてしまったのだ」(P36)などという文章がサラリと出てきます。ユリウス・カエサルが「賽は投げられた」と言ってルビコン川を渡った故事を踏まえたものですが、この故事を多少は知っていないと意味がわからなくなります。
 又、キリスト教の知識も必須であることは言うまでもありません。

 長くなってきたので次回へ続く。

【参考文献】
フィリス・A・ティックル『強欲の宗教史』築地書館

死霊の盆踊り(1965年、アメリカ)

監督:A・C・スティーヴン
出演:ウィリアム・ベイツ、パット・バリンジャー、クリスウェル、ファウン・シルヴァー
原題:Orgy of the Dead
備考:バカ映画

あらすじ…墓場の近くで交通事故を起こしたら、墓場にいたヤバイ連中に捕まって殺されそうになる。

 久しぶりにひどい映画を観ました(苦笑)。役者は大根、セットは貧相、ストーリーは退屈と、褒めるところが思い付かない。ここまでひどいと笑うしかなくなります。
 人によっては「金返せ!」と怒鳴るかもしれませんが、私はそんなことはしません。クソはクソであるとブログに書けるし、こんな馬鹿馬鹿しい作品を観たんだぞと話のタネにもなりますからね。

 ちなみに、作品内では若いネエチャンたちが次々に出てきてパンツ一丁で踊っていますが、あれはストリップですな。そのストリップがこれでもかこれでもかと繰り出されるわけですから、この映画はホラー映画の名を借りたストリップ映画ということになります。

追伸:褒めるところが思い付かない、と書きましたが、後でよくよく思い返してみると、ありました。それは、バカ映画としては優秀かもしれないということです。ここまで下らない作品は、かえって珍しいと言えますからね。

死霊の盆踊り

トーマス・マン「預言者の家で」

あらすじ…預言者ダニエルの家に小説家など数名が招待される。そしてその家で、ダニエルの弟子が宣言書を朗読する。

 いわゆるオカルト的な催しです。そのうちダニエルの妹あたりがエクトプラズムでも吐くんじゃないかと思いましたが、さすがにそれはありませんでした。
 尚、宣言書の朗読中に、小説家はハムのサンドイッチの幻覚を見ており(お腹が空いていたようだ)、これはこれで神秘体験をしたと言えなくもない。その点では参加した甲斐があったようです。

抜き身の剣を持つ鷲

【参考文献】
実吉捷郎訳『改訳 トオマス・マン短篇集II』岩波書店(※絶版)

寺山修司「水 其ノ二 ケンの事」(創作小説)

あらすじ…悪ガキのケンは写真機が欲しくなる。

 写真機? ああ、カメラのことですか。
 もちろんこの時代(掲載元の文芸誌『白鳥』は1950年発行)にデジカメなんてハイカラなものはないので、フィルムを別に用意しなければならず、更に言えば撮影したらフィルムを現像しなければ写真として見ることはできません。
 ところがこの作品を読んでみると、ケンはフィルムを買ったとは一言も書かれておらず、どうやらカメラだけ買ったようです。

【参考文献】
『帰ってきた寺山修司』世田谷文学館

寺山修司「水 其ノ一 おみつの事」(創作小説)

あらすじ…頭の弱い娘・おみつのもとに、死んだ父親から電報が届く。今日の朝9時に帰るという。そこでおみつは停車場(駅)で父を待つ。

 ネタバレ防止のために結末部分は伏せますが、最後の最後で「健と仙吉」(P31)が登場します。従兄の健は前半にちょっと出てきたからいいとして、仙吉の方はこの作品内ではここでしか登場せず、彼のパーソナリティについての説明は一切ありません。
 おそらく仙吉は健の遊び仲間でしょうが、一言くらいは彼の説明に割いてもよかったかもしれません。

【参考文献】
『帰ってきた寺山修司』世田谷文学館

『L'ala Pado 2013.10/No.124』株式会社ぱど

 特集記事は「今こそ山ガールデビュー」(P10-13)。山登りのイロハを解説しています。飽くまで初心者向けなので初歩的なことしか書いておらず、紹介されているアイテムも日帰りを想定したチョイスとなっております。
 ちなみにこの記事は「ガール」向けなのですが、ボーイ、おっさん、中高年にとってもある程度は参考になります。例えばお肌の手入れは「ガール」ほど気にしなくてもいいでしょうが、「行動食」となると性別や年齢を問わず重要です。

