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謡曲「道成寺」

あらすじ…紀州の道成寺ではようやく撞鐘が再興され、僧は女人禁制を申し渡す。とそこへ白拍子がやってきて入れてくれと能力(のうりき。寺で力仕事をする男)に頼み、能力の一存で境内に入り込み、舞を見せる。しかし…。

 道成寺縁起(安珍清姫伝説)の後日譚。
 実はこの白拍子の正体は清姫(※)であり、今回は鐘の中に入って大蛇の姿を現わします。
 そういえば清姫の情念は解消されておらず、従って大蛇になったままでしたっけ。そして僧の祈祷によって撃退されるけれども、今作でもやはり魂の救済は為されずに話が終わっています。

 ちなみに本作では男の方(安珍)は出てきません。こちらは道成寺が懇ろに供養しているからでしょうか。

※文献によってはこの女性に名前がない場合もあるし、本作でも名前は出てきませんが、ここではとりあえず一般的に知られている清姫の名称を用いる。

【参考文献】
西野春雄校注『謡曲百番』岩波書店

【関連記事】
市原悦子のむかし語り:「今昔物語」“女の執念が凝って蛇となる話”
三島由紀夫「道成寺」

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