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江戸歌舞伎「参会名護屋(さんくはいなこや)」

あらすじ…室町時代。正親町太宰之丞は春王君に家督を譲り、家来の名護屋三郎左衛門も息子の山三郎に家督を譲らせることに。そんな時、家来の仁木入道が一人の座頭を連れてくる。

 タイトルにある名護屋は地名の名古屋ではなく、本作の主人公・名護屋山三郎のことです。名護屋山三郎は安土桃山時代に実在した人物で、豊臣秀頼の実の父親とも噂されていますが、とりあえず本作ではモテモテのプレイボーイというキャラだとおぼえておけばいいでしょう。
 ただし、第一番目の最後で春王から「山三郎ことは、武士の道は忘れ、昼夜色町とやらんへ通ふよし、かさねて出仕は無用」(P12)と言われます。現代ならば、仕事をサボってソープランドに入り浸るサラリーマンが会社をクビになるようなものでしょうか。

 ちなみにあらすじで書いたことは、物語のほんのさわり程度です。もう一人の主人公ともいうべき不破伴左衛門(初代市川団十郎が演じている!)は次の北野神社にて登場し、正親町太宰之丞を殺そうとして失敗、自分が死にます。でも、すぐに蘇生するという超絶展開を見せてくれます。
 これはこれで、突っ込みどころがあって面白い。

【参考文献】
古井戸秀夫・鳥越文蔵・和田修校注『江戸歌舞伎集 新日本古典文学大系96』岩波書店

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