こまめにエネルギー補給できるように、持ち運びしやすくて食べやすい行動食は必携。カロリーの高いナッツ類やフライドバナナチップ、チョコレートなどがオススメ。また汗をかく登山では塩飴や塩羊羹も大活躍。塩分が不足すると足がつりやすくなるので定期的な塩分補給をお忘れなく。(P12)

 なるほど、登山にチョコレートを持って行くのは、そういった意味がありましたか。

L'ala Pado

『JG[ジェイジー] 10+11 Oct.+Nov. 2013 vol.69』株式会社H14

 新宿~御苑~四谷のタウン誌。
 P27の記事「御苑人」に丸川珠代参議院議員が載っているのでこれを取り上げようかと思いましたが、P19のヴィヴィアン佐藤のコラム「迷所巡礼」を見て、こっちを取り上げることに決めました。
 だってこのインパクトですよ。
迷所巡礼
(P19)
 撮影したのが昼間だからまだしもなのですが、これが夕暮れ時に遭遇したとしたら…。いやあ参った参った。

JG

http://jgweb.jp/

寺山修司「青い柄」(新イソップ童話)

あらすじ…ある朝、狐のアルファはへんなものを拾う。それから立て続けにいいことが起こったので、アルファはその幸運が拾ったもののおかげだと思うようになり…。

 「イソップ童話」から想を得た作品。イソップ童話には教訓めいたところがあり、こちらも教訓めいています。
 具体的にどんな教訓があるかは本作を読んで感じ取っていただくとして、ここではタイトルの「青い柄」について少々述べます。
 本作のタイトルは「青い柄」ですが、アルファが拾った「へんなもの」(P29)の描写は「それは赤さびた鉄のどびんの柄のようでしたが違いました」(P29)とあり、青とは書いていません。ハテ変だな…と思って最後まで読んでみると、なんと拾った柄が青くなっていました。
 メーテルリンクの『青い鳥』を思い出しますな。

【参考文献】
『帰ってきた寺山修司』世田谷文学館

『帰ってきた寺山修司』世田谷文学館

 世田谷文学館が2013年に開催した寺山修司展の図録。
 中学時代の作品(文芸誌『白鳥』創刊号所収)などが掲載されており、これはこれで興味をそそられます。尚、これらの「初期」寺山修司作品のレビューは項目を改めてやりたいと思います。
 ちなみに、私の寺山修司体験といえば映画「田園に死す」ですが、この映画については巻末の「寺山修司略年譜」(P129-136)にチョロっと記述されているだけでした。う~ん、この人は多作だから「田園に死す」が膨大な作品群に埋もれても仕方ないか。

【参考文献】
『帰ってきた寺山修司』世田谷文学館

【関連記事】
寺山修司「青い柄」
寺山修司「水 其ノ一 おみつの事」
寺山修司「水 其ノ二 ケンの事」

苅安望=編著『世界の国旗と国章大図鑑 四訂版』平凡社

 世界の国々の国旗・国章に簡単な解説を付したもの。
 国章を眺めてみると、イギリスの植民地だった国にはイングランド・ライオンがいたりします。

【参考文献】
苅安望=編著『世界の国旗と国章大図鑑 四訂版』平凡社

『平成二十四年度 名誉都民小伝』東京都

 平成24年度に名誉都民となった北浦雅子・山田禎一を顕彰する冊子。裏表紙にも奥付にも値段が書いてないのでおそらく非売品です。私は近所の図書館でこれを借りましたが、欲しい方は編集・発行元の東京都生活文化局文化振興部文化事業課へお問い合わせ下さい。

 さて、ザッと一読した限りでは、北浦雅子・山田禎一両氏の活躍が述べられているのですが、本書は顕彰を目的として書かれているためか、批判めいたことは書いていません。
 例えば山田禎一氏が衆議院選挙に立候補するものの惨敗・落選したくだりでは、敗因について「同じ東京十一区には、十五人もの候補者がいた」「折しもロッキード事件のまっただ中」(いずれもP53。尚、山田氏は自民党から出馬)と、原因を外部に求めています。いや、そもそもそんな激戦区に、しかも逆風下にある時に出馬した本人の判断ミスは少なくともあるでしょうに。しかしそんなことなどは指摘せずに、

