ニコラ・ヴェルト『ロシア革命』創元社
1917年の2月革命から10月革命までを描き、巻末の資料篇にレーニンの「蜂起の技術」(P157-159)などを載せています。
本書を読んでみると、ロシア革命の混乱ぶりがわかります。そもそも革命には混乱がつきものですが、「2月革命は自然発生的に起こった」(P31)だけにそれがより一層ひどいものになっています。詳細は本書に譲りますが、例えばスハロフの『回想録』によると、ソヴィエトの執行委員会は、「会議そのものにどんな規律もなく、常任の議長もいなかった」、「また常任の書記もおらず、会議の議事録もつくられなかった」(いずれもP135)という有り様だったとのこと。
では、「ボリシェヴィキによって綿密に準備された」(P113)10月革命はどうだったのかというと、クーデター自体は大した抵抗を受けなかったことから成功したと言えますが、その後も内戦などで混乱は続きます。
そして著者はこう述べています。
暴力、内戦、農民戦争、圧政、飢饉の連続だった1918年から22年は、1914年(※)にはじまった危機的状況の「延長の時期」だったといえるだろう。幻想とあいまいさと誤算をもたらした1917年の革命は、そのあいだのひとつの道しるべにすぎなかったのである。(P130)
そこまで言うか。
※引用者注:1914年は第一次世界大戦が勃発した年であり、ロシア革命の背景には第一次世界大戦による疲弊があったことは見逃せない。
【参考文献】
ニコラ・ヴェルト『ロシア革命』創元社
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