G・ガルシア=マルケス「マコンドに降る雨を見たイサベルの独白」
あらすじ…日曜日に降り始めた雨はやむことなく降り続けやがて豪雨となる。家が浸水する中、イサベルは距離と時間の感覚を失う。
おやおや、この設定はどこかで見たことあるぞと思ったら、巻末の解説にこんな文章がありました。
「マコンドに降る雨を見たイサベルの独白」は、もともと『落葉』の一章をなすエピソードとして構想されたものだが、友人の説得により『落葉』から削除され、独立したかたちで一九五二年に『エル・エラルド』紙に掲載された。(P331)
なるほど、道理で「落葉」と共通するところが多いなと思ったら根は同じでしたか。それならば、「落葉」を読み終えた後で「落葉」の余韻を味わいたい時にこの「マコンドに降る雨を見たイサベルの独白」を読めばいいし、あるいは独立した形なのだから、こちらだけを読んでもそれはそれで構わないのでしょう。(ただし、大学生がレポートを書く場合には両作品のみならず他の「マコンドもの」にも目を通しておく必要があるでしょうけどね!)
【参考文献】
G・ガルシア=マルケス『落葉 他12篇』新潮社
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