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宮崎正弘『オレ様国家・中国の常識』新潮社

 本書は2011年1月15日発行。これは薄熙来が失脚する前であり、薄熙来については本書では「五中全会前に薄は権力闘争からはじかれ、はぐれ狼的存在となった」(P70)と述べるにとどまっています。要するに失脚の前段階として、補給路を絶たれ外堀を埋められたような状態でしたか。

 ところで、本書の第二章では、西太后が義和団を利用し、袁世凱は学生運動を利用し、毛沢東は紅衛兵を利用して、いずれも用済みになると捨てたことを挙げて、こう述べています。

 同様にいまの愛国主義に酩酊する若者は「オンライン紅衛兵」そのものであり、いずれは党に敵対するだろう。なぜなら「愛国」を鼓舞する共産党が本当に狙っているのは「愛国」ではなくて「愛党」だけであり、人民解放軍は「国軍」ではなく党のプライベート軍隊であり、その矛盾に愛国思想を突き詰めていけば必ずぶつかり、愛国青年らが党へ反旗を翻すのは目に見えているからだ。(P106)

 なるほど、憤青たちはいずれ党の敵対者として弾圧されることになるんだろうか…。もちろん彼らは、
「小日本が何を言うか。我らが偉大なる祖国と偉大なる共産党が、我々のような愛国者を裏切るはずがない!」
 と獅子吼するかもしれません。本気でそう信じているのか、あるいは信じるふりをしているだけなのかはわかりませんが。
 そんな彼らが、党からの弾圧を免れるにはどうすればいいのか? まことに勝手ながら、三つほど考えてみました。

(1)愛国者であることを捨てて愛党者になる
 党が求めているのが「愛党」だというのなら、それに徹底的に従う。党は「愛党者」を愛国者ほど危険視しないでしょう。うまくいけば党の走狗としてこき使ってくれるかもしれません。尤も、走狗ならばまだしも、捨て駒にしてくるかもしれませんが。

(2)自分たちの旗頭に、高級幹部の子弟を担ぐ
 いわば高級幹部の子弟を人質に取るようなもの。自分たちを弾圧すればその高級幹部にも累が及ぶぞという無言の圧力になります。
 尚、担ぐ対象はバカである方がよい。我が国の政治家曰く「御輿は軽くてパーがいい」と。頭がいい奴だと逃げられるか乗っ取られる危険性があるからです。

(3)やられる前にやれ
 権力者によって叩き潰される前に、自ら権謀術数渦巻くパワーゲームに身を投じる。そこで権力闘争を勝ち抜いていけば、強大な権力を手中にし、莫大な財産を蓄えることができるはずです。
 まあ、外国人の私には中国の権力闘争に参加する方法なんか知らないし、よしんば憤青たちが知っていてしかもコネがあったとしても、戦う相手は海千山千の妖狐古狸。彼らに勝てる可能性は限りなく低いと言わざるをえませんがね。

 尚、これ以外にも「軍隊に入る」「ノンポリになる」等の選択肢が考えられますが、とりあえずこれくらいにしておきます。

【参考文献】
宮崎正弘『オレ様国家・中国の常識』新潮社

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