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『現代文 トルストイの日露戦争論』国書刊行会

 トルストイが1904年6月27日にイギリスのロンドンタイムス紙に寄稿した論文「日露戦争論」。トルストイは日露戦争に反対(というより戦争そのものに反対)し、「真の宗教」(P92)による救済を説いています。
 真の宗教とは何かについては各宗派によって見解が異なるし、彼らの間でその件について神学論争を展開させたらどれほどの時間がかかるか知れたものではありません。従ってここではトルストイの説く「真の宗教」に限定することにします。
 とはいえ、「トルストイの説く真の宗教」に限定したとしても、それを充分に理解するにはこの晩年に書かれた論文のみならず、彼の膨大な著作を読み込む必要があるでしょう。そういった面倒な作業は専門家たちの手に委ねるとして、とりあえず以下のようなざっくりとした理解で間に合わせることにします。

 私たちが隣人を愛し、隣人のために尽くすべきこと(これは誰も反対しないこと)を要求する真の宗教(P80)

 汝の隣人を愛せよ、ですか。無論、この「隣人」には異教徒・有色人種も含まれるというのがトルストイの解釈でしょう。

 それにしても、と思うのは、これで戦争を止めることは不可能だろうなということです。誰も彼もがトルストイのような高潔な精神の持ち主ではないからです。尚、私が抱いたこの感想は、石川啄木がこの論文を読んで抱いた批評「さすがに偉い。しかし行われることはない」(P186)と通じるところがあります。

【参考文献】
『現代文 トルストイの日露戦争論』国書刊行会

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