ロード・ダンセイニ「手がかり」
あらすじ…空き家でイーブライト氏が殺される。現場には犯人がイーブライト氏を待つ間の暇潰しにやっていたクロスワードがあった。リンリーはクロスワードに書かれた単語から犯人像を推理する。
今回はシャーロック・ホームズばりの推理を展開しています。ただ、
『拡大鏡があれば』リンリーさんは続けました。『もっと何かわかるかもしれません。しかし、たぶんこれで充分でしょう。(略)』(P125)
と言いましたが、この推理によって絞り込まれた容疑者は逮捕され裁判にかけられたものの、「しかし、陪審はクロスワード一つで一人の人間を絞首刑にするのに抵抗があったため、評決は無罪」(P126)という結果に。「たぶんこれで充分」というのは誤り、もしくは、せいぜい使えるのは容疑者の絞り込みくらいのもので、犯罪を立証するには不充分だったわけです。
詰めが甘いようですな。
【参考文献】
ロード・ダンセイニ『二壜の調味料』早川書房
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