モーパッサン「モンジレ爺さん」
あらすじ…生涯でたった一度しかパリ市外に出たことがないという小役人のモンジレ爺さんが、友人の郊外の家に招待された時のことをユーモラスに語る。
モンジレ爺さんはそこでひどい目に遭い、最後にこう締めくくります。
まずこういったわけで、我輩絶対に女房は貰わないし、それからはもうパリの町から一歩も外に出ないことにしたのだ。(P34)
だがちょっと待て。女房はともかくとして、それ以前にもパリ市外へ出かける機会なんていくらでもあったはずなのに出かけていなかったのはどういうわけなんだ?
まあ、おそらく、元々モンジレ爺さんは遠出をしない、何でも近所で済ませてしまうような性格なのでしょう。乗合馬車に乗ってパリ市内を「散歩」するのを、「まるで世界旅行をしているみたいさ」(P24)と言ってるくらいですからね。
【参考文献】
モーパッサン『雨傘 他七篇』岩波書店
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