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G・ガルシア=マルケス「ママ・グランデの葬儀」

あらすじ…マコンドの町を長きにわたって強固に支配したママ・グランデが死に、盛大な葬儀が執り行われる。

 ママ・グランデは「九十二年間にわたって統治者として生き」(P215)たとというのは、いかにもありそうにない。しかも、葬儀には共和国大統領やローマ法王まで参列しています。大統領は国内だからともかく、ローマ法王はイタリア半島から南米へわざわざ出かけていますからね。
 さすがにローマ法王は…と思っていたら、葬儀の参列者に「マンゴの女王・緑のかぼちゃの女王」(P231)などが登場するくだりを読んで、「あ、これはおとぎ話なんだな」と気付きました。
 おとぎ話なら仕方ない。やや政治スパイスが入っているにせよ。

【参考文献】
G・ガルシア=マルケス『悪い時 他9篇』新潮社

アガサ・クリスティー『雲をつかむ死』早川書房

あらすじ…飛行機の中で金貸し業の女性が殺された。たまたまその場に居合わせたエルキュール・ポアロが捜査に乗り出す。

 飛行機の中で殺人事件とは、「古典作品」にしては随分とハイカラな舞台ですな。
 ところで、巻頭には犯行現場となる飛行機(プロメテウス号)の後部座席の見取図があったり、更にはポアロが早い段階から気にしていた容疑者たちの所持品リストがP125-130にあるのですが、これらは読み進めていく上で何度も確認することになります。見取図はともかく、所持品リストの方は栞を挟んでおけばよかった…。

【参考文献】
アガサ・クリスティー『雲をつかむ死』早川書房

G・ガルシア=マルケス「マコンドに降る雨を見たイサベルの独白」

あらすじ…日曜日に降り始めた雨はやむことなく降り続けやがて豪雨となる。家が浸水する中、イサベルは距離と時間の感覚を失う。

 おやおや、この設定はどこかで見たことあるぞと思ったら、巻末の解説にこんな文章がありました。

 「マコンドに降る雨を見たイサベルの独白」は、もともと『落葉』の一章をなすエピソードとして構想されたものだが、友人の説得により『落葉』から削除され、独立したかたちで一九五二年に『エル・エラルド』紙に掲載された。(P331)

 なるほど、道理で「落葉」と共通するところが多いなと思ったら根は同じでしたか。それならば、「落葉」を読み終えた後で「落葉」の余韻を味わいたい時にこの「マコンドに降る雨を見たイサベルの独白」を読めばいいし、あるいは独立した形なのだから、こちらだけを読んでもそれはそれで構わないのでしょう。(ただし、大学生がレポートを書く場合には両作品のみならず他の「マコンドもの」にも目を通しておく必要があるでしょうけどね!)

【参考文献】
G・ガルシア=マルケス『落葉 他12篇』新潮社

G・ガルシア=マルケス「落葉」

 博士と呼ばれるヒキコモリの老人が死んで、博士の友人である大佐とその娘と孫の少年の三者の視点から葬儀を描き、時には三者三様の回想を交えながら話は進みます。そしてその中で徐々に話の筋および博士とは何者なのかが明らかになっていきます。しかしながら、正直言ってわかりにくい構成ですな。
 例えば回想だって全然時系列じゃないから、ちょっと気を抜くと「え? これいつの話?」というくだりにぶつかって軽く混乱することもあります。まあ、それは私が注意力散漫であるからなのですが(おかげでアガサ・クリスティー作品内のヒントを幾つも見逃している!)、だとすればこの作品と私の相性はよくないのかもしれません。
 いや、でも、例えばP244-250の娘の回想で継母がそこから5年前のことを語るくだりが出てくると、これは継母の回想を娘が回想しているという、二重の回想をやらかしているから、やっぱりわかりにくいことは確かなようです。

