八木義徳「海豹」
あらすじ…樺太を旅行中に資金が底を着いた大学生二人が缶詰工場で働くことになる。
前半は缶詰工場での過酷な勤務を描いていることからプロレタリア文学かなと思いましたが、後半に入ると「私」と秋元とチャルクの三角関係が出てくるので恋愛小説になったのか…いや、プロレタリアートだって恋はするわけだから、これはプロレタリア文学に恋愛要素が入っていると見た方がいいでしょう。
ちなみにタイトルの「海豹」ですが、海に浮かんでいるのが見えるだけです。あとは毛皮になっているくらいで、特にストーリーにからんでくるということはありません。あ、でも、主人公は海豹を眺めていると「不思議に悩ましい気持にかられて来る」(P281)とあることから、主人公の感受性に何か訴えるものがあったようです。
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