松岡和子訳『ヘンリー四世 全二部 シェイクスピア全集24』筑摩書房(1)
あらすじ…ヘンリー四世の治世は貴族の叛乱と鎮圧に明け暮れた。そのかたわらで放蕩息子の王子ハルは、大酒飲みのほら吹き騎士フォルスタッフとつるんで遊び歩くが、父の忠告に一念発起し、宿敵ホットスパーを討ちとる。(裏表紙の紹介文より引用)
『ヘンリー四世』は全二部作で、第一部は1403年のシュルーズベリーの戦いまでとなっています。劇中でハルがホットスパーを討ちとるのはこの戦いにおいてですから、裏表紙の紹介文で既に第一部の結末を書いていることになります。
それはさておき、今回はホットスパーの年齢について少々。
第三幕第二場でヘンリー四世がハル王子に説教するくだりで、ホットスパーについて、
年齢から言えばお前と大差ないにもかかわらず(P132)
と述べており、劇中ではハルと同様の若者という設定になっています。しかし、巻末の「『ヘンリー四世』関連年表」(P466-468)によると、史実では
ホットスパー…1364年生まれ
ヘンリー四世…1367年生まれ
ハル王子………1387年生まれ
となっています。つまり、本来ホットスパーはハルと同世代なのではなく、寧ろその父であるヘンリー四世と同世代(3歳差を同世代と見なすならば、だが)だったわけです。
愚考するに、この歴史劇においてホットスパーをハル王子と同世代に持ってくることによって、ホットスパーはハル王子のライバルという位置付けを得ているようです。
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