【参考文献】
G・ガルシア=マルケス『落葉 他12篇』新潮社

クトゥルフ神話研究会『[オールカラー]本当に恐ろしいクトゥルフ神話』笠倉出版社

 クトゥルー(クトゥルフ)神話をとりあえずかじりたい時には(経済的には)お手頃な本。定価は571円+税となっていますが、私はブックオフにて105円で入手しました。
 本格的にクトゥルーをやろうという場合には本書では満足できないでしょうが、ちょっと知っておくという程度ならば充分な内容と言えるでしょう。ぶっちゃけ、初心者向けです。
 もし本書を読んでクトゥルーの世界に深入りしたいと思ったら、本書の「第五章 関連作品紹介」(P193-253)に出てくる諸作品を参照されたし。尤も、私はそこまでのめり込む気はないのでやめておきます。

【参考文献】
クトゥルフ神話研究会『[オールカラー]本当に恐ろしいクトゥルフ神話』笠倉出版社

G・ガルシア=マルケス「天使を待たせた黒人、ナボ」

あらすじ…馬に額を蹴られて頭がおかしくなった黒人のナボのもとに楽団の黒人が現われて、コーラス隊に誘う。

 タイトルからすると、ナボをコーラス隊に誘う男はどうやら天使らしい。だとすると、彼をコーラス隊に誘うということは…いわゆる「お迎え」というやつですか。

【参考文献】
G・ガルシア=マルケス『落葉 他12篇』新潮社

G・ガルシア=マルケス「三度目の諦め」

あらすじ…「生きる屍」となって18年を過ごした主人公がついに肉体的な死を迎え、埋葬される。

 しかし、すでに死を観念して受け入れてしまった彼は、おそらくはその諦め故に死んでいくかもしれない。(P22)

 そうなった場合は、この世に未練を残して幽霊として留まるよりは幾分マシかもしれません。

【参考文献】
G・ガルシア=マルケス『落葉 他12篇』新潮社

アガサ・クリスティー『エッジウェア卿の死』早川書房

あらすじ…エッジウェア卿が殺された。最有力の容疑者は彼の妻で映画女優のジェーン・ウィルキンスンだったが、彼女には鉄壁のアリバイがあった。

 エルキュール・ポアロがアリバイ崩しに挑むのかと思いきや、実は替え玉がいて…と思ったら実は…と、逆転のコンボを決めてきました。
 これ以上書くとネタバレになるので伏せておきます。それから本書の最後に掲載されている犯人の手記に付いての感想を少々。
 こいつ…罪の意識や反省の念がないぞ。ネタバレ防止のため詳細は伏せますが、実にアッケラカンと犯行の経緯を述べています。もしも裁判でこれが証拠に採用されたら、陪審員の心象は相当悪くなっていたでしょう。

【参考文献】
アガサ・クリスティー『エッジウェア卿の死』早川書房

ヴァレリー・プレイム・ウィルソン『フェア・ゲーム アメリカ国家に裏切られた元CIA女性スパイの告白』ブックマン社

 日本語版の序文を上杉隆、巻末の解説を町山智浩が書いていますが、その解説に本書を簡単に説明した文章があったので引用します。

 『フェア・ゲーム』は、調査によってイラクの核兵器開発の事実はないと報告したCIA職員ヴァレリー・プレイムとその夫ジョセフ・ウィルソンが、その報告をブッシュ政権によって握りつぶされた事実をプレイム本人が語った本で、アメリカでは2007年に出版されてベストセラーになった。(P282)

 さて、そんな本書ですが、中を見るとご覧の通り。

Fairgame01

 CIAの検閲によって随所が塗りつぶされています。危険な香りがプンプンしますな。まあ、CIAスパイの手口や特有の言い回しとかを書かれたら、現役のスパイたちが活動しにくくなるから、わからなくもない。
 ところで、著者はCIAのスパイだとバラされることによって、スパイ生命を絶たれています。だとすれば、スパイを葬りたければ、そいつの正体をバラしてしまえばいい。そうすればその人はもうスパイとしては使い物にならなくなるから、閑職へ回されるか、ヴァレリーのように退職する羽目に陥るわけです。
 最後に、参考画像として主要な登場人物の顔を並べておきます。尚、これらの顔写真はインターネット上で容易に入手できるものばかりであり、CIAの機密情報には一切抵触していないことを明言します。