 それでも山田さんは、「行政や政治というのはこうして動くものかとわかっただけでも、私にとっては貴重な経験でした」と、懐かしそうに当時を振り返ってくれた。(P54)

 と、美談であるかのごとく締めくくっています。

平成二十四年度 名誉都民小伝

【参考文献】
『平成二十四年度 名誉都民小伝』東京都

「世界の幻獣・ドラゴン」研究する会・著『よくわかる「世界の幻獣・ドラゴン」大事典 ドラゴン、ゴブリンから、ナーガ、八岐大蛇まで』廣済堂あかつき株式会社(3)

タキシム(P178) Taxim
 東ヨーロッパの歩く死体。「生前に恨みを持っていたもの」(P178)がタキシムになるとのこと。
 日本だったら怨霊だが…と思ったら、日本版タキシムともいうべき事例が『今昔物語集』巻第二十四 第二十「人妻悪霊となり、其の害を除きし陰陽師の語」にありました。あの女性も恨みをいだいたまま死んで、その死体が歩き回ったのはタキシムと共通しています。

龍生九子(P227)
 龍が産んだとされる九種の子。本書では陳仁錫『潜確類書』を出典としていますが、調べてみると他の文献では異同があるようです。

 さて、三回に渡ってレビューしてきましたが、おなじみのキャラクターについては言及しませんでした。まあ、これ以上本書について書くのが面倒になってきたので、それらのキャラについては割愛させていただきます。

【参考文献】
「世界の幻獣・ドラゴン」研究する会・著『よくわかる「世界の幻獣・ドラゴン」大事典 ドラゴン、ゴブリンから、ナーガ、八岐大蛇まで』廣済堂あかつき株式会社

「世界の幻獣・ドラゴン」研究する会・著『よくわかる「世界の幻獣・ドラゴン」大事典 ドラゴン、ゴブリンから、ナーガ、八岐大蛇まで』廣済堂あかつき株式会社(2)

 前回知らなかったと述べたものたちについて若干調べてみました。

ギーブル(P58) Guivre
 「翼を持つ蛇龍」(P58)とありますが、紋章(wikiの「ミラノ公国」の国章を参照)を見ると、蛇体ではあるものの翼はありませんでした。

ベルーダ(P114) Peluda
 フランスのユイヌ川に棲んでいたドラゴン。記事中では一貫して「ベルーダ」と表記してありますが、アルファベット表記だと「Peluda」となっています。そこで少々調べてみたところ、どうやら「ペルーダ」が正しいようです。

リンドブルム(P134) Lindwurm
 ドイツの空飛ぶドラゴン。
 知らなかった、と書きましたが、実はよくよく思い返してみると、どこかのファンタジー系のゲームに敵キャラとして出ていて、ゲームの中でそいつと戦ったような、戦わなかったような…。ただ、心当たりのあるゲーム作品がマイナーなやつで、おまけにタイトルも思い出せないという有様ですので、知らなかったということにしておきましょうかね。

 次回へ続く。

【参考文献】
「世界の幻獣・ドラゴン」研究する会・著『よくわかる「世界の幻獣・ドラゴン」大事典 ドラゴン、ゴブリンから、ナーガ、八岐大蛇まで』廣済堂あかつき株式会社

「世界の幻獣・ドラゴン」研究する会・著『よくわかる「世界の幻獣・ドラゴン」大事典 ドラゴン、ゴブリンから、ナーガ、八岐大蛇まで』廣済堂あかつき株式会社(1)

 400ページ弱というボリュームながら定価600円。しかも私の場合は新古書店で105円で購入しましたからね。お買い得だったと言えますな。
 さて、本書の内容についてですが、ファンタジーの知識がある者にとっては既知の存在がこれでもかこれでもかと出てきます。とはいえ、『山海経』や鳥山石燕などにまで手を伸ばしていることは評価したい。

 ちなみに、これだけの情報量ともなると私でも知らなかったものがチラホラ出てきます。その一覧は以下の通り。

・ギーブル(P58)
・ベルーダ(P114)
・リンドブルム(P134)
・タキシム(P178)
・龍生九子(P227, コラム「龍の子供たち」より)

 少々長くなってきたので次回へ続く。

【参考文献】
「世界の幻獣・ドラゴン」研究する会・著『よくわかる「世界の幻獣・ドラゴン」大事典 ドラゴン、ゴブリンから、ナーガ、八岐大蛇まで』廣済堂あかつき株式会社

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