謡曲「白楽天」
あらすじ…唐の詩人・白楽天(白居易)が、「日本の知恵を計れ」との命令を受けて日本へやってくる。白楽天は筑紫の海で漁翁と出会い、白楽天は漢詩を詠み、漁翁は和歌を詠んで詩歌の応酬をする。
「日本の知恵を計れ」とはどういうことでしょうか? そこで私がピンと来たのがインテリジェンス(諜報)です。即ち、白楽天は日本でスパイ活動(それも情報収集)をするつもりだったのではないかと思い至ったのです。
何しろ日本と唐は西暦663年に戦っていますからね(白村江の戦い)。日本が遣唐使を送ってくるようになっても、またいつ日本と戦争になるかわかりません。まともなインテリジェンスの感覚の持ち主なら、そんな状況下で唐が日本にスパイを送ったとしても不思議には思いますまい。
ちなみにこの作品の後半では住吉の神が現われて神風を吹かせ、白楽天の船を唐に吹き戻しています。神風で決着とは実に日本らしい。
【参考文献】
西野春雄校注『謡曲百番』岩波書店
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