Fairgame02

【参考文献】
ヴァレリー・プレイム・ウィルソン『フェア・ゲーム アメリカ国家に裏切られた元CIA女性スパイの告白』ブックマン社

アガサ・クリスティー『死者のあやまち』早川書房

あらすじ…ある日、エルキュール・ポアロは女流作家アリアドニ・オリヴァから突然の呼び出しを受け、ナスコームの屋敷へ急行する。そこで催し物として犯人探しゲームが行なわれることになったのだが、死体役の少女が本当に殺されてしまう。しかも、ナス屋敷の主人の妻が行方不明になる。

 本作の原題は「Dead Man's Folly」なのですが、その"Folly"について。

 「フォリイというのは、過失という意味のほかに、建物をさす場合がありますわね、ほら、白堊の――円柱がたくさんある」オリヴァ夫人が助け舟を出した。(P128)

 そこで手許のオックスフォード辞書を開いてみると、

2[c] an ornamental buildings that has no practical purpose, eg a tower or an artifical ruin built in a garden.
(拙訳:実用的な目的を持たない装飾的な建物。例えば塔や庭の芸術的な無駄使いの建築物)

 とありました。この場合のフォリイは、ナス屋敷の敷地内にある「阿房宮」を指しているのですが、これが今回の事件と…おっと、ネタバレになるのでこれ以上はやめておきます。ともかくも、謎解きの難易度は高い(ポアロが1ヶ月も苦しむほど)ということだけは指摘しておきます。こいつはお手上げだ!

【参考文献】
アガサ・クリスティー『死者のあやまち』早川書房

アガサ・クリスティー『杉の柩』早川書房

あらすじ…エリノアとロディーは婚約していたが、ロディーは美しく成長したメアリイに心を奪われ、二人の婚約は解消される。ある日、エリノアが作った料理を食べたメアリイが死に、エリノアがメアリイ毒殺の容疑で逮捕される。

 この作品は三部構成となっており、第一部が事件パート、第二部が捜査・推理パート、第三部が法廷パートとなっています。
 事件の謎解きは第三部の法廷(メアリイ・ジェラード殺害事件の裁判)で為されるのですが、それをするのは捜査をしてきたエルキュール・ポアロではなく弁護士です。それがちょっと珍しいと言えなくもない。
 それから、犯行にはアガサ・クリスティーお得意の薬を使ったトリックが用いられています。これは薬品の知識がないと解けない問題ですな。

【参考文献】
アガサ・クリスティー『杉の柩』早川書房

EDUCE Vol.6 2012

 昭和大学が発行するフリーマガジン。
 P7-11で世田谷区の烏山寺町が取り上げられています。
 烏山寺町には私も何年か前に行ったことがあるのですが、P7-8の高源院 鴨池(弁天池)はもう少し水が澱んでいたような記憶がありますな。まあ、季節や天候によって印象が異なってくるだろうし、このテの写真は綺麗に見えるように撮られているから、「誤差の範囲内」としておきましょうか。

Educe

iDol spot vol.4 2012 Summer

 渋谷で入手しました。アイドル専門のフリーマガジンです。
 で、ここに掲載されているアイドルは、スマイレージ、SUPER☆GiRLS、9nine、ぱすぽ☆、palet、YGAですが、アイドルに疎い私にとっては誰が誰やら…。
 しかしそれでもわかったことが一つあります。それは、こちらの表紙を飾っているスマイレージのうち、田村芽衣ちゃんの歯並びが悪いということです。「芸能人は歯が命」って昔言われていたのを思い出しますな。今はどうなんでしょうかねえ。

Idolspot

塩野七生『十字軍物語3』新潮社

 第3巻では第三次十字軍から第八次十字軍、そしてアッコンの陥落によるパレスティナの失陥と、第1巻・第2巻よりも早いペースで展開しています。何なんだ、このスピードは…。

 それはさておき、一般的には評判の悪い第四次十字軍が実は「この種の酷評は、二十世紀に入ってから起ってきたのだ」(P256)というのは意外でしたし、第六次十字軍で神聖ローマ帝国皇帝フリードリッヒが交渉によってエルサレムを取り戻す手口には舌を巻きます。又、フランスの聖王ルイは…善意が害をもたらすことがあるということを示していますな。
 それから、リチャード獅子心王についても言及しておかねばなりますまい。あのサラディンを相手にアルスーフとヤッファで勝利する…って、強すぎるぞ。しかも、

