安藤健二『パチンコがアニメだらけになった理由』洋泉社
インタビューで最初に登場するのが杉作J太郎(P14)。しかも、パチンコで勝ってホテル代を支払った話(P17)など、本書のテーマとは関係ないエピソードが出てきます。
いきなりこれで大丈夫かな…と危惧したのですが、続いてアニメライター(P17)やパチンコ店の元従業員(P33)、パチンコ雑誌の元編集長(P36)と、「業界関係者」が登場して一安心。そして、フィールズ株式会社(『エヴァンゲリヲン』のパチンコ台の販売会社)や三共(パチンコメーカー大手)などから取材拒否に遭いながらも、タイヨーエレック(『BLOOD+』のパチンコ台のメーカー)サンセイR&D(『牙狼』のパチンコ台のメーカー)、XEBEC(ジーベック。アニメ制作会社)などにインタビューしています。
さて、本書の最後で「オタク向けアニメがパチンコになる理由」として以下の2点を挙げています。
(1)映像コンテンツが欲しいパチンコ産業
(2)ライセンスマネーとリバイバル効果に期待するアニメ産業
そして、「この2点で、パチンコ業界とアニメ業界の利害が一致したのが原因だった」(P214)と述べています。
それから著者は最後に、「末期症状の患者同士の延命治療は、いつまで保つのだろうか」(P216)と、暗い未来を予想して締めくくっています。
愚考するに、クールジャパンの一つとして期待されているアニメ産業はともかくとして、一方のパチンコ産業は衰退傾向のまま(遊戯人口は減り続けている)ですから、暗い未来予想図はあながち間違った見方ではないのかもしれません。
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