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有永弘人訳『ロランの歌』岩波書店(1)

あらすじ…フランス王シャルル(シャルルマーニュ、カール大帝)は大軍を率いてスペインに遠征し、七年もの長きに渡ってスペイン王マルシルと戦っていた。そしてついにマルシルは和平と恭順の使者をシャルルに送る。その後フランス陣営では、その返答の使者として誰を送るかという段になって、ロランはガヌロンを推し、容れられる。だが、そのことを怨みに思ったガヌロンは、マルシルを唆してロランを殺すよう画策する。

 巻末の「解説」によると、『ロランの歌』は「西暦七七八年八月十五日、大帝の軍がスペインから帰還するに当って、その後衛軍がピレネー西方の国境ロンスヴォーの峠で、その地方の住民バスク人の襲撃を受けて大損害を蒙った事件」(P285)を題材にしています。しかし、私はこの方面の歴史には疎いし、物語の後半でイスラムの大軍がやってくるなど明らかに創作だと思われる部分も多いことなどから、『ロランの歌』を歴史的事件とは切り離してレビューしてみたいと思います。

 さて、まずは人間関係が複雑なので、図にまとめてみました。

Photo

 巻末の「後注」によると、ロランは「シャルルの妹の息子であり、その妹がロランの父の死後、ガヌロンに嫁いだことになっている」(P251)とのこと。つまり、ロランにとってガヌロンは母親の再婚相手であり、しかも仲が悪い。いや、仲間が悪いというよりも、憎み合っているようです。
 ロランが和平の使者にガヌロンを推挙しましたが、実は以前にも和平の使者を送ったことがあるものの殺されてしまった(P17)という経緯があり、使者としてスペイン王のもとへ赴くのは非常に危険だとの認識がありました。実際、和平の条件を提示したガヌロンは、憤激したマルシルに殺されそうになります(P32)。尚、この時は周囲が制止して事無きを得ました。
 そしてここからガヌロンが舌先三寸でマルシルをたらし込みます。シャルルに恨み骨髄のマルシルに対して、シャルルを倒したかったら彼の右腕ともいうべきロランを殺せばいい、ここはとりあえず仮初の和平を結んでおいて、殿軍(しんがり)としてロランを残しておくからそこを襲え云々と語っています。もちろんこれは裏切り行為であり、後にガヌロンはその報いを受けることになります。

 長くなってきたので次回へ続く。

【参考文献】
有永弘人訳『ロランの歌』岩波書店

『ロランの歌』目次

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