 リチャード獅子心王は、聖都イェルサレムの再復はできなかった。しかし、キリスト教徒にとっての「聖地」に、二十六年間の平和と安全は与えて去って行ったのである。(P198)

 という「成果」を残して。

【参考文献】
塩野七生『十字軍物語3』新潮社

井沢元彦監修『戦国の古戦場を歩く』祥伝社

 戦国時代の30の古戦場を紹介したもの。よく見ると番外編で朝鮮半島(碧蹄館の戦い、蔚山城の戦い)があるものの、北海道と沖縄はありません。そういえば北海道と沖縄って、戦国時代に有名な戦いがあったかなあ…。

 それはさておき、本書は年代順ではなく地域別の編集となっているので、自分の地元(もしくは地元に近いところ)から読み始めてもいいでしょう。

【参考文献】
井沢元彦監修『戦国の古戦場を歩く』祥伝社

ロード・ダンセイニ「もらい手のない<国の種>がヴァルハラから持ち去られた事の次第」

 タイトルは長いですが、話自体はとても短い。
 各地の土地神たちがヴァルハラ(北欧神話の主神オーディンのおわすところ)へ行って「国の種」を貰い、それぞれの領地に蒔いていったが、アイルランドの土地神だけは遅れてやってきたため、そこにあるのは貰い手のない種ばかり。しかし、それを見たアイルランドの土地神は、「母なる女神にかけて、連中、いちばんいいのを置いていったあとだぞ」(P474)と言いました。
 最初に読んだ時は、「残り物に福がある」という諺が思い浮かびました。しかし二度目に読んだ時は、アイルランドの土地神は強がりを言っている、あるいは自分の遅参を正当化しようとする心理が働いて、残った種はいい種だと信じ込もうとしているんじゃないかと思いました。

【参考文献】
ロード・ダンセイニ『時と神々の物語』河出書房新社

シャーロック・ホームズの冒険:海軍条約事件(1984年、イギリス)

監督:アラン・グリント
出演:ジェレミー・ブレット、デビット・バーク、デビッド・グィリム、アリスン・スキルベック、ガレス・トーマス、ロザリー・ウイリアムズ
原題:The Adventures of Sherlock Holms : The Naval Treaty
備考:グラナダTV版ドラマ

あらすじ…ワトスンのもとに旧友で今は外務省に勤めているパーシー・フェルプスから手紙が届く。大事な海軍条約文書を何者かに盗まれたという。

 クライマックスのアクションがショボすぎる。ホームズと犯人との実質的な戦闘時間は短いのでスローモーションなのはいいとして、カメラワークや照明の使い方などにもっと工夫を凝らせば(例えばライトを明滅させるとか)もう少し迫力が出たかもしれません。
 とはいえ、このグラナダTV版のドラマはアクションが主眼ではないので、その点ではあまり責めるのは酷というべきかもしれません。
 もしもホームズのアクションを堪能したいというのでしたら、ロバート・ダウニーJr.主演の映画をおすすめします。

シャーロック・ホームズの冒険 完全版 DVD-BOX

【関連記事】
シャーロック・ホームズ(目次)

シャーロック・ホームズの冒険:美しき自転車乗り(1981年、イギリス)

監督:ポール・アネット
出演:ジェレミー・ブレット、デビット・バーク、バーバラ・ウィルシャー、ジョン・カッスル、マイケル・シベリー、ロザリー・ウイリアムズ
原題:The Adventures of Sherlock Holms : The Solitary Cyclist
備考:グラナダTV版ドラマ

あらすじ…家庭教師のバイオレット・スミスがホームズのもとを訪れる。駅への行き来の途中、怪しい男に尾行されるのだという。

 最後の方でワトスンが夕刊を持って帰宅した時、ホームズがまくっていた袖を慌てて戻し、注射器を机の引き出しにしまうくだりがあります。それを見た時のワトスンの表情から、ホームズがやっていたことは決してほめられた行為じゃなかったということがうかがえます。
 ぶっちゃけて言うとホームズはコカインを打っていたんですけどね。
 それにしても、グラナダテレビ版ではコカインがちゃんと出てくるのかと今更ながら気付きました。

シャーロック・ホームズの冒険 完全版 DVD-BOX

【関連記事】
シャーロック・ホームズ(目次)

ロード・ダンセイニ「おかしいのはどこ?」

あらすじ…ヘンリー・ブードン氏は散歩中にリスに笑われたと思い込み、自分のどこがおかしいのだろうかと悩む。

Q.おかしいのはどこ?
A.お前の頭だ。

 背後から笑い声が聞こえると、「あれはきっと自分のことを笑っているに違いない」と思い込んで暴行をはたらくという事件が時たま起こりますが、それと似たようなところがあります。まあ、ゴードン氏はリスに殴りかかる気はないようですが。

【参考文献】
ロード・ダンセイニ『時と神々の物語』河出書房新社

『現代文 トルストイの日露戦争論』国書刊行会

 トルストイが1904年6月27日にイギリスのロンドンタイムス紙に寄稿した論文「日露戦争論」。トルストイは日露戦争に反対(というより戦争そのものに反対)し、「真の宗教」(P92)による救済を説いています。
 真の宗教とは何かについては各宗派によって見解が異なるし、彼らの間でその件について神学論争を展開させたらどれほどの時間がかかるか知れたものではありません。従ってここではトルストイの説く「真の宗教」に限定することにします。
 とはいえ、「トルストイの説く真の宗教」に限定したとしても、それを充分に理解するにはこの晩年に書かれた論文のみならず、彼の膨大な著作を読み込む必要があるでしょう。そういった面倒な作業は専門家たちの手に委ねるとして、とりあえず以下のようなざっくりとした理解で間に合わせることにします。

 私たちが隣人を愛し、隣人のために尽くすべきこと(これは誰も反対しないこと)を要求する真の宗教(P80)

 汝の隣人を愛せよ、ですか。無論、この「隣人」には異教徒・有色人種も含まれるというのがトルストイの解釈でしょう。

 それにしても、と思うのは、これで戦争を止めることは不可能だろうなということです。誰も彼もがトルストイのような高潔な精神の持ち主ではないからです。尚、私が抱いたこの感想は、石川啄木がこの論文を読んで抱いた批評「さすがに偉い。しかし行われることはない」(P186)と通じるところがあります。

【参考文献】
『現代文 トルストイの日露戦争論』国書刊行会

アガサ・クリスティー『カーテン』早川書房

あらすじ…ヘイスティングズは親友ポアロの招待で懐かしきスタイルズ荘を訪れた。老いて病床にある名探偵は、過去に起きた何のつながりもなさそうな五件の殺人事件を示す。その陰に真犯人Xが存在する。しかもそのXはここ、スタイルズ荘にいるというのだ……(本書裏表紙の紹介文より引用)

 エルキュール・ポアロ最後の事件。原題の副題に「POIROT'S LAST CASE」とあるので、これがポアロ最後の事件だと明かしたとしてもネタバレにはなりません。
 ちなみにシャーロック・ホームズは「最後の事件」の後も復活して活躍を続けていましたが、あれは死体が見つからなかったからできたことで、『カーテン』ではちゃんとポアロの死亡が確認されているので復活はありえません。

 さて、今回の事件に話を戻すと、第十二章でなんとヘイスティングス大尉がある人物を殺そうと企むくだりが出てきます。これは5件の殺人事件と相似形にあるなとは感じていたのですが、そこから敷衍してXの手口を推理するという作業を怠ってしまいました。
 よくよく思い合わせてみれば、ポアロから提示された情報だけではXがどのような役割を果たしていたのか不明でした。いや、仄めかした部分はありましたが、私にはそこまで読み取れなかったというのが正直なところでしょう。

【参考文献】
アガサ・クリスティー『カーテン』早川書房

TOWER THEATER Aug.20 No.062

 表紙を飾るのは映画「アベンジャーズ」。このパンフレットの中にはヒーロー7人の簡単な解説が載っているのですが、キャプテン・アメリカやハルクは知っていても、ニック・フューリーやホークアイなどは知りませんでした。日本での知名度が低いアメコミヒーローだって山ほどいるから、別に知らなくたって不思議はありますまい。

TOWER THEATER Aug.20 No.062

【関連記事】
アベンジャーズ

DADi 2012.08

 「高倉健Blu-ray COLLECTION BOX」(P27)が5作品収録で\22050-って、ちょっと高くないですか? 「マリリン・ザ・プレミアム・ブルーレイ・コレクション」(P26)が8作品収録で\20000-であり、こっちの方が安い。
 まあ、私は現時点ではブルーレイを持っていないし、よしんば持っていたとしても金がないので買えません。そんな私は、秋葉原の某店で145円のDVD(念のために言っておくが、海賊版じゃないぞ。正規品が安売りされていたんだ)を買いました。貧乏臭いですかね。

Dadi

月刊TSUTAYAアジアMAGAZINE 2012.9 Vol.48

 近所のツタヤで入手しました。
 アジアと銘打っていても、どうせ韓流が多いんだろうな…と思っていたら、本当に韓流が多かったです。以下、国別に分類してみました。

韓国:ラブレイン(P1-4)、シークレット・ガーデン(P5-7)、INFINITE(P9-10)、TEN(P11)、ヴァンパイア検事(P12)、マイダス(P13)、サンショウウオ導師と恋まじない(P14)、運命の誘惑(P15)、不屈の嫁(P15)、U-KISS(P19-20)
台湾:あの日を乗り越えて(P16)、絶対彼氏(P17)、父の初七日(P17)、僕らはふたたび恋をする(P18)
中国:京城ロマンス(P16)

 いくら安く買えるからって、何もそこまでしなくてもいいんじゃないかと思うくらいです。
 他のアジア諸国よ、悔しかったら面白い作品を日本に送り込んできやがれ。

月刊TSUTAYAアジアMAGAZINE 2012.9 Vol.48

山本弘「リトルガールふたたび」

あらすじ…22世紀初頭の小学校の教室で、先生が21世紀初頭の日本で進行した低IQスパイラル社会を解説し、生徒たちがそれを馬鹿にする。

 冒頭で菊地という生徒(小学6年生)が「脳神経外科でナノモジュール治療受けた」(P31)という話が出てきたので、ひょっとしてこの未来世界はディストピアなんじゃないかという予感がしました。
 ネタバレになるので結末は明かせませんが、最後の方でその予感は外れたわけじゃなかったようだと思いました。もっとも、作中の子供たちや先生は、主観的には今(2109年)の日本社会がユートピアだと思い込んでいるかもしれませんが。

 最後に、不謹慎だとのそしりを受けるのを承知の上で、リトルガール・ウララを描いてみました。作品のタイトルの中に「リトルガール」があり、それについても少しは触れておかないといけないと思い、それならいっそのことイラストにしてしまおうと考えた次第です。

リトルガール・ウララ

【参考文献】
山本弘『アリスへの決別』早川書房
※↑表紙注意。

ジュゼッペ・トマージ・ディ・ランペトゥーザ「鮫女」

あらすじ…新聞記者コルベーラはカフェでラ・チゥーラ教授(上院議員)と出会い、親交を深める。ラ・チゥーラがジェノヴァに出発する前日、ラ・チゥーラはセイレンと愛を交わした日々のことをコルベーラに語る。

 「鮫女」と書いてセイレンと訓んでいます。セイレンに鮫女の字を訳者(西本晃二)が当てた経緯は本書巻末の「解題」のP138-139を参照されたし。
 さて、ラ・チゥーラの話では、大学生の頃にセイレンのリゲーアと出会って童貞を捧げ、20日間ヤリまくったことがわかりますが、下半身が魚なのにどうやってセックスしたんでしょうか? 女陰の部分だけ人間と同じだったのかもしれませんね。
 それはさておき、このリゲーアは詩の女神カリオペの娘だとのこと。彼女と交わったラ・チゥーラはその後、学問の世界で大成したことから、彼女は彼にとってミューズとなっていたのでしょう。

【参考文献】
ランペトゥーザ/A・フランス/メリメ『南欧怪談三題』未来社

アガサ・クリスティー『牧師館の殺人』早川書房

あらすじ…セント・メアリ・ミード村の牧師館の書斎で、嫌われ者の老退役大佐が殺された。若い画家ローレンス・レディングが自首するが…。

 ミス・マープルの長篇初登場作。
 というわけで今回はミス・マープルについて少々述べさせていただきます。

 ミス・マープルはある意味、魅力的な人物ですが、それだけに人気に火がついてしまうと村人にとっては厄介なことになります。エルキュール・ポワロならしょっちゅう旅行に出かけているし、高名な探偵だから外部から事件が持ち込まれることも多い。一方、ミス・マープルは村からはあまり出ない(実際、本作品でも村から出た形跡はない)素人探偵だから、彼女に活躍の場を与えようとするならば、セント・メアリ・ミード村もしくはその近辺で凶悪な犯罪が起こらないといけないのです。しかもシリーズ化すれば複数回も!
 かくして田舎の静かな村は、血と悪意にまみれた地獄へと変わる…。

【参考文献】
アガサ・クリスティー『牧師館の殺人』早川書房

R25 EXTRA 2012 8.6

 久しぶりにR25を手に入れました。入手できる場所も減ってしまい、おまけになかなかタイミングが合わないんですよねえ。
 それはさておき、今号は「まるごと1冊チャレンジャー特集号」ということで、宇宙エレベーター(P4)や植物工場(P5)、バイオ燃料(P7)、イエティ捜索(P9)などのチャレンジや、栗城史多・福田彩乃・萩野伸也の3人のチャレンジャーを取り上げています。
 イエティが浮いていますな。

R25

http://R25.jp/p/

Pocket Guide 魚津

 表紙の左上に小さく「ミラたん」というゆるキャラがいます。ただ、残念ながらこのポケットガイドの中にはミラたんについての解説は一切ありません。
 そこでミラたんについて少々調べてみると、どうやら魚津市のマスコットで、名前の「ミラ」はミラージュ(英語で蜃気楼の意)から来ているとのこと。
 蜃気楼ですか。確かに本誌のP6-7にて蜃気楼が取り上げられていますな。

Uotsu

アナトール・フランス「亡霊のお彌撤」

あらすじ…村の老婆カトリーヌ・フォンテーヌが亡霊(もうじゃ)の彌撤(ミサ)に参加し、翌朝、自宅で死んでいるのが発見される。

 教会堂の堂守が、墓掘り人だった父親から聞いた話として語る、という形式を取っています。
 そこで一つ疑問点が浮かびました。亡霊のミサの様子がどうやって伝わったのでしょうか?
 生きている者としては唯一の参列者であるカトリーヌが誰かに語ってそれが巡り巡ってこの堂守へと伝わったと考えられますが、彼女は夜のミサに出て翌朝には死んでいるのが発見されました。長く見積もっても、せいぜい数時間の猶予しかありません。そこでちょっと想像してみました。
 亡霊のミサが終わった後、カトリーヌは帰途に着く(ミサが終わったら帰宅するのはいつもの習慣だったろう)。その途中、早起きの村人と出会い(例えばパン屋の朝は早い)、さきほどの異常体験を語る。そして自宅に戻り息を引き取る。
 うん、これなら話が伝わります。

【参考文献】
ランペトゥーザ/A・フランス/メリメ『南欧怪談三題』未来社

出不精探偵リンリー

 ロード・ダンセイニが生んだ探偵リンリー。彼が登場する諸作品のレビュー記事は以下の通り。

二壜の調味料
スラッガー巡査の射殺
スコットランド・ヤードの敵
第二戦線
二人の暗殺者
クリークブルートの変装
賭博場のカモ
手がかり
一度でたくさん

 これら9作品を振り返ってみると、そのうちの5作品(二壜の調味料、スラッガー巡査の射殺、クリークブルートの変装、賭博場のカモ、一度でたくさん)では家から一歩も出ずに推理しています。
 事件が起こったと聞けば現場へ足を運んで調査・観察を行なうシャーロック・ホームズや、旅行先でたまたま殺人事件に遭遇することが多く必然的に家の外で推理するエルキュール・ポワロとは色合いが異なります。
 というわけで、私はリンリーに「出不精探偵」の称号を贈らせていただきます。又、スメザーズは空気キャラになることが多かったから、彼には「空気助手」の称号を贈っておきましょうかね。

【参考文献】
ロード・ダンセイニ『二壜の調味料』早川書房

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